Video: 机械70版本过场动画
無数の世界を歩き、走り、戦って、ナナミの思考はゆっくりと、経験した全てから乖離し始めた
いつの間にか彼女の前に真っ暗な宇宙空間が広がっていた。惑星や恒星、シグナルも検知できない。ここの温度は、他の宇宙のどこよりも絶対零度に近い
真空の中で彼女は膝を抱え、包み込もうとする深淵に身を任せた
未来の象徴である光は暗闇に消えたはずなのに、この「無限」に星の光がひとつ、またひとつと浮かび上がってきた
その星の光に照らされた時、彼女が認知する全てがスローモーションのように変化した
ある人間から聞いたことがある。思考が集中すると、人はゾーンに入る。思考速度は非常に速くなり、外界の時の流れが相対的にゆっくりになる
しかしナナミは、宇宙万物や科学理論とは捉えていない。その機械で構成された極めて精度の高いチップとコードの中で「なぜ?」という質問を繰り返しているだけだ
――思考は空を埋め尽くし、嵐のように降ってくる。高速で流れるデータフローの中から一筋の真実や、演算だけに存在した記憶を掴み取ろうとしている
記憶の断片を見ていたナナミに深い困惑と好奇心が湧いた
人間が抱く新しい物や怪しげな物に対する好奇心とは違い、彼女の好奇心とは、彼女自身の根源的存在に対する困惑だった
なぜ?
人間の創造物である機械は、なぜ覚醒という行為ができる?
何のために覚醒する?
人間らしい意識を求める機械体がいる一方、力こそ全ての意義と考えるガブリエル、戦争に執着するカグウィルもいた。だが彼らの目的は生存権ではない。戦争の意義の探求だ
戦争に何の意味がある?
どうしてパニシングが出現し、地球に降臨した?パニシングを生み出し、操っているのは何者で、何を欲しがっている?
人間もまた、なぜ地球に執着する?愛のため?なぜ愛するの?愛とはつまり、何?
ナナミは、一体何を追い求めている?自分が好きなものを残すため、気に入らないものをこの世界から排除しようとしている?
そもそもこの疑問は、「至上の愛」をナナミのロジックプログラムに刻み込んだ製造者の仕業?……それとも、他の何か?
無限に広がる思考の中で、ナナミは長い、長い夢を見ていた
夢の中で彼女は太古の広野を走る灰色の狼だった。灰色の森が彼女を追いかけ、その棘だらけの蔓を彼女の四肢に巻きつけようとする
必死にもがき、叫んでも、状況は何も変わらない
森はいきなり海へと変わった。ナナミは魚に変化し、棘の蔓から逃れた。しかし海流に押されて、流されるままになった
うねる海流は無言の巨獣のようで、常に鋭い背鰭を立てて潜伏し、獲物を待っている。そうやって原始的な命を営んでいるのだ
そのうちに海の水はだんだんと退いた。浜辺に打ち上げられ、なんとか体を起こした時、ナナミは自分の体に人間に近い四肢が備わっていることに気づいた
よろよろ歩く足下に高層ビルが生え、地平線に巨大な船が現れた。ビルから眺める町には人間が現れ、文明が成長し始めた。密集するビル、遠くの汽笛や風の音に眩暈を覚える
ビルがどんどん高くなり、彼女を中に包み込むと、今度は巨大で精巧なコンピュータが現れた。彼女の記憶は曖昧だが、この場所は見覚えがある
目の前を白衣を着た人間が歩き周り、目を輝かせ、指揮者のように両手を動かしながら何かを語っている。まるでその目には輝かしい未来が見えているかのように
彼女は手を伸ばし、その人間の指をつかんだ
その人は彼女の頭をなでてくれた。ナナミは機械体として誕生して以来、初めて人間の温度を感じたように思った
……ナナミ、人間の全てを感じて、それから自分で選択するといい
ナナミ、よくわかんない。それってどういうこと?
自分の声が聞こえた。幼少期の声と今の声が重なっている
あなたがナナミの製造者?どうしてナナミを作ったのかを教えて……?
言い終わらないうちに、彼女は別のシーンに飛んだ
ご飯だよ――
ワン、ワンワン!
こっちにおいで。抱っこしてあげよう
ナナミは穏やかで幸せな子供時代をすごしていた
パパ、ママ、ミミ……ナナミは行くね?ナナミは自分の旅を始めるから
足を踏みはずしたように、ナナミは空から柔らかな綿の上に落ちた。次に目を開けると小舟の中だった。海は凪ぎ、ふと隣に自分が最もよく知る人物が寝ていることに気づいた
指揮官っ!こんなところにいたの?ナナミずっと探してたんだよ……
ナナミ、かくれんぼはこっちの勝ちだね
他に誰かいるの?
すると船の上に、たくさんの人が現れた。空中庭園のみんな、エミィ、ロハちゃん、マーチン、ハカマ、シブナ……
わあ、みんなここにいたのね!やったぁ、ナナミと一緒に冒険に行こう!
全ての友達とその大きな方舟に乗り、無限の宇宙へと出航した