リーフ、今日の訓練の準備ですか?
はい、皆さんの足を引っ張るわけにはいきませんので!
リーとリーフはグレイレイヴンの仲間。本人は自覚してないようですが、リーは生真面目で几帳面……そして、リーフは優しくて寛容……
カムイ、支援小隊の位置はわかっているな?次回の共同作戦は事前の合流が……
えー!事前に合流ぅ!?バンジが起きられるわけないじゃないですか!そんなことより、グレイレイヴンがいますよ!おーい!
待て、戻れ!合流ポイントはこちらだ!
うわっ!隊長~!いきなり武器出したら危ないじゃんか!
おーい!ルシア、ルシア~!!助けて~~!
カムイとクロムはストライクホークの隊員と隊長……。カムイは見た目通りに明るく朗らかで、クロムは責任感に満ちている……
何で無視すんだよ!ルシア~!
おい、なんでソフィアがこっちに来てんだ?うちは託児所じゃねぇんだぞ
ソフィアは戦士
は?お前が?
……今ここで実力を確かめたい?
待ちなさい。カレニーナ……私を困らせないでください
そんなこと言ったってよ……
面倒を起こさないでください。ソフィアにとって、あなたは先輩なんですよ?
先輩か……悪くねぇな
少し無口なソフィアに、短気で自信家のカレニーナ。そして何でもできる完璧なビアンカ……
補足、ビアンカはあらゆる分野において、すごい。……うん、本当にすごい
ルシアは休憩がてら、目に入った人物を片っ端から批評しているようだ
仲間のことを理解しようとしているんです。データと私の所感を照合すれば、より理解が深まると思って……
からかわないでください、指揮官。……まさか、聞こえてるなんて思ってませんでした
決して怪しいことをしていたわけではありません。皆をもう一度理解し直そうとしているんです
頑張ってるわね、ルシア
測定器を手にしたアイラが話しかけてきた。どうやら調査から帰ってきたところらしい
アイラ……明るく自由な女性型構造体。世界政府芸術協会に所属していて、総じて優秀だが、たまに抜けているところもある
いいのよ。芸術家というのはそもそも批評されるものだし、慣れたものだわ
ふたりの目には、私がドジっ子に見えてるのね……しょんぼり
それに、ルシアったら「アイラ」以外の呼び名を忘れてるんじゃない?
他の呼び名……?えっと……以前のデータに関連情報はないようですが、記録されてなかったんでしょうか
ルシアはしばし考え込んだが、どうにも思い出せないらしく申し訳なさそうな表情を浮かべた
すみません、どうしても思い出せません。以前の私はなんとお呼びしていたんでしょうか?
「アイラたん」よ
アイラ……たん?
そう、それそれ。ルシアたん、指揮官たん、の「たん」
アイラが突然こちらを振り向いて抱きついてきた。腕に顔をうずめ、甘えるようにこすり付けてくる
(……高級羽毛布団もかくや、という柔らかさだ)
なによ?ルシアに見本を見せてあげてるんだから。指揮官も協力してよね
呼んでたわよ。指揮官だって前はルシアに「たん」付けで呼ばれてたじゃない
ルシアは、アイラの目がいたずらっぽく光っていることには一切気づかず、ただただショックを受けている
なんてこと……以前の私は他人のことを「たん」付けで呼んでいた……しかも指揮官まで……
あ……ありえない!騙されてはいけないわ、ルシア……
と、とにかく!
気を持ち直したルシアは、アイラを強引に引っぺがした
指揮官。アイラの発言の真偽はさておき、公共の場における過度な身体接触はお控えください
指揮官の安全のためですから……では!
そう言うが早いか、ルシアは廊下を曲がり姿を消した。アイラが微笑みながら指揮官を見つめている
ちょっとからかっただけなのに……ふふ、指揮官ってば、本当に罪な人なんだから