Story Reader / 本編シナリオ / 19 暁の境界 / Story

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19-9 災禍の兆し

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全ての設備が片づけられ、零点エネルギーリアクターの再起動も終わり、Ω武器の量産が始まった……仕事を終え、カレニーナたちが月を離れる時がやってきた

最後にカレニーナは、数カ月間昼夜を問わず働いていたこの場所を見渡した。初めて着いた日から今日まで、彼女はここでの全ての出来事を覚えている

どうしたの?帰るのが嫌になった?それならギルドに異動申請すればいいわ、私、知り合いがいるから根回しをしてくれるわよ

バーカ……そんなんじゃねーよ

カレニーナには黄金時代の科学者たちが一体どうやってゼロから零点エネルギーリアクターを作り出せたのか、想像すらできなかった

これほどの年月が流れても、人類の夢と希望を集めたこの機械は依然として美しいままだ。これは技術者だけが持つ感性かもしれない

フン、いずれオレたちも零点エネルギーよりスゴイものを作ってやるからな!

はぁ……もう朝よ。寝言は寝てる時に言わなくちゃ

しかしそう言うドールベアも零点エネルギーリアクターを見て、ふと笑顔を見せた

でも……零点エネルギーリアクターなんて、夢と現実の見分けがつくような人じゃ造れないのは確かだわ

本当だよね……昔の科学者たちって本当にすごいよ

いきなり話かけられて、ドールベアとカレニーナは飛び上がるほど驚いた

おじさんは……本当に存在感を消すのがうまいのね

ハハ……いつも言われるんだよね……

エイハブは咳き込んで気まずい空気をごまかそうとしたが、たいして効果はなかった

実は、君たちを見送れと黒野が私を寄越したんだ。持ってちゃダメなものとか、残しちゃダメなものがないか「ついで」に確認してこいって言われたよ

ったく……ストレートに話せっての

両者の協力関係は今日で終わりになる。次の瞬間には、相手が自分の敵にならないとも限らないのだ

仕方ないさ……グリースさんたちは新型特化機体の開発が終わってすぐ空中庭園に戻ったし、ここは私しかいない。だからそういう汚れ役も引き受けるしかないんだ

ご覧の通りよ。うちの隊長はくだらないセリフ以外、何も残していない。それに、あなたたちはずっと私たちを監視していたでしょう?

ま、まあ、そうだね……

その時、黒野の研究員がエイハブにある報告書を渡した

リアクターの出力が……低下していまして……

彼はその時になってカレニーナと工兵部隊の人々がいることに気づいたのか、さっとエイハブの顔を見た

問題ない、輸送機が到着するのは数時間後だよ。それまでは、まだ協力関係が続いていると解釈して構わないね?

エイハブは期待するような目でふたりを見つめた。この状況で断れる者はいないだろう

パス、私はもう疲れてるから……でも、この零点エネルギーリアクターマニアさんは大喜びで手伝ってくれるわよ

ドールベアはカレニーナを前にぐいと押しだすと、自分はてこでも動かないというように壁にもたれかかった

【規制音】このバカ、勝手にオレに変なマニア属性を加えるな!

チッ……でもまぁ……リアクターに問題があったらΩ武器の生産に影響しちまうしな。さっさと案内しろよ

カレニーナさんならきっと助けてくれると思った……

ドールベアはしてやったりという笑顔でカレニーナに手を振り、彼女を見送った。しかしそうしながらもなぜか、彼女は一抹の嫌な予感を覚えていた

何だか……厄介なことが起きそうな気がする……