Story Reader / 本編シナリオ / 28 星灯宿す氷帝 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.

28-0 深き波紋

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国民に、自国への深い愛を抱かせるには

まず国民が、自国の歴史を深く理解しなければならない

――銭穆『国史大綱』

空中庭園

世界連合政府議会ホール

11月9日、15:51

……ですから、我々空中庭園はあなたがた九龍内部の状況を一切把握していないんですよ。そんな状況でそちらと、はい、交渉成立とはいかないでしょう

更に華胥と授格者の行方がわからない今、我々はなおさら軽率に協力関係など結べません

それに、それにですよ!

100年前にあった書類が乱れ飛ぶ本物の「議会」よろしく、彼は手に持った書類をぶんぶんと振り回した

科学理事会が議会に提出したこの報告書には「この3カ月、ゲシュタルト中枢が悪意のある外部ネットワークから継続的に攻撃を受けている」と明記されています

皆さん、前回華胥が我々に何をもたらしたか、まさかお忘れではないでしょうね?

そう議論する声が円形状の空中庭園議会ホール中に反響して、最下段中央に座る蒲牢と嘲風の身に重い鎖のように纏わりついた

ふたりの前の机上には統計データや歴史記録、グレート·エスケープ間の世界政府の移民記録などのファイルが散乱している。しかもファイルは全て九龍に関するものだった

蒲牢は、非清浄地の区域外支援について「取引」しようと空中庭園に来ていた。だがもう2週間もこの構想や計画、図面、データ、歴史の泥沼にはまっている

えっと……その……

こちらから提供した夜航船データセンターの資料では、私たちも華胥の行方は掴めていないし、データセンターにも華胥の痕跡は何ひとつない、とあります……

だから、私たちが華胥を利用して空中庭園を攻撃するなんてありえません。華胥がどこにいるのかすら知らないんですよ!

念頭に入れていただきたいのは、現在、九龍は地上で唯一信頼できる海運供給者という点です。海で発生する緊急事態に対処するには、夜航船が必要不可欠だ

暗がりから別の議員が立ち上がってそう話し始めた。だが、蒲牢に対して言った訳でも、蒲牢の発言に影響された訳でもないらしい

先日、海底に異合生物とパニシングの痕跡が現れた。去年、海への赤潮流入を阻止するために払った代償はおろか、更に多くの者が死んでいるんです。Ω型武器まで投入したのに!

科学理事会が議会に提出したこの報告書には、前回の条件コードとの比較で、ゲシュタルトが受けた直近のサイバー攻撃は華胥の仕業ではないと明記されていますよ!

そしてもう数年前に、空中庭園に対する攻撃は九龍からではなく、昇格者――ルナの一味によるものだということも実証済みのはずだ

君はあの昇格者がとっくに失踪していることを失念したのか?それに、華胥が彼女の手に落ちていないとなぜ証明できるんです?

……確かに、それは証明できません

状況証拠だけ見れば、華胥が彼女の手に落ちた可能性は非常に高いということになる!

その言い方はやや正確さを欠くでしょう。同じ理屈なら、華胥が彼女の手に落ちていない可能性だって同様にあります!

それは無理がありますよ。どうしてそんな仮定ができるんです……

あなたがたは、基本的な共通認識すら持ちえないのですか!?

議論のさざ波が辺りに広がる。それぞれの胸に抱えた不安という名のさざ波が立つこの海は、もとより凪ではなかった

静粛に!

ハセンのひと声で、ホールは最初の静けさを取り戻す

やれやれだぜ……

グリースのやや気怠げな声が再びホールに響いた。ただその声はあることが原因で、以前よりもずっと控えめだった

少しよろしいかな?ハセン議長

ああ

ハセンは多くを語ることなく頷いた

世界政府にとって、黒野はいわば体内の悪性腫瘍だ。黒野内部でもさまざまな勢力が牽制し合っている。ハセンがグリースの議会復帰を承諾したのも、その点をふまえてだった

ただし交換条件として、グリースは議会での横柄な態度を控えるように言われていた

九龍に支援を提供して、何の問題があるんです?

俺から見りゃ、この件はそう騒ぐことじゃありませんよ。少しの金と物資で我らが地上の同胞を助ける、それに何の問題があるんだか……

私も同意だ

おほっ!?

珍しくリストが同意したのに驚いて、グリースは椅子から飛び上がりそうになった

依然リストは座ったままで、グリースには相手の表情がはっきりと見えない。ましてやリストの意図や魂胆など読み取れるはずもない

黒野内部では派閥争いが続いている。前回、リストの策略によってグリースは一時的に議会を離れ、黒野内部での動きもしばしば牽制されていた

そのために、グリースはこの突然の同意でかえってリストの真意を掴みかねていた

ウォッホン……俺が言いたいのは、たとえ議会で九龍への支援に同意しなくても、他の面でも九龍を支援できるってことだ。例えばこっそりとだな――

それには同意しかねます

ある議員が暗がりから立ち上がって口を開いた

ほう?

九龍夜航船から公式に支援依頼があった以上、この件は公に議会で決定され、処理されるべきかと

目に見えない場所での支援や協議は公明正大であれという議会の精神に反しますし、プロセスとしても不適切でしょう。そう思いません?グリースさん

杜衡はずっと微笑んでいるが、その穏やかそうに見えて実は腹に一物ありそうな表情に、グリースは戸惑った

それは議会としての意見だろう。俺の個人的な考えじゃ、議会の支援が難しい、じゃあ見殺しにするかってのはナシなんだがね?

これは議会が九龍の協議案に同意しないという考えに基づいているんだ、グリース

しかし私自身は、我々空中庭園、あるいは世界連合政府が九龍に対して適切な支援を行うべきだと考えている

これは私の議員としての意見であり……「人」としての意見でもある

ああ……そりゃ……もちろん……そうだろうがよ

グリースはようやく立ち上がったリストをちらっと見て、なんとか引きつった笑顔をしてみせた

そりゃもう、俺もリスト君と同じ意見ですよ

一瞬の静寂の後、議会ホール内では再び議論の波が巻き起こった

黒野内部の派閥が複雑に絡み合っていることは、政府や議会でも周知の事実だ。そして黒野の利益と強権至上主義は、長らく批判の対象だった

しかし今回の空中庭園と九龍の協力議案は、空中庭園にとっては明確に「道義」上の問題だった。つまり、実質的な「利益」はほぼないに等しい

――黒野にとってはなおさらだろう

空中庭園

世界政府にある九龍商会会館

11月9日、10:21、質問調査会5時間前

えっと、番号は……議会ではどこからどこまでの移民記録が必要なんだろう?

俺がやろう。共同体以前の旧九龍商会のものを調べる必要があるから、移民局と記録局に問い合わせて調べなければ。蒲牢、夜航船に連絡を

蒲牢は長々と溜め息をつき、持っていた分厚いファイルの束をどさっと置くと、古風な丸椅子にぐったりと座り込んだ

置かれたファイルの束は、海に流れ込む川のように机上に積まれた資料に混ざり合い、区別できなくなった

グレート·エスケープで多くの資料が失われたし、仕方ないわ

船の移民局や記録局だって、旧九龍時代の資料を保管しているとは限らないかもよ?彼が九龍を離れた当時、その資料についてはあまり重要視していなかったはず

更にいえば黛(タイ)に持ち去られた資料の一部は、旧九龍の負屓設計局のアーカイブに保管されている可能性もある。本当に面倒ね……

でもどうして急にこんなにたくさんの資料が必要になるんです?復興支援についてちょっと話しただけなのに、こうまで面倒なことになるなんて

……これほどたくさんのファイルや資料を出すように言われても、彼らが全部見るとは限らない

ええっ?どういうことです?

議会と監察院が共同で何かを専門的に調査する場合には、あえて恐ろしいほど雑多な情報をあれこれリストアップして、本来の調査内容を誤魔化すことがあるの

常套手段だな。初期の旧九龍の文書審査でも、その方法を使っていた

監察院は議会の議席こそ多くないけど、法案を推し進める力はどの機関よりも強いの。その力は結局は「監察」の権力よ。誰も彼らを怒らせたくはないでしょうね……

今回、彼らがわざわざ議会にこの件について追及させているのは、彼らに何か知りたいことがある裏返しだわ

問題は議会と監察院が一体何を調べたいのか、なんだけど……

杜衡はこめかみを揉みつつも、手や目を休めることなく資料を調べ続けた

本来なら資金と資源について話し合うべきなのに、ここまで手がかかるとは……何とも妙だな

杜衡さん、少しよろしいでしょうか?

スーツを着た老人が扉を僅かに開き、杜衡に向かって会釈をした

何でしょう?

外交院のリスト議員が重要議題があるとのことで、九龍商会館の応接室でお待ちです……

リスト議員が?へえ……

……?

黒野よ

彼らが来たということは……十中八九、いい話じゃないわね

この質問調査会に関係が?

恐らくね

杜衡は、黒野がこの質問調査会に介入するだろうと予想していたが、まさか人を使って直接呼び出されるとは思いもしなかった

条件の提示、あるいは脅迫かな

そんなあ……頭を下げて空中庭園に協力してもらう上、「大人」たちの命令にも従わなきゃいけないなんて……あーあ

彼らは九龍のことを真剣に考えたことなどない。自分の利益が脅かされた途端に我々を思い出し、「施しを与える」かのように尊大に振る舞うのさ

九龍のみんなも、そんな扱いをされるのは嫌がりますよ。本当なら私たち、世界を繋ぎ合わせなきゃいけないのに。今の九龍はまるで孤島だ……このままじゃダメです

でもでも、今はそうするしか――あっ、嘲風、通信が繋がりました!

蒲牢は持っていた端末を嘲風に手渡すと、グーッと伸びをして、気を取り直したように机上のファイルを手に取った

こっちは私たちに任せて。杜衡、よろしくお願いします

この大きな船が浮くか沈むかはたぶん、今回の質問調査会にかかってますから

リストは背筋をぴんと伸ばして空中庭園の九龍商会館の応接間に座っていた。そこに杜衡が入ってきたのを見て、口を開いた

杜衡議員

こんにちは、リスト議員

質問調査会まであと30分だ。単刀直入に言いましょう

前回のゲシュタルトのアルゴリズムロックの件以来、監察院は調査の焦点を科学理事会とゲシュタルトに移し始めている

今回の監察院と議会の調査は、上辺は華胥及び曲の行方とアルゴリズムロックの件だ。だが真の狙いは黄金時代以前の科学理事会第三開発部の情報――空中庭園と関係するらしい

第三……開発部?

科学理事会にあるのは一部と二部だけでは?

杜衡さん、世界連合政府に加入されたのはいつだ?

その瞬間、杜衡の瞳が冷たく輝いた

……ちょうどパニシングが爆発した年です

つまり、それ以前はずっと九龍で暮らしていた訳だ

その通りです

現在は確かに、科学理事会には科学研究一部と二部という、ふたつの開発部しかない

だがゲシュタルト開発初期、科学理事会には第三の開発部が存在していた。ゲシュタルト開発後に解体されてしまったが

それは……知りませんでした

この件は書面の記録にも一切残っていないからな

ごく一部の者しか知らず、当時の関係者全員に箝口令が出されていて……記憶と口頭の伝達に頼るしかない

あの、リストさんはわりとお若いですよね?どこでそんな話をお聞きになったのです?

……それは要点ではない

重要なのは、議会で九龍の建設支援に賛成票を投じるよう、私が黒野内部に同意を促すつもりだということだ

……そういうことでしたら私的に話し合うべきではないし、私は黒野との如何なる約束も信じません。それに、あなたひとりが黒野の総意であるとでも仰るつもりですか?

懸念はもっともだ。だが私の意思は変わらない

九龍への建設支援はコストと利益を考えれば割に合わない。だが道義的には、自力で立ち直ろうとする火種を空中庭園が見捨てるべきではない

杜衡はじっとリストの目を見つめながら、目の前のこの老獪な狐が自分を騙そうとしている、その可能性について考えていた

だが今目の前にいるリストは、議会でいつも見ているあのリストとはどこか違うように見えるのだ

……ご冗談ではなく?

違う

私には守るべき規則があり、成し遂げたい事業もある

更にいえばこの件は、黒野の利益に干渉しない。はっきり言うなら、私は君と九龍を利用したいと思っている

条件は?

君と九龍で、監察院が一体何を調査しているのか調べてほしい。彼らの欲しがっているものは恐らく……私も欲するものだからだ

今、九龍は議会からの指摘を受けて悪戦苦闘している最中です。あなたもよくご存知のはずですが

なるほど、ではあのグレイレイヴンの首席に訊ねたらどうだ?[player name]はアシモフの陣営とプライベートでもよく交流していただろう

グレイレイヴン……

以前の九龍環城の戦いで、グレイレイヴンとあの曲、九龍とは繋がりがある

ましてや質問調査を通過すれば九龍へ派遣される最初の精鋭執行部隊は、グレイレイヴンとストライクホークが妥当だ

なぜそう言い切れるのです?質問調査会はまだ始まってもいないのに

ともかく、外交院は常にふたつの答えを用意している。成功した時と失敗した時のために

ことが始まる前から結末を準備しておく。それが政治というものだ

前回、あなたが議会に零点エネルギーリアクターと星間飛行計画の再開を提案された時、かなりの票数で可決されましたよね

君も賛成票を?

いいえ、私は棄権しました

そうか……

リストはそっと苦笑した

今回は全人類の利益に関わることではない。いくら推進しても可決される確率は低いだろう

…………

杜衡議員が話術に長けているのは知っている。九龍の武術でいうところの「いなし」というやつだろう?

だが今回は君の明確な答えが必要なのだ、杜衡議員。「はい」か「いいえ」か

ある決断の正否は事後になってから答えが出るものだ。しかし決断を下す際、正否は「その瞬間」に委ねることしかできない

交渉成立ですね

空中庭園

世界連合政府議会ホール

11月9日、15:55

静粛に!静粛に!

本当に珍しい……

リスト議員とグリース議員は反対票を投じると思っていました

九龍夜航船の蒲牢さん、他に何か話したいことは?

えっ!

ハセンに名前を呼ばれた蒲牢は、授業で突然教師に指された生徒のように慌てふためいた

と……特にないです

では、この提案の骨子をもう一度確認する

空中庭園は暫時、九龍夜航船と九龍地区の生存者に物資を提供し、ユーラシア大陸海上のパニシング防衛ラインをともに構築する。最終目標は清浄地と保全エリアの連携だ

ハセンは軽く咳払いをして話を続けた

私が今から言うことは、議長という立場の公平性を損なうかもしれない。そして私自身に、普通の議員として投票に参加する資格はないのだが

だとしても、人間という立場から私の態度を表明したい

危機の中での文明の存続と未来は、我々のような議席に座る者たちだけに託されたものではない

人類の未来は、全ての人の手に委ねられるべきだ。身分、性別、種族や肌の色が違おうと、前線の戦士であろうと、名もなき人であろうともだ

しかし、我々は責任という重圧の下で残酷な決断を迫られる。それは議席に座る我々が支払うべき代償だ

だがその決断をする際の私の立場は、なによりもまず人間であり、その次が世界連合政府議会の議長なのだ

将来、後世の人々は我々の残酷な決断を歴史に記し、人類文明の終焉だと非難するかもしれない。だが我々は人類文明最高の道徳心を礎に決定したと、誇りを持って言える

世界連合政府の初志は、人類が団結し、文明的な未来へ進むことだ。皆さん、どうかそれをお忘れなく

ハセンの声が議会のホールに響き渡り、彼の声以外は何も聞こえなかった

私からは以上だ。それでは投票を始めよう

『世界連合政府による九龍への建設支援に関する事項』について、ゲシュタルトに投票を

世界の行方を決めるに値する人々が投票ボタンを押した。彼らの思考がゲシュタルトの計算回路を交錯し、冷たいデータの決議として形成されていく

ゲシュタルト

議案への最終賛成率は67.5%、反対率は14.5%、棄権は18%です

賛成率が議案通過の最低基準を上回ったため、議案は可決されました

やったあ!!!

では、正式に……

おい、ちょっと待ってくれ

ハセンが議案の可決を宣言しようとしたその時、アシモフが突然立ち上がった

なんだか既視感がある光景だ……

アシモフ、何か問題でも?

いやハセン議長、俺は議案の可決を止めたい訳じゃない。議員としては俺も賛成票を入れたしな。だが、宣言の前に……

この議案を可決すべきかどうか、ゲシュタルト自身に判断させることを要求する

――湖面にたちまち波紋が生じた

ゲシュタルトに?

法律によれば、如何なる議案も最終決定権は議会にある。形式的には、議会はゲシュタルトの意見を参考にできるはずだ

アシモフさん、この投票結果は議会がこの議案を可決したということなんですよ!

可決された議案をゲシュタルトに再度訊ねるだァ?そんなの、今まで聞いたこともないぜ

皆さんはゲシュタルトが反対することを心配しているのですか?それともあなたたちには、この決定に自信がないとでも?

おっとぉ、ヒルダ女史の仰る通りだ……

万が一にもゲシュタルトが反対すれば……そりゃあ大問題だよな?リスト君

さっきも言ったが、最終決定権は議会にある。ゲシュタルトではないはずだ

チッ……

アシモフ……

世界連合政府議員及び科学理事会首席技術者として、俺は断固として要求する

その言葉で、湖面は死んだように静まり返った

いいだろう

ハセンの声がその沈黙を破った

では、この議案に対するゲシュタルトの判断を聞こう

ゲシュタルトはここにはないが、アシモフの視線はホール中央のスクリーンを越え、空中庭園の最深部にあるゲシュタルトの「心臓」と「頭脳」をじっと見据えていた

ゲシュタルト

ゲシュタルトの判断は……

この議案を全面的に支持します

全面的に!?

グリースがテーブルをバンッと叩いて立ち上がった。その近くにいたリストは胸のつかえが取れたような気分になっていた

ゲシュタルトにおける概念上の全面的とは……100%ってことだ

ゲシュタルトはこの議案に100%賛成という訳だな

なんと珍しい……長く政治に携わってきたが、100%の賛成意見を出したゲシュタルトなど見たことがない……

まさか全面的に支持するとは……

予想外ですね……

100%で可決……

アシモフ、他に問題は?

いや、ない。感謝しますよ、議長殿

アシモフはハセンに一礼して自分の席へと戻ったが、その眼は冷たくもどこか恐ろしい「100%」の文字に釘付けになっていた

100%……それは、完全、全部、総和、必須を意味する

この時、彼はもはや九龍やリストに関心などなく、ハセンが議長席で議案の可決を宣言すること、議案が再読される際に九龍とどんな交渉を行うかも、まるで興味がなかった

ゲシュタルト……

「お前」は一体何を恐れている?

九龍領海

九龍環城から南へ約2139km、九龍領海

11月9日、16:00

渦巻く波が空中に浮かぶ少女の足先を舐めるようにして打ちつけた。海風が彼女のフードを吹き飛ばし、茶色いおさげ髪が露わになる

彼女は2000km以上も先、海と空の接点に隠れてまだ見ることができないその都市の方角を見つめて、都市とその背後にある壮大な文明を想像していた

読んで、理解し、学ぶ

コレドール

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