一体どういうことでしょうか?あなた方は何者ですか?
グレイレイヴン、それからあなたは……ルシア……
……
曲様、あたしたちの助っ人です。今こそ曲様を華胥から解放するんです
私を解放……蒲牢、最近のあなたの行動は、このためだったのですね?
はい、準備に長いことかかりましたが……チャンスは今日だけ、たった一度きり
今こそあのふざけたシステムから全てを取り戻すんです!
そうですか……苦労をかけましたね、蒲牢
あの九龍に……あなたも戻りたいというのですね?
もううまくいったも同然です。曲様、中央制御室の権限はまだお持ちですか?
では私について来なさい。グレイレイヴン、あなた方も……
……大丈夫でしょうか?
ええ……心配はご無用
制御室にご案内しましょう
……本当に、長いこと待ち侘びました
リーフ、どうしました?
曲さんの機体状況ですが……
リーフは言葉を少し止めてから、再び口を開く
……芳しい状態ではありません……
意識海がとても乱れています……あらゆるパラメータが高負荷を示していて……
一刻も早く……
はい
九龍夜航船·最高層展望席
……ここ
「あれ」はここにいます。この空間そのものが「あれ」なのですから
曲は蒲牢の手を放すと、ルシアの手を取り前へと進む
……?
蒲牢、あなたは言いましたね?私たちは船もろとも華胥に支配されている、と――
曲様?
それは誤りです……この船の主はずっと私。最高権限を持つのも、他ならぬこの私
まさか……ルシアっ!!!
遅すぎましたね
リーが銃を構えると同時に、天井に潜んでいた機械傀儡が落下してくる
体を探していたのは私。夜市と交易会を設けたのも私。人々を欺き、あなた方を束縛したのも、この私
そ、そんな……まだ華胥の制御から抜け出せないの……?曲様はそんなこと……
私がそんなことをするはずはない?それとも、人間はそんなことをしない?
あなたは何を根拠に断言するのです?機械には感情もなく、心臓もなく、独立した意識もなく……人間の手による、単なる工作物なのですよ
蒲牢、ずいぶんと身勝手ですね……あなたも所詮は機械と人間の混ざり物。忘れてしまったのですか?
華胥は……あらゆるものに対する憐れみで満ちています
行く当てのない人間を……パニシングから守っているのですから……
いえ……よしましょう。とにかく、思いも寄らない贈物を運んできてくださったことに感謝します
一度手に入れたものを、そう簡単に手放したりするものですか
蒲牢……計画を変更しなければ……!
どうして……どうして、そんな……曲様……
くっ……
意識移植実験……私はすでに成功率の高い移植方法を見つけています
華胥……あなたに最もふさわしい「体」を見つけましたよ……
……これが、最後です
ルシアを不思議な感覚が襲う。目に見えない何かに掴まれたような、そしてゆっくりと空中に浮いていくような感覚……
砂絵、そして川
曲は黙って砂絵を見つめている
やがて手を上げると、虚構の砂絵にそっと触れた
なんだ!?何が起こっている!グレイレイヴン!
意識は一瞬で真っ白になった