Story Reader / Affection / リーフ·白夜·その6 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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リーフ·白夜·その5

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???

思い返すと……

間に合わない……指揮官……!

間に合わない、諦めてください

しかし、これは昇格者とのリンクとは違います。彼らはまだ秩序を保っている

リーフはもうすでに完全なる侵蝕状態です。今、彼女とリンクするとあなたのマインドビーコンは、確実に侵蝕されてしまいます

え?つまりは……華胥がファウンスの槍システムに侵入して、あなたのマインドビーコンをそこにいた侵蝕体の侵蝕された意識海に……強制的に投入したというのですか?

なるほど。皆があなたには昇格者とリンクできる能力があるというのには、そういった経緯があったのね……

侵蝕体の意識海はどんなものでした?

そんな状況下でリーフの意識の欠片を見つけ出す自信がありますか?

ふたりの研究者は互いに視線を合わせたが、どちらも口を開かなかった

はっきり言いますが、これは戦場に行くのとは訳が違います。あの時は多くの人が援護してくれて、サポートもできましたが……

今は違う。ただのテストであっても、少しでもミスすれば、あなたは完全に狂ってしまう

私たちが知る限り、昇格者とリンクしたことのある指揮官はあなただけです。なぜか?それは、このテストが危険すぎるからです

……

ああ……

ファウンスの槍を通せば、混沌とした情報の中の、ほんの一部の光景を具象化することができる

……それはいいアイデアですね

お若い人、もっと自分のことを大切になさい

それは「成功」の度合いにもよります

…………

その後、何か起きたのだろうか?

繊細な記憶の糸を手離さないよう慎重に、更に多くの場面を思い出していった

ぼんやりと、どうやってリーフを見つけたのかを思い出してきた

ファウンスの槍が構築した光景からデータの乱流の中に潜入した。最初の欠片はすぐ近くにあった。リーフが彷徨っている姿に似ていたのだ

これは奇跡や幸運ではない。それはグレイレイヴンの記憶に蓄積した、互いの絆によるものだった

アシモフによれば、それは混沌とした画像の中から最も馴染みのある形を探すような作業だ。過去の記憶が灯台の光のように導いてくれた

もしかして……構造体がマインドビーコンを求めて意識海を構成する時にも、似たような感覚になるのかもしれない

最初の手がかりを掴み、それと似たような存在を探す。乱雑で無秩序な情報に潜り込み、新しい光景に入っていく

次の意識の欠片は、至るところに負傷者がいる戦場だった

閉塞、停滞、崩壊

人々が長い年月をかけて作り上げた浄化塔が廃墟になり、新たに建設した工場は燃えて灰となっていた

廃墟の中で炎に巻かれた多くの死者が、腐敗する悪臭の中、無言で泣き叫んでいる

これは無意味な悪夢ではない。本当に存在する現実であり、彼女の記憶である

地獄絵図の中、リーフが重傷を負った生存者を引きずって歩いていた

少女のか弱い姿は、まるで地獄の中に垂らされた蜘蛛の糸のようだった。自身の機能はすでに使えず、足を負傷しながら、彼女はなおも歩き続けていた

彼女の幻影に追いつこうとした時、瀕死の構造体に足を掴まれた

これはもはや変えられない記憶であるとわかっていても、その助けを求める両手を振り払うことはできなかった

これは彼女の2つめの意識の欠片――

彼の残りわずかな命が消えたあと、自分の姿がリーフと重なった……

彼女の記憶の道標に従って、古びた野戦病院に戻り、彼女の馴染みの人々に会った

ここの時間の流れは早く、彼らの姿は時間経過撮影をする際の街並みのように、廊下と病室の間を行き来している

窓から差し込む日差しが地面に影を作り、それがまるで時計の針のように動いている

患者たちが行き来し、そこには悲しみと別れがあった。しかし、ここにいるのはいつも、彼女ひとりだけだった

少女は時間に見捨てられ、母親の墓標の前に咲くスイカズラだ

これは彼女の3つめの意識の欠片――

スイカズラに絡む蔓に沿って、見慣れた砂浜に落ちた

ここにはリーフの、グレイレイヴンでの温もりが保存されている。ここに留まっている意識の欠片はひとつだけではなかった

夜になると、彼女の背後に1本の弱い光があるのが見えた

その光は海底にまで続いており、そこにはもうひとりのリーフが彷徨っている

……皆さんの足を引っ張りたくなかったんです

心を完全に開いてくれる前、彼女が心の奥底に隠していた孤独と自責――海の底にはそれが横たわっていた

はい

「現在」と「未来」のリーフのように、彼女は過去の孤独も自分に託してくれた

これまでに、意識の欠片を5つ集めることができた

探し出す過程は長く辛かったが、それなりに順調といえた

外でサポートを続ける研究者たちは、あとひとつ意識の欠片を探し出せば、リーフを呼び覚ますことができると思っていた

しかし……

そこで倒れていた人々と同じく、侵蝕体の波に飲み込まれ、真っ赤な人影に貫通されてしまった

記憶の傷が再び抉られ、苦しみと記憶が大きな波となって、探索を続ける存在を虚無の海へと飲み込んだ

あの日もそうだった……

混沌と無秩序が傷口から入り込み、マインドビーコンの中で根を張り、野蛮に成長していく

この失敗は変えられないのだろうか?

また寸前で倒れてしまうのだろうか?

……もうリーフには会えないのだろうか?

ここはどこだろう?どうしたらここから出られる?どうしたらこの状態から抜け出せる?

取り戻した記憶からは何の答えも得られず、宙に浮いたまま無闇にもがき続けた