Story Reader / 本編シナリオ / 22 紡がれる彩華 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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22-16 『ミントゥルナエのマリウス』

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一夜がすぎ、アイラ一行は再び探索を再開した

廊下を真っ直ぐ進むと、巨大な外観の建物が現れた

これは……劇場なのかな?

電光掲示板にはコンステリア大劇場とありますね。これから上演される演目は……

……文字化けしてる?

どうやらここの所有者は、私たちに何が起きるのかをまだ知られたくないみたいですね

こんなサプライズもたまにはいいわね!

嵐と水夫、天使と悪魔が彫り込まれた華やかな回廊を通り抜けると、煌びやかな円形劇場が現れた。舞台の中央には奇妙な機械体が無言のまま立っている

……ハムレット!?

まさかそんな……

アイラは舞台へ駆け寄り、機械体を細かくチェックした

ハムレット?とは?

「ハムレット」は世界政府芸術協会が所有するホログラフィックAI劇のロボットよ

最新の演劇技術が使ったVR体験ができるものなの。でも生産コストが高すぎて、技術的にもまだ改良の余地があったから、大規模な商業利用には至らなかった

現存する唯一の1台は科学理事会一部に保存されているはずなのに……

じゃあ、これは……

違う……これはハムレットじゃない。とても似ているけど、ホログラフィック舞台装置ね

機械体をチェックしていたアイラは手を振って、危険性はないというジェスチャーをした

……私たちに一体何をさせる気です?芝居なんて見る気ないんだけど

トロイは幕の裏を調べて眉をひそめた

後ろと横の扉が全部ロックされてます。廊下も塞がれて、他に通路がない……

「バン!」

その時、彼女たちが入ってきたホールの正面扉が重そうな音を立てて閉じられた

見る気があるかないかは関係なさそうですね

……

アイラが機械体の後ろに置かれた箱から、明らかに事前に用意されていたらしきリンクデバイスを取り出した

設定された演目を私たちに体験してほしいってことなのかな?

リンクできるのは、ひとりだけみたい

私がやってみます

シルカが手を上げて名乗りを上げたが、その手をライナがグイッと引っ張って下げさせた

だーかーらー、指揮官がそんなのをやるなって言ってん――

私がやるわ

アイラの冷静な声がライナの言葉を遮った

私は何度もハムレットの調整や操作をしたことがあるの。こういうホログラフィック舞台にも特別な思い入れがあってね。それに……

彼女は見つけたばかりのホログラフィック装置の「説明」を掲げた

これから上演される演目を私はよく知ってるの

懐かしそうな表情を浮かべたアイラの瞳が、異様な輝きを見せている

これは……「騎士」に関する物語