Story Reader / 本編シナリオ / 18 綺羅星の誓い / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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18-11 解脱

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もう大丈夫、すぐ助けるから!

ナナミはベッドに駆け寄り、拘束ベルトを外した。しかし体からクモの巣のように延びる複雑なカテーテルを抜こうとした時、ナナミの手が止まった

人間

いや……

どれほど声を出していなかったのか、人間は苦しそうに喉から声を絞り出した。彼は痩せこけた指でナナミの腕をつかんだ

ナナミは彼の口元に耳を近づけ、言葉を聞き取ろうとした

人間

いかせて……くれ……

……

ナナミ様、ここを……

ハカマが毛布をめくり、その男の両脚を見せた

それはもう「脚」とは呼べなかった。枯れた枝にしわだらけの紙をかぶせたように見える

他の者も皆、同じだろう。たとえ拘束ベルトを外せても、彼らにはもう逃げる力や、生きる力そのものがないのだ

人間

たの……む、し……死なせて

その視線は焼けつくような強さだった。その視線に慌ててナナミは後ずさり、首を振った

違うの……ナナミは……助けたいって思って……

人間

たの……む……

痺れと苦痛で深く落ちくぼんだ両目に絶望があふれている。彼らはその苦痛からの解放を望んでいた。彼はこの最後の機会を逃すまいと胸の中から声を絞り出した

ずっと黙っていた獣人型機械体は、ため息をひとつ漏らした

シブナ

セージ様、彼の願いです

ナナミはうなだれ、腕を掴む氷のように冷たい手を握り返したままだ

シブナ

――私が

獣人型機械体は一歩踏みだし、古代神話で死と葬送を司ったという獣のように、自らの影で病床を包んだ

待って!

シブナの手をつかんで制止すると、ナナミは人間に最後の質問をした

……あなたの……名前は?

マックス

……マ……マックス……

マックス……だね。ナナミはあなたのことを絶対忘れないから

ナナミは腕で自分の顔をゴシゴシとこすり、それから新しい友人に向かって頷いた

漆黒の獣人型機械体が手を上げた。黒い爪が冷たくライトの光を反射している

すると、その指先から楽しげな音楽が聞こえた。長年再生されず、少し音程が外れているが、はっきりと聞こえる

それからシブナの胸の小型映写機にぼやけた映像が現れた。人々の笑い声や花火が打ち上がる音、遠くにある幸せな夢の景色だ

その「温もり」に満ちた色が、人間の目に映った。それは未来へ通じる色とりどりの万華鏡のようにも見えた

シブナは頬を人間の冷たい手にこすりつけ、喉をゴロゴロと鳴らした。すると痙攣していた手がふっと緩み、人間の魂はこの汚れたベッドと無間の苦痛から飛び立った

シブナはゆっくりと手を上げ、生命維持装置のスイッチを切った

シブナ

……彼は旅立ちました

ナナミはシブナと、楽園のパレードのような音楽とともに、次のベッドへと移動した

あなたの名前は?

……うん、ナナミ、覚えた……

彼女はシブナの後に着いて一歩一歩進み、死にゆく人々の名を覚え、友人として彼らを見送った

意識が戻らない人もいた。シブナはその者の胸の上に手を置き、祝福を捧げてから、夢の中で彼らを安らかに見送った

「パレード」は、やがて終焉を迎えた

ナナミは部屋の片隅で、最後の鼓動が消えたあとの静寂を聞いていた

あなたたちも……

ナナミはしゃがみ、倒れたままの医療機械体をそっとなで、機械体たちの「感情」を感じ取るために目を閉じた

再び目を開けた時、ナナミの目から悲しみが消え、代わりに怒りの炎が燃え盛っていた

ハカマ、シブナ

……「端子」のところへ行こう