Story Reader / 本編シナリオ / 25 潰えぬ燎火 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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25-17 「殻」の中の王

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空中庭園、会議室

ウィリスは会議室の隅に座り、手中のシルバーファルコンのバッジを見つめていた

グレイレイヴンは例の黒野の実験体が伝えてきた座標付近に到着し、目標の飛行要塞を発見した

近くにいる執行部隊もすでに命令を受けて支援に向かった。バロメッツ小隊も近くで待機している

ウィリス、ずっと黙り込んでいるな。言いたいことがあればハッキリ言え

……

失礼しました

情報はすでに集約しています。オーロラ部隊の主力は中央要塞にいますが、多くの小型飛行要塞が周りを囲んで防御しています。短時間での突入は困難です

あの黒野の実験体……エコーという構造体はもう飛行要塞内部にいる

今、次々と小型要塞が墜落しているが、おそらくあの構造体が要塞を混乱に陥れているのだろう

速やかに戦闘を終わらせ、資料の破壊を防ぎたいが……

黒野もすでに動き始めています。彼らは急遽、私兵部隊を複数地上に派遣したようですが、我々は彼らの位置を把握している

ふん、相変わらず対応が迅速だ

こちらが予測して先手を打っていたからです。これほど地上任務の遂行スピードが早かったのは意外でしたが

ですが黒野の方は……

ウィリスはシルバーファルコンのバッジをグッと握りしめる。鋭い角が手の平に刺さって痛んだ

焦ることはない

いずれ……この件は収束する

豪華なオフィスでグリースは漫然と資料をめくっていたが、やがて相手の顔も見ずに話し始めた

へえ……予想していたより大がかりだねェ。どうだい、これがお前さんが見たかったシーンか?

フン……こうなるのは想定外でしたよ。だが我々商売人は臨機応変なご対応ってのが得意でね

ノルマンも同じ資料を読んでいるようだ

火事場泥棒もいいが……手を汚すのは御免こうむりたい

だからこちらはすぐにトロイを呼び戻してある。泥沼にハマる前に逃げの一手だ

そっちはどんな魚が釣れそうなんです?

いやぁまだまだ……今焦る必要はないさ

一番デッカい魚は、最後に釣り上げるのが華ってね……

テーブル上の端末が鳴り、2つの暗号化されたファイルが送られてきた

ほーら……針に食いついたぜ。もちろんノルマン坊っちゃんの分も用意している

フン、そりゃ何よりだ。今度こそ……本当にうちの老いぼれたちを動かせるかも

欲しい物が手に入ったノルマンはもう用なしとばかりに通信を切った

グリースはノルマンのことを気にする様子もなく、窓の外を眺めていた。彼の脳裏には宇宙の彼方から見える地球の光景が浮かんでいる

あんな壮大な風景の中に俺様がいないなんて、いかにも残念だねェ……

ユートピア中央制御室

制御室の中央に、無数の管を繋がれた実験体がいた。その傍らで手袋を外したピークマンが機械で何かを調整をしている

意識融合度……100%

拒絶反応、残留意識は71.03%です

ピークマン博士……本当にやるんですか?

無論だ

彼の口調は柔らかいものだったが、確固たる意志を秘めていた

これは私の最も偉大なる実験だ。この目で見届けないでどうする

同じ規範の下に生きる者たちだからこそ、これほど巨大な意識海で完璧に融合できるのだ

これほどの成果が出るとはな……長い年月をかけてユートピアを建設した甲斐があったよ

さあ、後一歩というところまで来た

これが私の……最も偉大なる実験

彼はほれぼれと実験体を見つめた

でも、その後の実験は……

君に任せる

操作の流れはもうわかってるだろう?

ですが……

研究員は更に何かを言いかけたが、ピークマンは「シッ」という声で遮った

我々がたどり着く場所がどこか、君もよく知っているだろう?

君や私、全ての命が……そこで再会するのだ

さあ……始めよう

……わかりました……ピークマン……先生

先生という呼び方に少し驚いたピークマンだったが、自分がずっと指導してきたその研究員をちらりと見ると、笑顔を浮かべた

そうだな、始めよう

彼は「シャーレ」の中に入った