Story Reader / Affection / ルナ·銀冠·その2 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ルナ·銀冠·その7

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「おほしが……ひかる……」

「こよいは……きよい……」

再び目を開ける。今度は屋内の廊下に立っていた

内装からして教会のようだ。壁の塗装は剥げ落ちており、建物自体も崩れ落ちそうな廃屋。だが、壁の向こうからは子供たちの歌声が聴こえていた

廊下を真っ直ぐ進んでいると、突き当たりからにぎやかな声が聞こえてきた

男の子?

もう食べちゃったんだから!どうしようもないよ!

女の子

そうよ、もうどうしようもないんだから

何かのせいにしたいなら、己の甘さを責めなさい

お……お願いよ……

お姉ちゃん……お姉ちゃん……

お願い……このままじゃ、私と妹は……冬を越せないわ……

……お姉ちゃん……ごめんなさい……

ルナは子供たちの中にいた。ただひとり際立って目立っている

お姉ちゃん……今度こそ、ルナが守るから……

少女はつぶやいて、ナイフを握った

そうすれば、全部元通りになるから

ルナは驚いて振り返った。そして誰の声かを確認した瞬間、氷のように冷たい笑みを浮かべた

[player name]、まだわからないの?私こそがルナの本体よ

最初からではないけど……それほど遅くもなかったでしょう

ここであなたを殺して、皆も殺せば、自分の弱さを克服できる

そうすれば私は完全なる代行者となり、姉さんを守ることができる。新しい世界で、姉さんと新しい生活を始められるの

あなたの言うことなんて信じない。私は誰も信じない!

人を信じたばかりにとんでもない代償を払わされた……私はもう、自分の手でできることしか信じない

あの時ガブリエルを信用しなかったなら、ショーメイの妄想が真実だったなら……あの処理場で「姉さん」を殺さなかったなら……

もし私の改造がうまくいっていたら……姉さんをきちんと守れていたら……私が……馬鹿みたいに、冬を越すための食べ物をあいつらに渡さないでいたら……

……あなたが現れて何もかもめちゃくちゃにしなかったなら!!

私はただ、その時に戻って全てを壊したかっただけ

これが私の夢

でも……構造体に夢が見られるの……?

子供の頃の夢は、もう何も思い出せない

でも、昇格者が夢を見るのならきっとこうなのよ

暗くて、邪悪で、汚くて……

この世界には私が味わったような苦しみが至るところにあるわ……もっと残酷な絶望の中でも、人としての尊厳を失わなかった人だっているでしょう

でも、私には無理だった

今日にいたるまでの道は、自分自身で選んで歩んできたもの

もし、あなたが現れなかったとしても何も変わらないわ。今の私にとっては、何もかもが不要なもの

私は代行者ルナ。代行者として……この世界に永遠に存在し続ける

ルナは震えていた。その震えている手が人間によってそっと握られると、彼女はナイフを取り落とした。子供たちが「化け物」と叫びながら逃げ去っていく

真っ白な構造体は、人間が大きく広げた腕の中に閉じ込められた。その腕は、力強く、優しく、白い機体をただ抱きしめている

……

君の不安、迷い、君が経験した真実、裏切り……その全てを知った

「夢から覚めれば、現実に帰る」。君とは正反対の立場として再会し、それぞれの責任を果たすことになる

風が吹いた。温かい風が抱き合うふたりを優しく包み込み、徐々に世界を再構築していく

風がやむ頃には、あたりは質素だがどこか温かい子供部屋になっていた

……

肩に少女の体重を感じた

そう……こんな風に、感じるのね

狭い部屋を薄暗い蛍光灯が照らしている。ルナの青白く儚げな顔に、穏やかな笑みが浮かんだ

どこかで……聞いたことのあるセリフ……

……本当に?

姉さん、私……この夢から覚めたくないよ

……眠ってしまうまで……そばにいてほしい……

少女はつぶやきながら、いつもの静かな様子に戻った

すやすやと少女が眠る小さなベッド。ナイトランプをそっと枕元に置く。ずっと機会を逃していたが最後に渡せてよかった

全てが終わって、どっと疲労に襲われる。リンク反応もクリアになってきたようだ

「うたおう、きっとすてきなあしたがくる」

「おはなとおすな、ミルクとやきたてのパン、しかをかって、たきびをもやそう」