全ての装置の設置完了、いずれも正常に稼働している——
焚き火、テント、バイオニックに拝借した海の幸……よし、抜かりはない
指揮官、あとは雪の中で朝を待つだけでいい
ロゼッタはそう言いながら、火に新たな枝をくべた。処理済の枝はまたたく間に燃え上がる
燃え上がった枝から火花が爆ぜ、雪に落ちて消えていく……
指揮官。任務に付き合ってくれてありがとう
エンジニアリング部もこの任務を「休暇」と呼んでいた。それでも彼らは部屋から出たくなかったみたい
……そう。ありがとう、指揮官
それから、ロゼッタは黙ったまま火に枝をくべ、ただ静かに装置の動作を見守っていた
エンジニアリング部は言っていた。今回が最後の調査になり、これ以降人員が派遣されることはない
だからロゼッタは十分なデータが集まるまでここで待ち、装置を回収して持ち帰らなければならないのだ
指揮官、疲れたのならテントで休んで。あとは私が見ているから
そう……でも休める時に休まないと。いつ何が起こるかわからない
もともと私が引き受けた任務だし、指揮官は同行してくれただけ。それに、こういうのは構造体向きの仕事だから……
——
え!?
突如炸裂した轟音に、ロゼッタの言葉が中断した
雨……?
まさか、雨なんてありえない……それにあの轟音……指揮官、早く安全な場所に移動しよう
そんなこと言ってる場合じゃない。指揮官、早く安全な場所を探さないと
ロゼッタは雨を見た瞬間に武器を構えていた。そして今になって、こちらが戸惑っていることに気づいたようだ
指揮官、あのクマ型は気象ステーションで働いてると言っていた
確証はないけれど、天気がこれだけ急変するというのは……おそらく気象ステーションで何か起きたんだと思う
わからない。でも多分、気象ステーションで何かトラブルが起きたんだと思う
地揺れに豪雨……これからもっと荒れるかもしれない。無防備な雪原の上では、テントは耐えられない
早くこちらへ!守林人が設置したセーフティーポイントがあるはず
——
ここまでくれば大丈夫だと思う
ロゼッタの先導でたどり着いたのは、山間の洞窟だった。洞窟に入った途端、外の強風が勢いを増し、雪が猛烈に吹き付けてくる
やはり、荒れてしまった。吹雪が収まるまでここで待つしかない。数時間はかかるかもしれない
あ……
自分の口癖を横取りされて、ロゼッタは少しびっくりしたようだ。だが、すぐにころころと笑い出した
指揮官もそういう冗談を言うの……確かに、最終日にこんな目に会うのは不運かもしれない。外の機材も配置し直さないといけないし
でも本当のことを言うと、今私は「ついてる」と思っている
まるでこちらの発言を遮るかのように、ロゼッタはゆっくりともたれかかってきた
さまざま不幸を経たからこそ、私はこの世界を知ることができ、自分の「結論」を得ることができた
そして今、[player name]と同じ場所に座っていられる
うまく言えないけれど……あなたが私の気持ちを理解しようとしてくれていることはわかってる
だから、一緒にこの地に来てもらった。野外で生きていく方法を見せて、それであなたが知りたいことも全部話そうと思って
[player name]、少しは私のことがわかった?
なら良かった。他人に自分のことを話すのは苦手だから……
なら、これからゆっくりわかり合えばいい。戦いは続くし、私たちにはまだ時間がある
でも、私ばかりが一方的に話しているだけのような気がする……。今は任務も中断するしかないし、
この機会に、私にも[player name]のことを教えて欲しい。空中庭園の記録を見ても、あなたがどんな人なのかまではわからなかったから
なんでもいい。あなたの習慣、思想、過去……思いついたことを何でも教えて欲しい
構わない。どうせ……
この雪がやむまで——
あー……実はおいらもここに避難してたりするんだが……
……
本当に……ついてない!