Story Reader / 本編シナリオ / 25 潰えぬ燎火 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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25-11 虚しい夢

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エコーの意識海の激しい乱れはすでに収まりつつあった。彼女は必死にもがき、意識海の深部から目覚めようとしている

ここは危険だ。早く離れなければならない

うぅ……指揮官!

は……はい。早く彼らを解放しましょう……

彼女はよろよろと立ち上がった

これ以上、ユートピアのせいで人を死なせる訳にはいかない……

ドアの向こうから、戦闘音が微かに聞こえた

空中庭園……!?じゃあ、姉さんが……

彼女は驚いて、あたふたと鎧をどこかに隠そうとした

扉を開けるとまさにリーがホールにいて、構造体が閉じ込められた部屋の扉を開けようとしているところだった

指揮官?

我々の行動に賛成しかねるといった様子で、リーはしかめっ面をしていた

は、初めまして、エコーと申します

彼女はまだ完全に回復していない様子だったが、それでもきっちりとあの複雑な敬礼をした

ゴホン……

指揮官、外にいた自称オーロラ部隊の構造体は全員取り押さえました。近くの信号もジャックしたので、感付かれることはないかと

これが彼らの登録情報です。ここにいる構造体や人間は……ほとんどが自ら志願してここに来たようです

彼らは、ユートピアでは素晴らしい未来——服や食事、豊かな物資が手に入ることを「ユートピア」が約束したと言っています

登録情報通りなら、彼らの多くは他の勢力からの逃亡者です。追われる者、死亡登録されている者……当然、安定した生活を求める人もいます……だから……

リーは登録情報のファイルを自分に手渡しながら、すでに説得を始めているエコーを見た

おそらく、彼女の言葉は彼らに一切響かないでしょう

ユートピアは偽りの夢で家を失い疲れ切った人を誘いこんでいる。だが彼らにとっては、たとえ底無しの深淵だと知っていてもどうでもいいのだろう

彼らにはもう、どこにも行く場所がないからだ

案の定誰も説得できず、エコーはがっかりした顔で戻ってきた

彼らは……オーロラ部隊と一緒に本当のユートピアに行きたいと……

「ユートピア」は、そんなに魅力的に見えているんですか?

……ライナが心配です

もし彼女がユートピアから逃げられず……たったひとり残っていたのなら、だんだんピークマンに洗脳されてしまうかも……

最終的には皆で一緒に楽しく生活できて、老化もせず死ぬこともなく……

まさか彼女もセシリア姉さんみたいに……

……そうですよね。ライナは絶対にピークマンなんかの話は信じないはず

彼女を信じます

人数の確認を終えたリーがこちらにやってきた

彼らはどうしますか?

執行部隊も駆けつけてくれた。彼らは構造体と人間を車に乗せ、最寄りの保全エリアへと出発した

エコーはパトロールを申し出ていた。彼女が去ってから、リーが手を止めてこちらを見てきた

指揮官、粛清部隊がもう近くまで追ってきています

その通り、リーダーはイサリュスです。撹乱するため偽の情報を流したのですが、追いつかれるのは時間の問題かと

妙なのは他の勢力も彼らに撹乱情報を流していることです。まだこの場所はわかっていないでしょうが……「他の勢力」がどこに属しているのかも不明です

相手の目的が判然としません。もし彼らがエコーを見つけたら……

急いでエコーの意識海で得た情報をまとめ、暗号化してアシモフに送った

数分後、アシモフからの暗号通信を知らせる音が鳴った

資料は受け取った。全部あのエコーという構造体の意識海で見たのか?

……わかった

できるだけその部分に関する資料を集めてくれないか?

ユートピア?

……あちこちに巣穴を作りやがって

アシモフにエコーの行動を簡単に説明すると、彼はしばらく考えてから口を開いた

空中庭園の方は俺がなるべく引き止める。お前らの行動が空中庭園にバレる前に、可能な限りユートピアの資料を集めろ

俺も届いた資料を処理して、ニコラとウィリスに送りつけておいた

あの構造体の身元がいまだにわからない。黒野に彼女の居場所がバレたとしても、あのふたりが知っていればコントロールしやすい

ああ、ウィリスはこの件への態度が微妙なんだ。調べてみたんだが、彼にはシルバーファルコンという極めて優秀な小隊を指導していた過去がある

だがその小隊は、簡単な地上任務で全滅した。事故が起きた場所はまさに112号保全エリアだ

ウィンターキャッスルの報告にあった「異合生物に破壊された」112号保全エリアだ

まだ明確な証拠はないがな……

アシモフは微かに頷いた

……それと「彼女」のデータ報告は、1週間前に監察院に送った

たとえ暗号通信でもはっきり話せないことがあった。アシモフはこちらに向かって力強く頷いた

この後、異常サンプルの調査を理由に、彼女が地上任務に向かう

「彼女」が誰かは言わなくてもいいです

「彼女」と会うのは……いつぶりだろう

とりあえず以上だ。何かあれば連絡してくれ

アシモフはいつものように乱暴に通信を切った

ルシアが戻れば、成功率も確実に上がるでしょう。だからといって指揮官が危険を冒すことには賛成しかねます

今後もエコーとふたりでライナの追跡捜査をするつもりですか?

……

ルシアが地上に到着し次第、すぐに彼女を連れて合流します