星々が散らばっている。いくつかの星は呼吸するように、この奇妙な宇宙で瞬き始めた
――ふぅ
星屑に覆われた宇宙の幕が、ほんの少しめくれたような小さな世界の片隅――そこに、灰色の髪の少女が座っていた
彼女は手中のバーチャルスクリーンを回転させて眉をひそめると、画面上の複雑な座標をテキパキと調整し出した
うーん……違うな……
この座標じゃないみたい……別のを試してみよう
銀河の欠片に映るぼんやりした景色は、彼女が座標を調整するにしたがってくっきりし始めた
違う……
灰色の髪の少女の期待に満ちた声は次第に落胆の色を帯び、彼女は何度も行き来したこの空間を困惑の表情で見渡した
限られた星の光では宇宙全体を埋め尽くすことはできない。中心に浮かぶ彼女は、砕け散った渦に触れようと手を伸ばした
色とりどりの星々の渦が眩い輝きを放ち、時空が膨張して引き延ばされる。煌めく銀河が彼女の前を流れ去っていく
彼女は過去を見た
友人の肩に降り注ぐ昔日の光を
砂漠での出会いを
見知らぬ暗闇を
そして、果てのない星空に漂う希望を見た
しかし……
違う……ここでもない
彼女はバーチャルスクリーンを操作し、がっくりとうなだれた
どうして……?新機体のナビゲーションシステムに問題があるのかなあ?
演算にミスはないはずなのに……どうして帰還座標が見つからないんだろ……
彼女は再び、この宇宙で迷子になってしまった
うぅ……
どうしてこんなことに……固定アンカーポイント、どこに行っちゃったんだろう……
限られた星の光では宇宙全体を埋め尽くすことはできない。彼女は空虚な世界を困惑したように眺めていた
どうしてナナミは帰り道を見つけられないの……
彼女は小さくため息をつき、少し悲しげな様子で考え込んだ
星々の渦が回転すると、時間と空間が複雑で捉えどころのない軌跡を描き、川の流れのように無限に引き延ばされていく
少女は再び手を伸ばし、流れの中から正しい糸を掬い上げようとした
彼女は見た。あの笑いを
血の涙のように滴る機械オイルを
同胞の嘆きを
経験したことのない潮の満ち引きを
そして……
夜空に輝く名月と花火を見た。その時間軸に沿って、彼女は再びあの人間を見た
指揮官……
演算モジュールのクールダウンタイムに入ります――
バーチャルスクリーンはパワーダウンしたように、この宇宙の中へ消えていった。しかし灰色の髪の少女は、意外にも元気を取り戻したようだ
短い演算を再び終えた時、意識海に人間の指揮官の姿がいつまでも留まり、なかなか消えなかった
ふう……今回も正しい座標は見つからなかったけど、意外な収穫があったね……
今頃、指揮官は何してるかな?
あ!絵本とかの物語みたいに、満天の星々を踏み越えてナナミを探しに来たりして!
……ダメだ、やっぱりそれはナシ!指揮官、疲れてるもん。ナナミが頑張って指揮官を探さなきゃ
だいじょーぶ、指揮官。待ってて!ナナミ、今行くよ!
急に漲る力を感じたように、灰色の髪の少女は手をギュッと握りしめ、張り切って再び宇宙の中へと消えていった
――いくつかの星は呼吸するように、この奇妙な宇宙で瞬き始めた