Story Reader / 本編シナリオ / 13 終焉の福音 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
<

契文1

>

この暗い地下の建物には埃まじりの空気が充満し、隅の蜘蛛の巣も長い間、ここに人が住んでいないことを示している

淡い青色の光がロボットの前方に現れ、ねじれた映像が明滅したあと、ひとりの若い男性が映った

うん、通信には問題がないようですね

こんにちは、正式に顔を合わせるのは初めてですね

華胥(カショ)

こんにちは、人間よ。あるいは取引人と呼称しましょうか?

ヴィリアーと取引をしたこともご存じとは

華胥(カショ)

あなたが引き続きロボットを介さずに、わざわざ私に自分の正体を明かしたのはなぜです?

あなたのご主人様とお会いする時の礼儀だと思いまして

華胥(カショ)

記録によるとあなたはルナたちと取引をする際に、自分の情報を何ひとつ教えていません

僕が言っているのは、あなたの実際のご主人様。つまり華胥の後ろにいる、真の黒幕です

華胥(カショ)

……

あなたは華胥を通じて、ここで起きた全てのことをご存じでしょう?ねぇ、曲様

マーレイの顔にいつもの笑顔はなく、真剣な面持ちで何もない前方の空間を見つめていた

長い沈黙のあと、マーレイが見つめる空間の画像がゆがみ、新しい通信投影が現れた

やっぱり思った通りだ。では改めて自己紹介を

僕の身分はたくさんあります。取引人でも、僕の名前であるマーレイとお呼びいただいても構いません

マーレイ……聞き覚えがあります

覚えていてくださって光栄です

社交辞令は結構。言いたいことがあるなら単刀直入に話しなさい

あなたと取引をしたいのです

……今なんと?あなたたちの議長がいうところの協力、ではなく、取引ですか?

ええ、シンプルに取引です

現在、ルナが引き起こした嵐が治まりつつあります。双方が冷静に取引について話すのに、ちょうどいいタイミングだと思いまして

僣越ですが、華胥の記録を色々と調べさせていただきました……僕は華胥をあなたが意図的にルナに渡したと推測しています

華胥を通じて事前にルナのデータを漏らし、周辺勢力がルナに恨みを抱くように仕向けたり、あるいは陰で空中庭園の執行部隊の手助けをしたりと……

全ての矛先、それは昇格ネットワークの代行者――ルナに向けられている

華胥はルナを助けつつ、同時に陰でルナを阻んでいた

指令を受けていないAIは絶対にこんな行動はしないはず。ならば華胥に最高指令を与え、かつ他の人に気づかれない存在と言ったら、あなた以外いないでしょう

おおむねその通り。では、取引の内容とは?

さすがご理解が早い

あなたの万世銘にとって、ルナは制御できない脅威です。僕が思うに彼女への投資を適時に損切りしないと。それならば、僕と手を組んで彼女を排除するのはいかがでしょう?

華胥のキーはもうしばらく僕に預からせてください。そのかわり、華胥の代わりとしてルナのそばに隠し玉を仕込んでおきました

今回の取引の前提として、情報の共有は必須です。僕は華胥の代わりにルナのリアルタイムの情報を提供し、あなたとともに彼女を取り除くタイミングをはかります

僕に必要なのは華胥の一部の演算力権限だけ。これを使ってゲシュタルトに対抗する切り札にしたいんです

その情報の信憑性をどのように確認すればいいのですか?

取引で最も重要なことは信頼です。僕には取引相手に間違った情報を提供する必要性がありません

たとえ正確であっても不完全な情報では、戦場で誤解を招く可能性があります

仰る通りです。あなたが華胥を通じてルナに提供した情報、それと同様にね

華胥の最高制御権を持つあなたは、いつでもそれを通して僕の存在を消すことが可能だ。そうでしょう?

あなたに不利益なことは僕にとっても不利益なんです。人間として、僕はとても命が惜しいんです

僕は彼とともに、このクソみたいな戦争が終わるまで生きていきたいんです

……

本当に懐かしい……

え?

あなたと話しているとヴィリアーを思い出します。あなたとヴィリアーはどこか、似ているところがあるのね

……ヴィリアーのことは本当に残念に思っています

いえ、いずれにせよあなたは私を説得できた。取引成立です

曲が指を鳴らすと華胥は端末から緑色の光を放ち、マーレイを包み込んだ

感謝します。僕たちの取引が成就しますように