それで彼女は条件を飲んだと?
もともと拒否できるはずもなかったよ
では君の次なる成功の前祝といこうか
ロボットの前に座る人間の姿は影になって見えないが、ロボットに向かってグラスを掲げていた。グラスの中の液体が、光を反射して金色にきらめいている
話を逸らさないでほしい。例のモノは?
まだだ。黒野の軍隊の使用権ともなれば、そう簡単に手に入るものではない
なにも軍隊丸ごととは言ってない。たったひとりの安全を保障できる武力があればそれでいいんだ
だが、あの種の任務の遂行にはそれなりの数が必要だろう……
ロボットは手を振って話をさえぎった
もういいよ。単刀直入に言ってくれ
……昇格ネットワークの他の代行者の手がかりがほしい
オーケー、交渉成立だ
さすがに話が早いな
僕の方の条件を忘れないでくれよ?
わかっている
隠密性、効率、安全性
彼らならいずれの勢力にも悟られぬまま、君の目的を成就させることができるだろう
ふん、そうであってくれればいいんだけど
ノイズが鳴り、通信は切断された。影の人物は赤いソファから立ち上がると、グラスの酒を飲みほした
ふふ、そうなるとも