アイラさん、いらっしゃいますか?……アイラさん?
通信チャンネルはオンのままですが、妙な雑音が……まさか……
セレーナーー!!
通信中断――
……恐らく、攻撃を受けていますね
リーフ、アイラのポイントを特定できますか?
指揮官、レーダーの記録だと……
先ほどのアイラさんの信号は、崩壊したキャビンの中にありました
アイラさんは交戦中……相手の信号は、侵蝕体……いいえ……
昇格者だ……
そうです……昇格者です……!!
何か企んでいたようだな……道理で出くわさなかったわけだ……
現れますッ!!
ズバアァァァーーーンッッ!!!
遠方の気密ハッチが吹き飛び、風穴を巨大な影が覆う
そしてグレイレイヴンのいるリングに向かい、一直線に落下してきた
指揮官!
ズバアァァァーーーンッッ!!!
凄まじい衝撃とともに着地する黒い影
山高帽を被り、分厚いコートを羽織っている
チュィンッ!!
なんだと……?
そんな!
リーフとリーの弾は、特殊素材らしいコートにことごとく弾かれてしまった
…………
相手は動じることもなく、大きな体躯で静かに立ち塞がったまま、ルシアを見つめている……
ルシア
はい
ワタナベとルシアが攻撃を加えようとしたその時――
セレーナァッ!!!
――空中から物凄い勢いで何かが落下してきた。アイラだ。巨大な大鎌を振りかざし、捨て身の勢いで一撃を放つ
ガキイィィンッ!!!
!
ガブリエルは腕を上げ、重い一撃を静かに受け止めた
風圧でガブリエルのコートがまくれ上がり……その懐に抱かれているものが顕になる
残骸に近い状態の……半身だけの構造体……
…………
セレーナを――返せッ!!!
アイラは大鎌を引き戻すと同時に体勢を整えて地面を蹴り、ガブリエルへ真っ直ぐ突っ込んでいく
あの小娘……
ガブリエルは巨躯を器用に操り、アイラの攻撃をひらひらとかわした
そして再度ルシアに一瞥をくれると……宙を漂うキャビンの残骸に飛び移った
待てッ!!
アイラは躊躇なく大鎌を持ち上げ、勢いをつける
ア、アイラさん……
……大丈夫、あなたたちは任務を続けて
そっちの任務の方が重要なんだから。――アレは絶対に逃さないわ……
あの……アイラさん……
え?
ご健闘を……
…………
もちろんよ!ありがとう!
アイラはリーフに微笑みかけると、数歩の助走で勢いをつけ、矢のように空中へ跳ね上がった
そのままガブリエルを追っていく……