Story Reader / Affection / ルシア·鴉羽·その2 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.

ルシア·鴉羽·その1

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あとはウォールを設置するだけですね。リーフ、端末の調整をお願いします

はい、任せてください

戦闘後のリーは、各種装置の設定で忙しい。少しでもその負担を減らそうと、リーフも何かとフォローを買って出る

今のところ指揮官のお手を煩わせる必要はありません。それより、ルシアの様子を見に行った方がいいのでは?最近は任務が終わるとすぐ、どこかへ行ってしまうので……

……気まずいんでしょうか……

そんなことないとは思いますが、念のため様子を見に行った方がいいかと

恐らく、この先の広場にいると思います。……様子を見に行ってみては?

やぁッ……!

違う……ここは左から振り下ろすべき……

リーに教えてもらった方向へ向かうと、ほどなく刀を振るうルシアの姿を見つけた。どうやら、刀を振り下ろしては収める動作を幾度も繰り返しているようだ

ブツブツと独りごちながら、一心不乱に励んでいる

指揮官……次の任務でしょうか?申し訳ありません、つい夢中になってしまって

紅蓮と黎明の刀術を学んでいるんです

……せっかくですし、ご指導いただけませんか?

いえ、戦い方を教えていただきたいわけではなく、ちょっとしたやり方や習慣的なことについてです

ありがとうございます。指揮官なら絶対に受け入れてくださると思っていました……あ、いえ……データ資料に、指揮官は私の要求を拒否するはずがないとあったので……

ご承知の通り、今の私はルシアでありながら、ルシアではないのです。このままでは、皆とのコミュニケーションに偏差が生じかねません

ですから、できるだけ以前のルシアと同じであるよう、日々データを研究しているのですが……なかなかうまくいかないんです

いえ……無理をしているわけではありません。自分が持っているあらゆるものを、大切にしたいだけなんです

とにかく、刀を振るう私を見守っていてください

継承した記憶データに、ルシアが指揮官に見守られながら訓練を行った記録があります。指揮官なら、ルシアの攻撃頻度や構え等をよくご存知のはず

以前意識モデルの整合化を行った時と同じように、指揮官が隣でご指導してくだされば、もっと速くかつての記録を理解し、自分の力にすることができると思うんです

では、いきます……

すみません。指揮官、一旦戻ってきていただけませんか?

ルシアが刀を振り上げた瞬間、通信チャンネルからリーの声が響いた。リーフの申し訳なさそうな顔が映し出されている

さきほど設置した装置には、指揮官の生体認証がないと解除できないものがあったんです……。確認不足で、申し訳ありません……

そういうことでしたら、ただちに指揮官と戻ります

大丈夫です。どのみち休憩時間も残りわずかですし、後日改めて練習します

掃討済みとはいえ、指揮官おひとりにするわけにはいきません。護送します

ところで、指揮官。手を繋ぎながら戻ってもよろしいでしょうか?

別のデータを確認するだけです。これも整合化の一環なので

ありがとうございます。……訓練は中断しましたが、せめて移動中に別のデータを確認できたらと思ったんです……

ルシアは刀を収めると、指揮官の手をそっと握る。手が触れたその瞬間に、ルシアの震えが伝わってきた

こ……この感覚……

ルシアは、繋いだ手の上にもう一方の手を重ねた

これ、は……

震えがより一層強くなる。手をしっかり握り締められ、身動きも取れないままルシアに声をかけようとしたその時――

指揮官、申し訳ありません。きゅ、急用を思い出しましたので、私はこれで……!

ルシアは振り返りもせず、逃げるように走り去ってしまった