舞台上の煙粉壱型が、舞台下に向けてお辞儀をする
全ての商品の――個別披露が終了しました――
それでは――全ての商品を舞台へ――一斉披露を行います――
観衆の熱い視線を集めたのは、ふたりの女性構造体だ
東洋の艶美さと西洋の優雅さ。黄金時代を彷彿とさせる美の共演が衆目を魅了する
……ルシア!?
……?
どうしてここに……ルシアたちも任務か?
……なんであなたが
……
視覚モジュールが……故障したかも……
あとでセルフチェックしておきます……
あれが首領の曲
チャンスを見つけて、近づかないと
四方に気を配りながら、群衆に潜む機械傀儡と距離を取る。ふと、よく知る顔が視界に映った
……クロムだ。こちらの目線に気づくと、少し表情を動かして頭を下げる
舞台上の金髪の女性(女性の割には長身だ)が、こちらを見ている。まるで、何らかの信号を受け取ったかのようなタイミングだ
微笑みに弧を描く目……何となく見覚えのある唇……
(指、揮、官っ!!)
……なんということだ。あまりのことに動揺を抑えきれないが、その間も交易会は進んでいく。手に傘を持つ構造体……睚眦がゆっくりと幕を上げ、首領が姿を現した
グレイレイヴン指揮官、ストライクホークのクロムです。特殊チャンネルから失礼します
時間がありませんので手短に。こちらはあなた方の動きに合わせて混乱を起こす予定です。ルシアが目標へ接近できるよう、陽動します
後ほど合流しましょう
通信が切れた瞬間、よく知る顔が群衆から躍り出た
それと同時に、一体どうやって隠していたのか、カムイも背中から武器を取り出した。頭にかぶっていた美しい帽子が床に落ちる
大鎌を軒に引っかけて、クロムは飛び上がった
……主人を保護しなければ
へーい!お前の相手はここにいるぞ!!
空中で交差する赤と青の影。ルシアとクロムが刃を交える
その衝撃を利用してルシアは高台に上がった。そして曲の腕を掴む
行きましょう
……