Story Reader / コラボ / 幻哭のエレジー / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ダンテ

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ハァッ!

まるで遊んでいるかのように、赤いコートの男は異合生物を容易く撃破していく

そしてその動きからは驚異的な射撃スキルを持っていることが窺えた

おやおや、お次は追いかけっこか?そう簡単に逃がしゃしないぜ!

数体の異合生物が逃げ出すと、赤いコートの男はすぐにそれを追う

次の瞬間には、もう男は彼方へと走り去っていた

えっと、とても親切な方……みたいです、ね?

ちょっと待て……

予想もしない方向から若者が呼びかけてきた

もしかして[player name]か!?

かつてノクティスとともにニューオークレイで任務を遂行した際に出会った、ニューオークレイ町長の息子である

その様子からして、どうやらダンテさんとはもう会ったみたいだな

ああ、ダンテさんはニューオークレイに滞在してるんだ

僕たちは保全エリアの救援要請を受けてここまで来たんだが……

ヴァンは周囲の瓦礫を見て、ため息をつく

ひと足遅かったみたいだな……

ああ、大体2週間くらい前からかな。ニューオークレイはあのコウモリの化け物に襲われ始めたんだ

最初の異合生物の群れは倒せたんだが、どんどん数が増えていって……

そこに運よくダンテさんが来て、異合生物を撃退してくれたんだ

ダンテさんがいなかったら、ニューオークレイは陥落してたかもしれない

今回の異合生物は、これまでの個体とはどこか違うようです

確かに……上手く言えませんが、今回襲撃してきた異合生物からは別の気配を感じるような……

ダンテさんが言うには、それは……

悪魔だ

逃げた異合生物を始末したのであろうダンテがこちらに向かって歩いてくる

ダンテの言葉には驚きを隠せない。大半の人にとっては、悪魔など物語に登場する伝説にすぎないだろう

この技術が舵を取る時代において、神や悪魔の発見は報告されていない。「悪魔」と呼べるものは存在するが、この世界にいる誰もがその真の名を知っている――

「パニシング」だ

そう、悪魔さ

どんだけ離れてても連中の臭いがプンプンしやがる

俺か?

彼は笑いながら手に赤い粒子を集め、虚空から魔剣を呼び出して自分の話を証明してみせた

俺はダンテ、デビルハンターだ

ニューオークレイ

ニューオークレイ

輸送車はニューオークレイに到着した。ここを訪れるのはこれで二度目だ

前回来た時とは違い、明らかに緊張した雰囲気が漂っている

町の周辺にはバリケードが築かれ、監視塔では構造体が警戒している。そして住民たちは物資の詰まった箱をひとつ、またひとつとどこかへ急ぎ運搬していた

そんな状況であっても、道端では今も住民が露店を出して物を売る姿があった

露店の女性

あら、ダンテじゃないの。リンゴでもどうだい?

ダンテは放り投げられたリンゴを軽々とキャッチした

ありがとよ、もらっとくぜ

巡回中の構造体

ダンテ、今夜一杯どうだ?

いいね

ドアの前に座っている老カウボーイがダンテに帽子を取って挨拶すると、ダンテはニヤリと笑ってそれに応える

なんだかダンテさん、大人気みたいです

ですね

リーフの言葉を聞いたヴァンが微笑む

ダンテさんには何度も異合生物を撃退してもらってるからな。もうニューオークレイに欠かせない、大切な町の一員なんだ

ヴァンはそう言いながら、視線を自分に向けて反応を窺っているようだ

ヴァンが何を言いたいのかは当然理解していた。それについてわざわざ言葉にする必要もない

直接関係のあった自分たちはともかく、彼は空中庭園そのものに対してはまだ、敵意を抱いているように感じられた

一行は酒場の前までやってきた。ダンテが扉を開けて店に入れば、客たちは一斉にこちらの方へと振り返った

ニューオークレイで一番イカしてるバーにようこそ

特殊な状況であろうとも、酒場は依然として賑やかだった

もしかしたらここで暮らす多くの人々は、いつ何が起きるかもわからぬ日々に慣れているのかもしれない。彼らにとっては今の状況も地上でのありふれた日常にすぎないのだ

ダンテ、戻りやがったか!

もう一杯くれ!そして我が友ダンテにも!

カンパイ!

ダンテは金色の液体が溢れそうなほど注がれた一杯を受け取りつつ、一行を静かな隅の方へと案内する

ダンテ、俺の新作ピザの味を見てくれねぇか。お前のアドバイス通りにレシピを改良したんだ、この前よりゃマシになってるはずだぜ

グッドタイミングだな

お?[player name]も来たのか?

そうかいそうかい、ようやく空中庭園の皆様のお出ましってわけか

まぁ、ゆっくりしてってくれよ

一行が話しやすいように、マスターは折を見てその場から離れてくれた

ダンテはソファに座ってくつろぎながら、目の前の人物を見つめる

そんじゃあ……悪魔狩りの報酬について話そうか。あぁっと……なんだったっけか?そう、空中庭園とやらの指揮官さんよ?

そうかい

ダンテはたいして気にもせず、ピザをひと口かじる

いいぜ、ガキでもわかるように優しく教えてやるよ

まず、俺の世界には人間界と魔界があるんだが……

?!

早速質問かよ?やる気マンマンだな?

そりゃ文字通り「俺の世界」のことだよ、なんか問題か?

この2週間、ここらを観光して回って知った限りじゃそうなるな

心の中の驚愕をなんとか抑えて、ダンテに続きを促す

俺の世界には人間界と魔界があって、魔界は悪魔どもの世界だ

あいつらは暇を見つけちゃ人間界に潜り込んで人間にちょっかいを出してきやがるのさ。俺の仕事は依頼を受けて、連中のケツを蹴り上げることだ

というと?

あぁ――

ダンテは軽く笑って肩をすくめたが、その語気はすぐに一変して真剣な様子を見せる

俺の体には悪魔の血が半分流れてるからな

長い沈黙がしばらく続いたあと、ダンテは再び話し始めた

なんだ、ビビったか?

へぇ、いい目つきじゃねぇか、悪くないぜ

悪いがその質問には答えられないな、俺だってサッパリわかんねえんだからよ

俺はアイツと魔界で悪魔どもを始末して遊んでたら、突然わけのわからねぇ強い力を感じて吸い込まれたのさ。そんで次の瞬間にはこの世界に放り出されてた

まぁ、そうなるな

なぁ、お前らの世界のことはなんとなくわかってる。もしかすると、お前らんとこの空中庭園とやらなら俺を元の世界に戻せるんじゃないのか

俺が悪魔どもを始末するのを手伝ってやるよ。その報酬として、お前らは俺が元の世界に帰るための道案内をしてくれ

無数の考えが頭の中に浮かぶ……悪魔に、デビルハンター……

見る目があるな

ダンテは待たされることを気にする素振りも見せなかった

景気のいい知らせを待ってるぜ

…………

………………

アシモフ、そんな話がありえるのか?

科学的に他の世界の存在はまだ証明されていない。だが、ここ数世紀の間に異世界に言及する理論は数多く発表されている

それに……

まるでありもしない頭痛を和らげようとするかのように、アシモフはこめかみを軽く揉んだ

すでにことは起きている

…………

わかった

協力することに異論はない

もし悪魔が存在するのなら、このダンテという人物は問題解決の鍵となる。もし悪魔が存在しないのであれば……

少し間を空けて、続けた

彼はただの人間にすぎない、というだけだ

代行者に昇格者、果てにはコレドールという生物まで相手にしたのだ。これ以上おかしな存在が何人か増えたところでそう変わりはしないだろう

前線での具体的な状況判断はそちらに任せる

そんで、お前んとこのパパとママはなんて言ってた?

賢い選択だ

端末で再び録画映像を再生する。そして斬撃を放った人影のシーンに差しかかった、その瞬間――

横にいるダンテの表情が曇ったのが、目で見てはっきりとわかった

そして彼の体から、尋常ではないほどの大きな力の気配が放出された

こいつは……

バージルだ

俺の……兄貴だ……

その場の空気が固まる

ルシアが半歩前に出ると同時に、リーは右手で銃のグリップを握ろうとする

ダンテはその動きに気付いたようだが、特に気にせず再びソファに座った

俺とあいつが戦った回数なんざ数えきれないくらいだ

こんなふざけたマネをするとは思えねェな、だがもしも……

もしも今回の件にあいつが噛んでるっていうなら、俺の手で片付けてやる

ピピピピ――

話を続けようとした瞬間、端末の通知がタイミングよく鳴り響いた