Story Reader / Affection / ヴィラ·緋耀·その5 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ヴィラ·緋耀·その4

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眩暈――

朦朧として、ウトウトする

自分がどこにいるのかわからなかった。横になっているような、何かに支えられて立っているような、誰かに背負われているような……

耳元でブーンブーンと音がして、時折、断続的な声が聞こえてくる

あなたって!本当に!厄介者ね!

……

簡単にこの旗印を!抜かせるもんか!

……

ええ、ええ、痛いわよね。前にこの痛みを感じたのはいつ?

あ、いや、あら、気づいたの?

……フン、まだ意識があるのね、私の声が聞こえる?

だったら――

さっさと起きて!

今すぐ起きなさい!

ブツン、ブツン。体に何かの衝撃が与えられているような感じだ。体のあちこちから柔らかな感触が伝わってくる

しかし、痛みはまったくなく、わずかな感触しかなかった

構造体

[player name]重傷です!流血量が限界値を超えました!

緊急救助!緊急救助!医者はどこですか!人間を救助できる構造体はいませんか?

ああ……そうか、自分は怪我をしたのだろうか

おそらく誰かが応急処置をして、連れ戻してくれたのだろう

かろうじて目を開けると、光が見えた。灰色の青空の下に、廃棄された構造体が山積みになっていた

少女スカベンジャー

うっ……うっ!死なないで!

自分を呼ぶ、誰かの声がする

ヴィラ

この状態だと、もっと大がかりな手術が必要ね

ふふん、さておき、こういう時に何かステキな治療薬があるといいわよねぇ?そう思わない?

薬?治療薬……

ある種の強心剤よ。ひとりにひとつ注射するだけで、短時間で瀕死状態の人間を蘇らすことができる

喉を震わせながら、力を振り絞って、手を上げた

震えるように声を出したが、声はやがて出なくなった

構造体

あの![player name]は今なんと言ったのです?

聞き取れなくて、何かの指示ですか?

もう結構だ、ここには本当に医者がいないのか?

ヴィラ

アハハハ……

人混みの後ろで、穏やかな笑顔を浮かべていた赤毛の構造体は、冷たい笑い声を発した

ヴィラ

いいわ、邪魔よ。早くどいて

この人を私の目の前で死なせる訳にはいかない。これからこの医療テントで大手術を行うわ。私ひとりで。全員ここから出ていって

構造体

ま、待ってください、何ですって?

ヴィラ

出ていって、と言ったのよ。聞こえないの?それとも武器で追っ払って欲しい?

構造体

でも、あなたも負傷しているんだ、メンテナンスする必要が……

ヴィラ

あら、心配してくれるの?必要ないわ。ゲームはもう終わりなの。あなたたちがどう思おうがもうお構いなし。空中庭園に戻って、恐ろしいやつがいたと言いふらして結構よ

――邪魔をするなら武力で解決するわ。覚悟しておいてね

この程度の負傷なら、手術には差し支えないわ。アハ、むしろ、このくらいの痛みがあった方が――手術の時に冷静さが保たれるでしょうよ

真っ赤な人影が人混みを掻き分けてこちらに向かってきた――いや、正確には、人々が自発的に道を開けたといった方がいいだろう

赤い人影が自分の目の前にしゃがみ込んだ。ぼやけた視界が綺麗な顔で覆われる

指揮官、生き延びたいのね

彼女は自分の片側の目に顔をあて、柔らかい髪の毛を介して、耳元で囁いた

では、乞うご期待――私じきじきに治療してあげる。少し痛いかもね

――いや、かなり痛いわね。とても痛いわ