惑砂の体は何度も貫かれ、切り刻まれたパーツがバラバラと地面に散乱した
――これは何度目の死?大丈夫、誰も気にしていない
彼の人生は、英雄たちが見れば吐き気を覚えるような、不味い料理のようだった
ここで戦おうが戦うまいが、彼は予定された時間に死ぬ運命なのだ。それは彼が成し遂げるべき任務だった
これから彼の意識はクティーラのゆりかごと融合し、死んだ「裏切り者」の代わりの新しい「操縦桿」になる
でも彼の意識はあの「裏切り者」と違って、ゆりかごの中で長く耐えられない
だから彼は時間を計算し、最後の時が来るまでグレイレイヴン指揮官をここに閉じ込めておく必要があった
それで十分だ。任務は完了した。全ては計画通りだ――彼はそう自分に言い聞かせた
もしこの計画に変数があるとすれば、それは目の前のラミアと、あのクティーラを引き離した「裏切り者」がまだ生きていることだ
しかし惑砂にも時間が残っていなかった。このままゆりかごが崩壊し続ければ、全ての「結果」は海の底に沈んでしまう
彼はそのふたつの不安要素の解決については、クティーラと融合後のもうひとりの自分に任せるしかできない
――でも、もし失敗したら?
……あの方に対する「レプリカ」のささやかな復讐だ……
どうせ……「今の彼」は、本当の惑砂にしか興味がないんだ
…………
ラミアがだんだん近付き、頭を貫くその瞬間まで、惑砂は満足げに微笑んでいた
それで十分だ。任務は完了した。全ては計画通りだ――彼はそう言って自分自身を欺いた