Story Reader / 本編シナリオ / 11 九龍夜航 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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11-6 貨物

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龍の子がひとり、蒲牢の権限により命じる

機械傀儡は攻撃を止めた

権限が有効になった……

さてと、ここじゃあゆっくり話せないね……

指揮官、危ない!

誰もが動こうとしたその瞬間に、蒲牢の小さな手はもう指揮官の首にある首輪を掴んでいた

指揮官のバイタルサインは正常、心拍数も安定しています。脅迫されているわけではないと思いますが……

指揮官、戻りました

ルシアは臨戦体勢だ

ふん

蒲牢は抑えつけていた手を緩めた

ここなら睚眦の目も逃れられる。機械体の記憶データは、嘲風があとでどうにかしてくれると思う

指揮官、これは……どういうことですか?

敵じゃないんですか?

構造体が3体に人間がひとり

……うん。螭吻の意識海が保証してくれたんだもん、悪い取引じゃないはず

あたしと同じ九龍衆よ。取引を担当してるの

正確にいうと、相互利益の追求ね

なんであなたたちが選ばれたのかはわからないけど……とにかく、助けが必要なの。だから、招待した

他の方法なんてないもの

おかしかったかな?

それより、あなたたちの名前を教えて

名前、名乗って

私たちは空中庭園の執行部隊グレイレイヴン。私はルシア、こちらは隊員のリーフとリーです

そしてこちらは私たちの指揮官、[player name]です

空中庭園?何それ?

まあいいや……あたしは蒲牢(ホロウ)

それとなんだっけ、そう、構造体!あいつも九龍衆で「守衛」の仕事をしてる……名前は忘れた。「枷(かせ)」のせいか実験のせいか、あたし……とにかく、前のことはよく覚えてないの

説明しなきゃならないことがたくさん……ひとつひとついくよ

この船についてはどれくらいわかってる?

……船の名前は「九龍夜航船」といって、大力神級の大型船よ。もともとは九龍商会の貨物船だった

東アジアの都市でできた商会。当時は、世界政府に対抗できるほどの力があった

データベースを検索しました。九龍商会はパニシングの爆発後に消滅したとありますが……

夜にしか現れない船……船の上の人がいつの間にかそう呼ぶようになったの

パニシング爆発の時、商会の首領「曲(キョク)」がこの船を開放して、エリア内の避難民を無条件で受け入れた。その時、「余計な物」まで一緒に持ち込まれちゃって……

「全て人間の認知意識データをアップロードし続け、高効率かつ絶対的客観性をもって決定を行える人工知能システム」って言えばヤバさがわかるかな?

「華胥(カショ)」っていう人工知能システム。商会でずっと研究してたやつ

ううん、そいつの名前は「華胥(カショ)」

華胥はこの船の制御権を奪った。浄化、供給、武装。「あれ」は船のあらゆるものをひとつにしてしまった。それから、首領の制御も、あたしたちの制御も奪った

船の人間には「枷」が装着されてる。機械体と構造体は、最初に体内に埋め込まれたみたい

「枷」には3つのタイプがあるけど、大した違いはない。どれも外すことができない制御コマンドってだけ

蒲牢は[player name]の顎を持ち上げて、首を指差した

……指揮官も「枷」を装着されてしまったということでしょうか?

……これは似てるけど偽物。でも、発信してる信号が「枷」とそっくりだから、警備システムに気づかれなかった

負屓の仕業かな……あいつ、こんな物まで作れるようになったんだ

つまり……この「枷」は指揮官に悪影響を与えないと?

うん、偽物だし影響はないと思う。でも、もし他の機能があるんならあたしにはわからない

その装置については後ほど全面的な検査を行いましょう

自分の安全のことは気になんないの?

とはいっても、「枷」の制御情報はたったふたつだけ。コマンドに絶対服従することと、「船」と「華胥」に直接的な危害を加えないこと

人の心をコントロールできるわけじゃないし、口を閉じさせることもできない。あたしたちはそういうバカらしい物に支配されてるの

でも、船上の人は資源も浄化装備も満足に持ってないし、船から降りても死ぬだけ。だから、多くの人は華胥に供物を捧げ、ご機嫌を損なわないように振る舞った

逃げようとした人も、蜂起しようとした人もいたけど、ほとんどの人は生き残るために華胥にすがったのよ

いつかパニシングが消え去って、船も元の港に戻って、みんな家に帰れる日が来るんじゃないかって……虚しい妄想にすがって……

夜市はどこでも開かれるけど、露天商は何も持ってない。船上の物は全部華胥が掌握してるから。納税もできず、里程も交換できないなら、すぐに船から放り出される

みんな船から捨てられたくない一心で、必死に品物を確保したり、人を騙したり、ありとあらゆることを何でもする……

本当にバカバカしい話じゃない?

……船の構造体の権限のこと?

一応、構造体は普通の人間よりは力を持ってる

九龍衆は、9体の構造体。うまくできた試験品で、扱いやすい傀儡。船を正常に運航させるための工具だし、「体」の候補でもある

華胥は完璧な「体」を、ずっと探してる

……華胥は人になりたいんだ

構造体は人間と機械を組み合わせたもの。華胥はずっと機械の「意識」を構造体に移植しようとしてる

もちろん、華胥に自我があるとは思えないけど

わからない。でも実験はずっと続いてる

うん、あたしたち皆、そう……商会の首領である曲も例外じゃない

そんな……構造体に別の意識を移してしまったら、本来の意識は……

過重でダメになっちゃうと思う

……

華胥はずっと新しい「体」を探してる。新しい意識を移すのにふさわしい体を探してる

そのために、夜市とはまた違う「交易会」っていうものが作られた

交易会?

夜市と違って、交易会では同じ種類の商品……構造体だけが取引される

華胥は首領を操って、交易会で最もふさわしい「体」を選ぶの

それが華胥、というか華胥に操られた首領が、公衆の面前に現れる唯一の機会

あなたたちは部外者だから、体に「枷」がない。だから、お願い……あたしを……いや、あたしたちを助けて欲しい……

船には中央制御室がある。船全体の制御中枢よ。華胥の制御から自由になるには……

蒲牢は言葉を飲み込んだ……

ありがとね

制御中枢の端末の場所は首領だけが知ってる。端末を壊せば、華胥をどうにかできるかもしれない

交易会で首領を華胥から奪回する必要がある。交易会は唯一のチャンスよ

交易会に入り込む方法と首領に接近する方法は、あたしが考えてある。少し準備が必要だけど、何とかなるはず……

蒲牢は数歩進み、ルシアの前に立ち止まった