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ひと筋縄ではいかない人ですね
巨大な星環の前に立ち、イシュマエルは手にした本をめくっていた
金色の文字が静かに現れ、そして消え、新たな「道」が最終ページに現れた
本当に……「奇跡」です
いや、あるいは、「奇跡」と呼ぶべきではないのかもしれない
無数の灯火が照らす文明の残光。ルシア、グレイレイヴン指揮官、ナナミ――
もがき続ける無数の意志がこの瞬間ひとつになり、天地を揺るがす雄叫びを上げた――
彼らは再び終焉を迎えることに甘んじない
運命の歯車は静かに動き始めた
銀白色の瞳の女性は、不思議な笑みを浮かべた
…………
彼女は見た
指揮官の意識海に集まる「灯火」を――
彼らが骨と血で大地に刻んだ文字を――
文明全体が放つ雄叫びを――
彼女はその全てを見た
それら全てが動き続けた結果、彼女はこの文明の「未来」を見た
ならば……
彼女はもう、彼らの背を更にひと押しすることを厭わなかった
それが彼女に大きな代償を求めるとしても、これほどの文明は、期待される未来を持つに値する
彼女はこの文明の中で、彼らとともに、その結末を見届けたいとすら思った
四翼のホワイトレイヴンのご加護を……
彼女が手の中のサイコロを振ると、金属がぶつかる澄んだ音が響いた――