破損した天井から太陽の光が差し込んでくる場所に、グレイレイヴンは到着した
リーさん、ここで降ろしますね……!待っててください、すぐに治療します……!
リー、耐えてください、もうすぐ戻れますから……
……
……顔を上げると、破れた天井からひとりの男が降りてくるところだった
君たちが……グレイレイヴンですか?
そうか、無事でよかった
失礼、まずは自己紹介すべきでしたね
私はストライクホークの隊長、クロムです
本部からの指示で、君たちを迎えに来ました……輸送機で拠点へ移送します。治療も手配済です
お願いしますっ!リーさんが……っ!
ええ、私にお任せください
はい……
リーを助け起こすクロムに従い、グレイレイヴンは再び地上へと戻った
君たちは作戦目標「苦刑の乙女」の撃破に成功しました。お見事です
このエリア最大の障害が取り除かれ、我々人類は、ようやく新たな拠点を立ち上げることができます
そう……ですか……
ですが……
……
我々ストライクホークは各地に分散し、独自の作戦行動を展開しています。目下の最重要任務は「昇格者」に関する情報の追跡でした
昇格者は今回の作戦の開始前には……このエリアから離脱していたようで……
……苦刑の乙女を作り出した彼らの力は、我々にとって脅威です
今度、更に厳しい戦いが我々の前に立ちはだかることでしょう……今はグレイレイヴンにしばしの休息を……
輸送機に搭乗したグレイレイヴンに、傷だらけの女性型構造体が声を掛けてきた
リー……ずいぶんとやられたようね
……今のあなたの醜い姿よりは……幾分かマシとは思いますが?
ふん……
お知り合いですか?
巻き上がる砂塵の中、グレイレイヴンを乗せた輸送機は015号都市の市街地を離れる
――その時、砂塵の下、地下鉄へ繋がる穴から静かな足音が響いた
暗い穴の奥に、微かに揺れる小柄な人影……
牙の抜けた狼みたいね、姉さん
人間たちのせいで、ずいぶんと弱くなっちゃった……
私のことも忘れちゃうなんて……
でも……大丈夫……
いつかきっとまた、会えるから
お姉ちゃんをもう一度「完成」させる
お姉ちゃんをもう一度、私の傍に……
一緒に……この世界で生きる……
一緒に……「黎明」を迎えましょう……