Story Reader / 本編シナリオ / 13 終焉の福音 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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血縁の余韻1

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この区域の侵蝕体を全て片づけたあとのデータ収集で、見覚えのある人物を見つけた

これは……お姉さんを探していた人ですね。タイムスタンプを見ると、これは彼女が通信したあと、すぐに起こったことのようです……

結局お姉さんは見つかったんでしょうか……この記録を再現しますか?

急ブレーキの音とともに、一台の古ぼけたジープが廃墟の前に止まった。アンジーという研究員と3体の構造体が車から飛び降りた

この先はもう舗装路がない。歩くしかない、だが……

目的地に近づくにつれ、4人の体にそれぞれ異なる程度の侵蝕症状が現れた

ここのパニシング濃度は高すぎる。更に進むのは危険だ。彼女、本当にここにいるんだろうか?

怖いなら、今引き返せばいいわ

姉さんはきっとここにいる。子供の頃、鬼ごっこでいつも私を見つけたように、私たちの血の中には響き合うものがあるの

彼女は血清を取り出し、自分に打つと振り向くことなく前に向かって走り出した

アンジー

ひとりの女性構造体が廃墟の影から出て、アンジーを見た

姉さん!やっと見つけたわ

私があなたを見つけたのよ。彼の言う通り、戻った方がいい

そうね、戻った方がいい。でも姉さんも一緒よ

これは私が選んだことよ。放っておいて

私はただ姉さんと一緒にいたいだけよ!

一緒に……

アンジー、私は構造体として戦い、多くの死を目の当たりにしてきたわ

このままだといずれ、私はあなたから離れなくてはいけない

ただあのガブリエルという天使は私に天啓をくれたの。パニシングに脅かされない、唯一の方法を

そんな……嘘でしょ?

そんなすごい方法があるなら、なぜ私たちはパニシングと戦う必要があるの?

……

確かに「近道」はリスクが伴う。でも戦って死ぬより、そのリスクをとることを選ぶ。私は戦うために存在するのではなく、あなたと研究のために存在するの

姉さん……それが今回のひどい怪我から悟ったこと?

…………

ずっと姉さんに謝りたかった……私が研究員でいつづけるために、姉さんは自分の未来を捨てた……

……私だけコポリマー適性検査がよかったからよ、あなたのせいじゃない

でも!でも……もし私が研究を諦めれば、姉さんと私は人として生きていける!

バカなことを言わないで。私と一緒に研究することに応じてくれたのは、この選択が最も安全だったからでしょう

私が構造体になってから、あなたは仕事に集中できなくなってる。このままだといつかクビになるわ

今仕事を失うことは何を意味するのか、あなたの方がよくわかっているはず

ましてや「もし」なんてない。私はもうこんな姿だし

私を思って、こんなひどい怪我をしたのに教えてくれなかったの?

突然、廃墟の影が少し揺れたが、しかしリアドリン以外、誰も気づかなかった

アンジー、あなたたちは早くここを離れて

なぜ?私は絶対に姉さんを置いて行かない!私と一緒にきて!

私たちは小さい時からずっと一緒で、この世には姉さん以外、家族もいないのよ!

ここは危険よ、早く行って、彼らと一緒に!

いやよ!姉さん……小さい時からずっと言うことを聞いてきたけど……今回だけは……

アンジーの声は震え、抑えきれずにとめどなく涙が流れる。彼女は銃を捨て、リアドリンに飛びついた

今回だけ私のわがままを聞いて……姉さん!

リアドリンは自分の腕をつかむアンジーを引き離そうとしたが、その瞬間――

え?

彼女の体は後ろ向きに倒れた。だがその手だけはなお、リアドリンの腕をつかんだままだ

アンジー!!!

3人の構造体がすぐさま武器を構えてガブリエルを迎え撃つ。だがそれも数秒間しか持たず、やがて完全に活動を停止した

どうやら、素材が届いたな

何のこと?!

やはり見込んだ通りだった。あなたはその素質を持っている。ほんの少し、助けが必要だが

アンジー

姉さん……

痛みで意識が戻ったアンジーは切り落とされた腕の傷口を強く押さえ、袖で目の中に飛び散った血を拭った

だが目を開けても目の前は一面の深紅――パニシングがガブリエルの手から紅色の電流となって、リアドリンの体に纏わりつく。まるで目に染み込んだ血のような赤さだった

ギャアアアアアアアア!!

これをよく見ろ

ガブリエルが廃墟の山から石板を投げ飛ばした。それは動けないアンジーに当たり、肋骨が砕ける音がした

アンジーはもがきながらリアドリンに向かって手を差し伸ばした

アンジー

………姉さん……私はただ……姉さんと一緒にいたい……

姉さんがいないと……私は……

その言葉は風の中に消え、リアドリンに向かって差し伸ばした手は、力なく地面にくずおれた

アンジー――ッッ!!!!!!

いいぞ、あなたはきっと我々の仲間になれる

あああああああああああ!!!!

廃墟にリアドリンの泣き声が響き渡った。だがその悲鳴は何の慰めももたらさず、周りの生物にとってはただの耳障りな風の音でしかない

彼女はパニシングに蝕まれながら武器をつかみ、かつて天使と呼んだ昇格者に向け、全力で振り下ろした――

その後、リアドリンの影は消えた