ひとまず撤退を!
ギィ――
蒲牢は旋龍刃を力いっぱい振り、高台へ這い上がろうとする異合生物を真っぷたつに斬り伏せた
深紅の残肢は、海岸に絶えず押し寄せる新たな敵性体の餌となり、バラバラに解体されて飲み込まれ、また敵の新たな一部となった
擲弾兵!彼らを援護して撤退!
でも……どこへ行けば……
どこでもいい!
雲東貨物駅は輔城南駅から僅か1km離れた海岸にある。過去には九龍最南端の水運貨物駅として、海を渡る多くの貨物船が貨物の受け渡しを行う最後の地点だった
今でもその海岸は依然としてごった返しているが、それは――
敵の……数が多すぎる!
投げろ!投げられる爆弾は全部投げろ!
蒲牢たちがいる高台から見ると、青灰色だった砂浜はもはや赤い海の一部と化している。3kgのクラスター爆弾も、その海では少しの水しぶきを上げる程度でしかない
私たちだけじゃ……ここを守りきれない
どうすれば……!
とにかく輔城からは撤退しなきゃ。これ以上、人を死なせられない
外灘の巡回チームに連絡して、ここにつながるトンネル爆破の準備を
わかりました
隊長!こちらです!車の準備ができています!
高台の下の、地下鉄の駅を思わせる施設の前で数人の蒲牢衆が手招きをしている
急ごう!