Story Reader / 本編シナリオ / 28 星灯宿す氷帝 / Story

商会と環城を焼き尽くした戦火が、万世銘全体をも焼き尽くそうとしている

常識的には、万世銘にアップロードされた意識データを再びロードすることは絶対に不可能だ

意識のロードは繊細な操作と極めて厳しい条件が必要で、万世銘や華胥を利用した意識の改竄を避けるために、万世銘にロードされる全意識に「死」の烙印が押されている

これが、そもそも万世銘の中に生者がいない理由だ

死は人間の意識の深奥に刻まれた恐怖だ。それは、人間が以前の生命状態に戻ろうとする本能的衝動から始まる

一度この烙印が意識に押されてしまえば、現実に送り返された意識であっても生の衝動と死の衝動が互いに交錯し、最終的には完全に引き裂かれてしまう

死は死でしかなく、死者が生者として真に復活することは決してない

ただ、実際に死んだ者ではないのなら、死の温もりに抱かれることもない

彼女はもう、自分が万世銘のデータ空間でどれほどの歳月を過ごしたのかを思い出せない

覚えているのは、大陸が分裂して再び合わさり、海が干上がってまた満たされ、息絶えた惑星がまた生まれ変わったことだけだ

「理想的な信頼度の推演目標に至る、最後の分岐点は……あなたの死です」

「私にはこの推演目標の正誤を確認できませんが、これは制御不能な変数の乱れの中、唯一得られた近似解です」

そのために彼女は万世銘の中で何度もループし、何度も遭遇した――

まさに今、この時のように

自らの死を「真に」引き起こす罠を仕掛けたとしても、世界は何の救済も得られない

九龍を繋ぎとめている細い糸、これこそが運命だ

死体の山と血の海の中から一歩踏み出したのは、最後に生き残った最後の王<//罪人>だった

空虚な星々の中にある、骨と嘘で築かれた宮殿。それが我が唯一の住まいだった

<赤い空は昼でも夜でもなく、太陽がどこにひっそり沈んだのかもわからない。助けを呼ぶ声があちこちから聞こえるが、死にふちどられた森の中に虚しく響き渡るだけだ>

予言は現実になろうとしていた

パニシングと異合生物が、現実の肉体と仮想データを同時に飲み込み、空をも舐める炎は万世銘の鋼の背骨を噛み砕いていく

<彼らはもうこの死の山や海に埋もれ、戦争の一部になったのかもしれない>

<わかっている。そう、これが戦争の一部で、支払うべき代償であることを。だからこれほど感傷的になる必要はないことも>

<それでも、何かが「心」を突き動かしてくる>

<それは探せとばかりに両手を地面につかせ、爪の中を血と泥で満たしてきた>

<それに駆り立てられ、探し、掘った>

<どれほど時間が経ったのだろう。そもそもここに時間の概念は存在しない>

<何もない。鉄に溶かされた死体以外、何も>

数十億年分の疲労と兆を越す回数のループが、我が身を圧し潰す

それに引き裂かれる――

何がそうさせるのか、まったくわからない

崩れ落ちた壁の中で、焼けて灰まみれの山の斜面で――

「私は、九龍とこの世界によりよい明日を残すことができなかった」

「すまない」

自分の周りにある糸が、一本、また一本と切れていくのを見た

「さすが曲さん、仰る通り」

「『代償』があるのなら、これは支払うべき『報酬』ですね」

もし……

本当に代償を払う必要があるのなら……

その代償は九龍が払うべきではない……

これが戦争の結果だ

私は誰ひとり救えない

まだ今も廃墟の中を探し回っている

深紅の泥の中で、砕け散った時代の中で――

その下に一束の青い髪を隠しているもう一枚の割れた石板を、私がめくるまで

しかし、彼女はまだ生きていた

でも、誰も来ない

手が彼女の顔を叩き、彼女の心臓を押さえていた

彼女の手の中には、一枚の輝く勲章があった

厳しかったですか？

新兵から不満を言われてもかまいません。こうすれば彼らの戦場での生存率を少しでも上げることができます

人類の短くも長々と文字に記された歴史の中で、抑圧され暗く希望もない、泥沼のような歴史が、この手の上にずっと色を塗り重ね続ける

こんな時代へと踏み入る自分が許せない

我が民がこんな時代へ踏み入ることは断じて許さない

私がここにいる限り、全てが……快方に向かうでしょう