Story Reader / 本編シナリオ / 17 滅亡照らす残光 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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17-4 出生願望

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よくある静かな午後だった。細かな雨とともに、哀愁が地面にたたきつけられて、湿った空気が地下へと吸い込まれ、シェルターを更に寒くさせている

ある者はギターを持ち、楽器仲間とともに、弱りながらも弦をつま弾いている

ある者はボロボロになったトランプを取りだし、慣れた手つきで仲間のベッドに放り投げた

ある者はポケットをまさぐり、縫い目の間に挟まった小麦の粒とロマンチックな出会いを期待している

ある者は自分が不治の病にかかったと知り、もう何日も自らの分の配給を他人に渡していた

ある者は湿った壁に体を寄せて、先ほど埋葬したばかりの家族のために涙を流している

それ以外のほとんどの者は、時間の流れに目を瞑り、外の暗い光と降り続ける雨を見えないものとしてすごしている

彼らはただ古くて汚れた天井を見ていた。その目にかつてあったはずの光は消え、今はそこに虚無が静かに横たわっている

しかし人類が降参しようが、絶望はその歩みを止めたりはしない

リーフは負傷者の定期検査を終え、無意識に疼く胸元に手を置いた。メンテナンスカプセル不足のせいで、彼女はすでに何日もまともな休憩をしていなかった

ある救援作戦で、リーフは救援目標をかばおうとして、足にひどい損傷を受けていた

しかし医療物資を増えてきた難民の人々に残すため、ただ折れた骨組を固定しただけで、彼女はきちんとした修復を行わなかった

そういう状況にあるのは彼女だけではない。人間でも、構造体でも、皆同じく沈みゆく孤島の上にいる。免れるものは誰ひとりいないのだ

――ドンドンドン

シェルターの扉が叩かれた。音は厚い鋼鉄を伝って、室内に響く時は羽毛が地に落ちるかのように小さな音だった

誰かが、ノックを……?

彼女は両目を閉じ、すぐシェルターの外にいる活動信号をスキャンした――どうやら外にいるのは人間らしい

異合生物という危険に満ちあふれた荒野を、どうやって通り抜けたのだろうと訝りながらも、リーフは重い扉を開けた

……こ、こんにちは

扉の開いた隙間から、ひとりの男と女が急いで入ってきた。女性の方は長い髪型をしており、服装も汚れておらず、まるで念入りにめかしこんできたようだった

しかし隣の男性は様子が違い、血だらけの子供を抱えている。彼の顔をどこかで見たことがある――リーフは思った

こちらに医者は?この子、背中を刺されたんです!

……!医者は私です、任せてください!

よかった!運びます!どこが空いてますか?

あそこなら

彼は難民の間を通り抜け、リーフが指さした方向へと走った

もうベッドはないみたいですね。床に置くしかない?

彼は周囲の難民を見渡しながら、足を引きずりながらついてきたリーフに訊ねた

そうですね……でも、まだ布団がありま……

僕が作った折りたたみベッドならあるよ

サンディがマッチを連れて、折りたたみベッドから立ち上がった。彼はぎゅっと眉を寄せて、男性とその子供を見つめている

……僕のを使って

ありがとう……!

男性はひとつ頷き、傷ついた子供をゆっくり折りたたみベッドに置いた。その時、サンディは何かに気づいたように、壁に身を寄せて暗い表情を浮かべた

怪我する以前、何か既往歴やアレルギーはありますか?

それは、よくわからなくて。あなたは?

私も、わかりません……

大丈夫です。注射する前に検査をしますから

リーフは子供の服を脱がせて、背中の傷を診た

よろしくお願いします

まずは止血します。怪我した経緯はわかりますか?

異合生物です。詳細はわからないけど、当時は別々で行動していたから

うん、血清が必要ですね

ここ数日、食事はしていますか?

それもわからない。昨日はお腹が減って、何日も食事していないからと、僕にビスケットをねだってきました

…………

サンディはその男性の鞄を見た。中に物資がびっしり詰まっているのがよく見えている

食べ終わったあと、彼は次の保全エリアに向かう前に物資を探したいからと言って、僕から防護服を借りて去っていったんです

ふたりはリーフが治療してくれているのを見て、ようやく人心地がついたようで、そっと腰を下ろした

……どうして

どうして、ひとりで行かせたの?鞄にはまだ物資があるのに、どうして子供を危険な目に晒したの?

いきなりの詰問に男は驚いた。彼は振り返って少年を見て、何かを思い出したかのように眉をしかめた

君くらいの子は……

ごめんなさい。私のせいなの……妊娠して、足を挫いたから、早く歩けなくって。この子はヒッチハイクするからって、先に行ったんだけど……まさか……

彼女は長く息を吐くと、悲しい目でベッドの上の子供を見た。麻酔の備蓄が足りないせいで、傷口の縫合に子供は泣き叫んでいた

…………

しかしリーフはまったく動じていない。彼女は集中して、動きを更に早めた。縫合を早く終わらせて、楽にしてあげたい一心だった

…………

その子の泣き声を聞いて、サンディは壁から滑り落ちるように座り込んだ。その落ち込みを察したのか、マッチが自分の大きな頭をサンディにすり寄せている

……ワン

……じゃどうして……妊娠なんか?

サンディのほとんど聞きとれないほどの小さな声には、強い憎しみがこもっているようだった。普段のあの謙虚な少年の雰囲気とはまったく異なっている

何のこと?

こんな、こんな世の中なのに、子供なんて育てられるはずがないのに、どうして産んだの……!

子供が泣き叫ぶ中、それに耐えがたいというように、彼は歯を食いしばりながら叫んだ

………………

まさか少年からこんな詰問を受けようとは思わなかったのだろう。女性は明らかに動揺し、やっと口を開けられたものの、言葉は出てこなかった

今回は運よく、あなたたちに助けられて、しかも優しいお医者さんに出会えたけど

これからは?彼は僕みたいな、ううん、むしろ僕より苦しい人生を歩むんだ

……ウウゥ

どうしてそんなことを言うんだ?

どうして……?僕の親も、あんたたちみたいな人だったからだ

先のことなんか考えないで子供を産んで、育てられなくなったら、適当に道ばたに捨てていく

……先のことを考える?

そう。子供がいるんなら、その意味が少しはわかるでしょ

多くの難民キャンプや保全エリアでは、子供連れや妊婦だと優待措置がある

…………

彼女は顔を伏せ、それについて否定しなかった

本来それは、好意だろうけど……

その好意をたかる人だっている。僕の両親みたいな……

人より多くの物資と好意を手にしたいだけなんだ。先のこと、未来のことなんて考えてない

……僕の母が妊娠したあと、希望通りに保全エリアで特別な支援を受けられて、入居を受け入れられたんだ。それから保全エリアで僕と弟を産んだ

でも2歳になった時……父は小麦の粥を手に入れるために、僕を別の家に「譲った」

でも養父も父と同じような人だった。いつも人の同情心を利用して、僕を連れて保全エリアで物資をねだっていた

でも、どっちの親の側にいた時も、僕がもらえるのはほんのちょっとの食糧だけだった

僕が大きくなって、もうその「効果」がなくなったとみて、彼らは食べ終わった缶詰を放り投げるみたいに、僕を道ばたに捨てたんだ

…………そんな……

サンディの話を聞いていた難民たちは、小声で会話を始めた

難民4

確かに聞いたことがある。ああ、保全エリアもただただ善意で、子供たちを生かしたいと思っているだろうに、酷いやつがいるもんだ

難民5

酷い?その面の皮の厚さがなけりゃ、こんな環境で子供なんか産まれないぜ

難民6

というか、子供との関係性を確かめないで物資を渡してたってことだろ?

難民7

確かめるって?自分が明日まで生きられるどうかすらわからないのに?生き延びられるんなら、誰の子供だろうが重要じゃないだろう

……じゃあ、道ばたに捨てられた子供がどうすれば生き延びられるか考えたことはある?

どこに行っても足手まといになり、どこに行っても追い出されて、罵られて……

だから……聞きたいんだ。親として子供を育てられないのに、どうして産んだの?

まさか、目先のこのちっぽけな利益のために、子供の将来を何も考えなかったの?

…………

彼女は頭を下げて、どう答えればいいのかわからないようだった。その重苦しい空気はずっと続き、そんな中であの見覚えのある男性がひとつ咳払いをした

すまないけど、これじゃ答えにならないかとは思うが……

……僕はこの子の父親じゃないんだ

それと、彼女もこの子の母親ではない

僕は一応彼女の夫の同業者で、行商をしていたんだ……状況がひどくなり、旅行商もかなり厳しくなっているけど、危険を冒して行脚する商人だっている

この鞄の中にある物資の半分以上は、彼女の夫のものなんだ……他人から託された物を食べる訳にいかないだろう?

その予想外の答えに、少年ははっと目を見開いた

ご、ごめんなさい。そうだったの……

本当にすみません……勝手に勘違いして、酷いことを言ってしまって

いいえ、いいんです。あなたが言ったようなこと、確かに事実ですもの

私も、この男性もこの子の両親ではないけれど、前に話を聞いたことがあって。この子もあなたの経歴と似ていて、8歳の時、産みの親を事故で失ったと。2年前だそうです

この世界はあまりに残酷で、明日も無事生きられるかどうか、子供の側にいてやれるかどうかは、どの親にも断言できません

当然、子供が無事育てられるとは、とても誰にも保証できないの……

うん……

彼女はゆっくりとサンディの横に座って、優しく少年の背中をなでながら、マッチのモコモコとした頭もなでている

……小さい頃から両親と離ればなれになった子供は、それはもう、生きるだけで精一杯なはず

あなたの話を聞いて、慎重に考えます……

……はい

難民7

もうこんな話はやめようや。子供ができたら育てるもんなんだ。本当に嫌な世の中だ、皆冷たく凍っちまって。でも天は公平で、全員が地獄で生きてるんだ。文句を言っても無駄さ

……ごめんなさい

謝ることじゃないわ

不公平な出来事は……他にもいっぱいあるもの

彼女は難民たちを見て、ゆっくりと目を閉じた

確かに皆が同じ苦境の中でもがいてる。武装している人も、自由に行動できる人も、産まれてくる命を背負っている人も……子供の身で逃げまわらなければならない人も

こんな環境できちんと生き延びて、自分の他にもうひとつの命を助けるなんて、大したことだわ

難民7

はいはい、言い方が悪かったよ。ただ皆の苦しい顔を見たくなかったんだ。せっかく新しい命が産まれようとしてるのに、それを見捨てるなんてな

彼は少し怒りながら背中を向け、女性とサンディと目を合わせないようにした

難民8

言い方は悪いけど一理ある。小僧、自分が運が悪いからって、他人から希望をなくすのは違うと思うぜ

…………

悲しみを我慢すべきではないと同様に、人々の中にある希望も、奪われるべきではない

どちらにも、存在するからには理由があるのだ

…………でも……

サンディ、あなたの心配はわかります……

リーフは傷口の処置を終え、泣いている子供にそっと毛布をかけてやり、ベッドに手を添えながら立ち上がった

新しい命が誕生するのは、本来は喜ばしいはずです。でも、自分の限界を超えるような負担は、母親にとっても子供にとっても、窮地に自ら陥るのと同じことです

……その通りだね

でも……たとえ窮地に入ったとしても、時にはより多くの何かを得られることもあります

得られることとは、同情心を利用して物資を手に入れることではありません。希望や支えといった、精神的なことです

リーフは目を細めて、サンディの横にいるマッチを見つめると、優しく微笑んだ

あなたがマッチを連れている理由は、マッチから物資をもらえて、助けてもらえるからですか?

ううん、違います

マッチと一緒にいても、あなたにとっては都合が悪いことが多いですよね。もとから少ない配給が、より少なくなったり

でも、あなたも言っていたでしょう、マッチは生き延びる意味と力の源だと。だから、あなたはその道を選んだ……そうでしょう?

……うん

少年は頷き、申し訳なさそうに隣の女性に目をやった

それなら……あなたにとっての子供とは、一体何でしょうか?

…………

彼女は顔を伏せたまま、それに答えずに考え込んでいる

難民8

俺思うんだけど、やっぱり子供は産むべきだよ。確かに今は大人だって腹も満たせず、大変な毎日だけど。でも、人が増えるのっていいことじゃないか

生きてる人間がいなくなりゃ、ここにいくら物資があったって意味なんかないだろ?生きてる人間がいるから、独りぼっちだと思わなくてすむし

難民7

そうそう、それが言いたかったんだよ

それを聞いて、離れようとしていた難民は興奮した面持ちで引き返すと、ふたりに拍手をした

難民7

人だろうと犬だろうと、新しい命を守った者がおっかさんなんだ。おっかさんが簡単にほっぽりだし……ああもう、この口下手が

彼はパチンと軽く自分の頬を叩いて謝った。それを人々が笑う中、サンディと女性も、その「おっかさん」に我慢できず、失笑した

難民7

子供の頃から口が達者じゃなくてな。すまんすまん

彼が笑いながら手を擦り合わせると、両手から埃が舞い、そのせいでくしゃみを2回連発した

難民7

せっかく来たんだ、他のことも教えてくれ。名前は?どこから来たんだ?外の状況はどうなんだ?

「どこから来た」「外の状況」は新しい難民が訪れた時、必ずある質問だった。これはもう挨拶とマナーみたいなもので、今答えなくても後からしつこく訊かれるはめになる

ファンティーヌといいます。南にある045号都市から来ました。もともとは044号保全エリアを目指していましたが、そこの浄化塔が故障してしまって

045号都市と044号都市はどうなったんだ?

045号都市の保全エリアは満員で、044号都市の保全エリアの浄化塔にはトラブルが起きたそうです。そこへ向かう途中で、ある構造体に止められました

044号都市付近に多くの異合生物が現れ、保全エリアと浄化塔を耐えず攻撃していると言われました。彼らは今、044号都市の住民を避難させている最中のようです

……044号都市、確かルシアとリーさんたちが向かっていた場所……

その話を聞いた難民たちは小声でひそひそと話を始めた

難民4

南の方が最も安全だって聞いたけど、大して変わらないな。あの2体の人型生物がいなくなっても、異合生物はイナゴの群れみたいに襲ってきやがって!

難民5

ここにも長くいられそうにない。さっさと撤退しないと!

撤退?どこへ逃げるんじゃ?

今外で、安全な場所なんかあるもんかの?

難民6

だったら、どうすればいいんだよ?

思うんだがの、空中庭園から救援が来ないんなら、オブリビオンのところに向かった方がいいんじゃないかえ

オブリビオン……

実は、この人はオブリビオンから来たそうです

おや?オブリビオンと知り合いなのかい?あっちの様子はどうだい、若いの?

知り合いってほどでもないけど、旅の商人としてよくオブリビオンとは取引していたよ

彼らは今でも、流浪する難民を受け入れている。しかしどの拠点も人でいっぱいみたいだ

……撤退については、ワシらが自分でどうにかするしかないじゃろ

オブリビオンなら確かにほとんどの保全エリアより環境がいい。少なくとも、まだ食糧の備蓄が残っている。だがこの状況だ。血清は不足しているだろうな

僕がこのエリアに来たのも、まだ余裕のあるエリアで血清を交換して彼らに届けようとしているからなんだ

……行商の若いの

彼女の夫も同業者と言っておったな。その夫とやらは今、どこにおるのじゃ?

私を守るために赤潮に落ちました……再び彼の声が聞こえた時には、もう……

彼が戻ってくることはないとわかっています。でも、類人の声は、本当に彼とそっくりで……

この人がちょうど仕入れで通らなかったら、私は……類人に殺されていたでしょう

こういったことの扱いはよく心得ておるようだの

老婆は称賛するようにうんうんと頷いた

若いの。名は何と?

シュレックだ

シュレック……?

その名前を耳にして、リーフはやっとこの見覚えのある青年が誰かを思い出した

初めてその名前を目にしたのは、集噛体を発見する直前のことだ

グレイレイヴン小隊に新たな任務が下され、「荒廃の墟」の中で華胥が残した座標を探さなければならなかった。手がかりを探す中、リーフは1冊の本を発見したのだ

『カード騎士の創造伝説』……?

リーフは気をつけながら色褪せている表紙をめくり、ストーリーを読み終わったあとに、本の裏表紙に綺麗な字で書かれた一行を見つけた……

「我々の地球は数多の災難を経験してきた。いかなる災難であろうとも時が必ず収束させる。ゆえに我々は決して挫けず、希望を抱いて明日を待つのだ」――寄贈:シュレック様

この本にほとんど手がかりはなかったが、運命は偶然の重なりを見せ、グレイレイヴン小隊は次なる都市の廃墟でシュレックともうひとりが壁に残したらしい文字を発見したのだ

見てください、あそこの壁に何か文字が

リーフが指差す方向を見ると、廃ビルの壁に誰かがひとつの美しい標語を書きつけていた

「我々の地球は数多の災難を経験してきた。いかなる災難であろうとも時が必ず収束させる。ゆえに我々は決して挫けず、希望を抱いて明日を待つのだ」

とても勇気づけられる言葉ですね

これ……筆跡も新しいし、最近書かれたもののようです。スカベンジャーが残したものでしょうか?

標語の下には乱雑に「当然」という2文字が書かれていた。その後に続く言葉もあったが、削り取られていた

その後、一同は「当然」の2文字の後ろにある言葉を目にした

それから……彼らの最後の記憶をも……

「この星で乗り越えられない冬はなかった。だが雪と氷が溶け、暖かな春が訪れても、君はいない」

赤潮の影

シュレック……生きて

未知の任務だわ……私に任せて

…………

あの時はファウンスの槍を通して、シュレックの過去の一部を知ったが、それを本人に告げるのはあまりに礼を欠いた行いだろう

そう考え、リーフは何も言わなかった

お前さんは血清だけど、彼女の夫は何を交換しようとしていたんだ?

同じく血清だ。彼も依頼を受けて取引をしに来たから。帰ってこないから、僕が探しに行ったんだ

なるほど……でも、残念ながら私たちの血清もほとんど残っていません

これらの物資で、血清4本と交換したいけど、まだある?

3本なら……新しく負傷者が来るかもしれませんので……

ああ、それはもちろん理解している

彼はポリポリと雨に濡れた頭を掻いた

僕はオブリビオンの方から来たけど、道中の保全エリアは例外なく血清と食糧不足の危機に陥ってた。ここはだいぶいい方だ。他の保全エリアでは盗難を恐れて休憩もできなかったし

外では異合生物がまだうろうろしているし、ここで少し休ませてくれないか?

お医者さんがいいってんなら、俺らは文句ないぜ

狭いところですけど、よろしかったら

もちろんだ。ありがとう……!

彼は遠慮なく大欠伸をすると、壁にもたれて目を閉じた

…………

今、ここには迷える人々が集まり、誰も明日のことなどわかりません。もし指揮官が起きていらっしゃったら、この事態をどう思うのでしょうか……

……今ここに、側にいてくださったらどんなに……指揮官