Story Reader / 本編シナリオ / 13 終焉の福音 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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散らばった欠片

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ライオットは不気味な轟音を発しながら、残骸と化した

指揮官が応答しないのはおかしい……ムールナー、ジン、今すぐ安全ポイントまで撤退を

……確かにそう言ったのは覚えている、けれど……

ルシアの影が、記憶の中の違和感を埋めてゆく

ルシア……先に行ってくれ……

指揮官が……危ない……わ、我々もあそこから逃げてきたんだ……

あなたたちを置いていけるはずないでしょう!?

ルシアはふたりに駆け寄り、何とかひとりでも背負おうと躍起になった。その時、音信不通だった指揮官ととうとう通信がつながった――

前グレイレイヴン指揮官

……ルシア!

指揮官は戦いの渦中にいるらしく、ひどく息が乱れている

指揮官!ムールナーとジンが重症です、支援を求めます!

前グレイレイヴン指揮官

無理だ……!酷なことを言うが、ふたりはそこに残せ

奇襲を受けているんだ、早く戻ってきてくれ!

仲間を見捨てられません!

大丈夫……ふたりとも今から意識を伝送するから……すぐにまた会える

意識伝送?でもそれはまだ技術的に……

心配いらないわ。せいぜいどうでもいいことを忘れるくらいだから……

ジンは痛みに耐えつつ無理に笑顔を作った

前グレイレイヴン指揮官

ルシア――!!早くしてくれ!!間に合わなくなる!!

ルシアの影は歯を食いしばり、戦友を地に横たえた

そんな顔するなよ……次の機体で会おう

ええ……絶対に!

地面に横たわったふたりは精いっぱいの力で親指を立て、ルシアの背中を見送った

このままこうしていたら、侵蝕体になるんだろうか……

意識伝送にはまだ少しかかる……あと少しの辛抱ね

肩で息をしていたふたりの影は時がたつにつれて薄くなり、やがて消えた

………………

ルシアは頭を振った。自分の影を目の当たりにしてもなお、意識海から関連する記憶のデータを見つけ出すことができない

ですが、ここで再び彼らが現れたということは、指揮官が仰っていたあれは確かにここで起こったことなんですね……

ルシアの今の機体にはαのデータも搭載されている。あるいは、完全な記憶を取り戻せるかもしれないが……

最初に彼女の記憶の一部を封印したのはニコラだ。その記憶が戦いの足かせになると考えてのことだった

だがそれは、所詮つけ焼刃の方法にすぎない。時が経つにつれ、ルシアは迷いと疑念に囚われていった

彼女が一線を超えないよう引き留めることができるのは、グレイレイヴンの絆をおいて他にないと私は信じているのだよ

お前の端末に権限キーを送信した。ファウンスの槍システムを使って、ルシアの意識海深層にアクセスするための権限だ

αの封印された記憶は彼女の意識海の深層に封印されている。君なら、この意味がわかるだろう

いつそれを使うかは、君に任せるとしよう

ルシアはここまでの記憶を受け入れられたのだ。今こそ、権限をルシアに返す時なのではないか――

だが口を開いた瞬間、緊急通信の通知音が鳴った

何かあった?

位置情報が長時間同じ場所にとどまってたから、何かあったんじゃないかと思って……

ならよかった。でもこれ以上は休んでいられないよ?赤潮がそこに向かって移動してる

一刻も早く離脱してほしい。ブリギットが近くにいるから、車で拾ってもらうといいよ

一刻の猶予も辞さない知らせに、グレイレイヴンはすぐさま通信を切断すると計画ルートを全速力で進んだ――