ふたりの刃が交差する度に、火花が宙へと舞い踊る
白髪の侵蝕体の攻撃は凄まじく、ルシアの手の刀が弾き飛ばされてしまった――
ルシア!
侵蝕体は宙を舞ったルシアの刀を掴み、
そして、ルシアの腕へと突き刺した。ルシアは崩れ落ちた瓦礫に磔となる
う……ぐ……
ルシアは脱出しようと抗うが、何度試しても抜け出す事ができない
動けば動くほど、腕の損傷部位から循環液が流れ落ちる
痛覚信号を切断されたのかしら……哀れね……
だけど、あなたの悲哀もここまでよ……ルシア
敵は手に持つ刀を徐々に掲げ、ルシアへと――
——!
放たれた弾丸は容易く弾かれ、廃墟の奥へと落ちる。無力の埃ひとつが積もった
…………
相変わらずね……人間のこういうところは
彼女は緩やかに視線をこちらへと移した
指揮官……危険です……
「指揮官」……まだそんなものを信じているの?
ねえ、「指揮官」?
あなたは彼女のために、自分の身を差し出すことはできる?
……
指揮官、何を――チッ!!
とっさにリーは銃撃を放った。しかし、相手は怯むことなく――
こちらへ向かったかと思うと、一瞬で距離を詰めてきた
迅速な相手の動きにまともな反応さえも許されなかった。ルシアとまったく同じ箇所に刃が刺さり、ナイフの動きを抑制される
同じ痛みはどう?ルシアと同じ感覚……共有なんてできないわよね?
——!
……なぜなら、私たちの意識はずっと繋がっているから!
…………
相手が後ろに下がった
なるほど……
あなたがどんな答えを求めているのか……私にはわからない……!
でも、私は……いつでも指揮官を信じている……!
そう……もう、いいわ
つまり、あなたの悲哀は続く……
期待して待つわ。あなたが真実を知ったあとの選択を
真実……
この「指揮官」を通して、人類の真実と向き合いなさい。……きっとあなたは答えを変える
…………
話し終えると、謎の侵蝕体は我々に興味を失ったようだ
目の前で武器をしまって身を翻し、眩しい陽光へ向かって去っていく
意味ありげな眼差しを、姿を消す一瞬に残して