Story Reader / Affection / カレニーナ·輝暁·その1 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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カレニーナ·輝暁·その3

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——!

命令を聞いた構造体兵士は瞬時に意味を理解して頷いた。3名1組になり、あちこちに散らばった侵蝕体を取り囲んでいる

大量の侵蝕体に対して、兵士の限られた火力には絶対的な殺傷能力はない。だが、激しく襲う弾丸は侵蝕体を後退させ、目的の場所に近づけている

構造体兵士たちが引き金を引く手を止めた。銃口は依然として侵蝕体に向いているが、すでに勝負はついていた

——!!!!

銃撃が止まったため、侵蝕体はすぐに攻撃体勢に入り、目の前の敵を引き裂かんとして襲いかかってきた

しかし、すぐに足下に支えとなる地面がなくなったことに気づき――次の瞬間、足場ごと崩壊し、大きな穴ができて全ての侵蝕体を呑み尽くした

仰った通りだ……侵蝕体の重量に耐えられなくなって、地面が崩壊しましたね

ここはかつて商業施設の最上階だったようだ。長い間放置されていたので、耐荷重の限界を超えるとすぐに崩壊し、そこに立っている者は地獄の底へと突き落とされる

彼女の正確な判断があったからこそ、いとも簡単にこの付近の侵蝕体を一掃することができた――今の時代、弾丸は非常に貴重だ。1発も無駄にしたくはない

これで、この辺りの侵蝕体は全て片づきましたね

もう慣れました。いまは工兵部隊の方が大変でしょう。再建の補給物資は輸送中だし、安心して暮らせる場所がない人たちもまだたくさんいますし……

あの危険な建物を取り壊してから、カレニーナが保全エリアのあちこちを走り回っている姿をよく見るようになった。彼女が休んでいるところをほとんど見たことがない

ちょうど空中庭園に提出する建築材料のリストについて、カレニーナに確認する必要があった。任務が終わったら、彼女のところに行こう

端末でカレニーナの位置を確認した。すると、彼女の信号は予想外の場所にあった

ゴミが人類の文明のスケールを表すとすれば、これらの「丘」とも呼ぶべきゴミの山からは、黄金時代の発展のスピードがうかがえる

捨てられた物たちが集う死のような静寂の中から、突然、ぴょこんと活気に満ち溢れた少女が現れた。その存在は、この地においてかなり異彩を放っている

カレニーナは、1枚の黒い板をゴミの下から慎重に引っ張り出していた

よおっし!

カレニーナは、慎重に狙いを定めると、シュッという音とともに巨大な板を素早く引き抜いた。その上に積まれていたゴミはほんの少し揺れただけだ

ふふっ、完璧だぜ……

2秒ともたずに、静止していたゴミの山が突然、雪崩れとなってカレニーナに押し寄せ、彼女を圧倒した――しかし、瞬時に彼女が頭上に高く挙げた板は無傷だった

とっさに出てしまった自分の叫び声を聞いて、カレニーナの頭上の逆元装置がいきなりゴミ山の中から突き出てきた

それと同時に、彼女は素早くゴミの山から飛び出した――

お前、ど、どうしてここにいる!?

へっ、当たり前だろ、これくらいで怪我なんかするかよ……ちょっとビックリしたけどな

目の前に飛び出してきたカレニーナに近づいてみると、彼女の顔はそこら中が埃まみれだった

しかし、カレニーナは意に介していないらしい。埃まみれの顔に、ひときわ澄んだ瞳を輝かせている

そしてカレニーナの瞳よりも眩しいのは、彼女が手に持っている板だった……眩しい、眩しすぎる

お?これか、これは太陽熱を効率よく集めるための集熱板だ。太陽エネルギーを集めて蓄積できるんだ

最近、夜は気温が低い……移動したスカベンジャーたちの臨時の収容場所には暖房器具がない。だから、集熱板と他に使えそうなモンで、簡易の暖房器具を作ろうと思ってな

カレニーナは耳から下がった髪の毛を指に巻きつけながら、目を少し泳がせている

暖を取るためでも火を焚くのは危ねえしな……万が一火事でも起きたら、また工兵部隊の仕事が増える……

カレニーナが目をぱちぱちと瞬かせ、不思議そうな顔でこちらを見た

お前が?材料集めを?これは戦闘を指揮するようにはいかねーぞ。頭脳よりも、目と洞察力が必要なんだ

集めた物が本当に使えるかどうか判断しなくちゃならない……「宝物」なのか、「ゴミ」なのか、経験と想像力がモノをいうんだ

カレニーナは話しながら、足下のゴミの山から小さな装置を拾い上げて、こちらに投げて寄越した

これはエネルギー変換アダプターだ。少し壊れてるけど、修理できると思うぜ

前にスラム街にいた時、よく爺ちゃんとゴミ捨て場で宝探しをしたんだ。いろんなパーツを使って、自分たちでさえワケのわからない装置を作って遊んだよ

カレニーナはエネルギー転換アダプターを接続し、簡単に修理すると、それを太陽光集熱板にセットした

たとえ今は取るに足らないゴミでも……技術者がちゃんと修理すれば、皆を幸せにする宝物になるかもしれないんだぜ

体を屈めてゴミの山を探ると、太陽の光に輝く物体を見つけた。拾い上げると、綺麗な模様がついたチップのようなものだ

カレニーナは受け取って、太陽の光に照らしてじっくりと眺めた。真っすぐな白い光が、その半透明のガラスを通過すると七色の光に変わった。すると、彼女は両手をすくめた

残念だな、これは使える代物じゃない。ただの装飾用のランプだ。光も少ししか出ない……もう壊れてる。紛れもない「ゴミ」だな

少しがっかりしながら、カレニーナからその小さなランプを受け取り、ゴミの山に再び捨てようとした

待て待て……別に捨てる必要はねーよ!

カレニーナはそのランプを自分から奪い取ると、更にじっくりと見て、笑顔を浮かべた

ふーん、せっかく拾ったんだ。これも何かの縁だろ、オレがもらってやるよ。この薄暗いランプを、目を眩ませるほど明るいランプにしてやらぁ!

ひょっとしたら……そうだ、あそこに置けるかもな!

カレニーナの目線をたどると、建物の陰に見慣れた施設が見えた

そうだ、観覧車には灯りが大量にくっついてるじゃねえか、これも飾ろうぜ

だな、でもこの観覧車の構造はしっかりしてる。多少放っておいても倒れたりはしない

動力システムがまだ生きてたら、再稼働できるかもな。そしたら……いや、今はそんなことを考える時じゃねえ

カレニーナは目線を戻すと、ゴミの山から獲得した「戦利品」を拾い上げた

はぁ?んな訳ねーだろ。ただ晨星スタジオリゾートで夜に……

突然、カレニーナは立ち止まると、顔を紅潮させた

な、なんでオレの顔、こんな汚れてるんだよッ!?!?

カレニーナは、すぐにゴシゴシと手で顔を拭った――どうやら集熱板に写った自分の顔を見たようだ

おいっ、もっと早く教えろよ!

関係ねーよッ!!!大バカ野郎!!!

その時突然、保全エリアの責任者から通信が入った。責任者は焦った口調で、順調に稼働していた浄化塔がいきなり故障したことを知らせてきた

……浄化塔の出力が大幅低下??原因不明??なんでだ……わかった、すぐ行く!

ふたりで収集した材料を急いで輸送車に積み上げると、すぐに浄化塔へと向かった