ひどい傷……早く輸送車に。あとはこちらに任せて
撤退過程で幸運にも支援部隊と行き合うことができた。リーとリーフが、指示通りにルシアを車に乗せている
……
ルシア……
とんでもない重傷だけど……一体何があったの?
昇格者……ということは、あなたたちが例のグレイレイヴンね。生きて戻れるなんて、さすが精鋭部隊だわ
でも、私たちは勝てませんでした。それに……
生きていることが勝利よ
意識海さえ保てれば何とかなる。ただ当面の間、戦闘復帰は無理ね
急いで後方基地へ輸送するから、あなたたちも早く作戦位置に戻って
ブリギットはドライバーに出発の指示を出すと、自分も車に乗り込んだ
ルシアのことは支援部隊にお任せすれば大丈夫でしょう。問題は、このあとどう作戦を継続するかですが……
私が助っ人としてグレイレイヴンに加わるわ!
重苦しい空気を一掃する、快活な声。アイラだ。以前と変わらぬ、およそ戦場には似つかわしくない塗装で、大鎌を抱えて立っている
ハセン議長に召集されたの。専門の戦闘員ではないけど、少しでも力になりたくて
ルシアが負傷したって聞いて、居ても立ってもいられなくなったの。指揮官、どうか近接戦闘員として作戦に参加させてください
それから……
アイラは背中のバックパックを探り、奇妙な形の端末を取り出した
これは……?
よし、接続したな。グレイレイヴン、聞こえるか?
……なぜアイラの端末を使っているか、ということかな?
九龍の通信妨害対策、ですね。昇格者相手にどの程度有用かはわかりませんが、少なくとも僕たちの通信システムは半分も機能しなくなった
九龍が通信妨害を始めたからだ。郊外から君たちとコンタクトをとるためには、これしか方法がない
通信妨害の対抗策は講じているが、解決までには時間がかかる。ゆえに、この特別調整済の端末をアイラに持たせたというわけだ
そうまでされたということは、新しい指示があるんですね?
計画はあったのだが、昇格者ガブリエルの突然の猛攻によりそれどころではなくなった。君たちには早急にガブリエルを止めてもらいたい
もちろん、他の部隊も行かせている。繰り返すが、昇格者の目的は光壁内部のゲシュタルト型AIの強奪だ
何としてでも阻止せねばならん。頼んだぞ
よろしい、では、アイラとともに作戦を開始してくれ
……戦わないという選択肢はない。わかっているのだろう、[player name]
あっ、議長!
うむ、どうした?
先ほどの橋で、私たちの窮地を救ってくださったのは誰だったんですか?
……あれは、君たちの努力の結晶だ