Story Reader / 本編シナリオ / 00 プロローグ / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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プロローグ01

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170体目の侵蝕体の信号が消えると同時に、あたりは束の間の静寂に包まれた――

侵蝕体の残骸の山に倒れ込んでいるのは傷だらけのルシア。乱れた呼吸を必死に調整しようと、太い息を喉奥から吐き出している

ルシア

指揮官……

周囲の状況は……どうなっていますか?

ルシア

…………そうですか

ルシアは表情なく舞い踊る辺りの火の光を見つめる

ルシア

指揮官……

今回の作戦で配備されたアンチパニシング血清……あといくつ残っていますか?

…………

本当は、さっき打ったもので最後だったが……

ルシア

……

……私に隠す必要はありません

指揮官が最初の血清を打った時間から計算すれば……

最後の血清が有効になって……42分ほど経過したかと

やはり……私の計算通りです

血清がなくなれば、人の身で地表を生き残れはしません

グレイレイヴンの他のメンバーはいまだ到着ならず……指揮官が撤退するまでの時間を私が稼ぐしかありませんね

ですが、痛覚信号の影響で身体が言うことを聞きません……

戦闘を続行するためには、痛覚信号を一時的に遮断する必要があります。指揮官……お願いします

ルシア

何をためらっているんです……?私の意識海が人間の意識モデルから……逸脱してしまうのが心配なんですか?

指揮官はいつも、そういうことばかり気にされて……

大丈夫です……私は指揮官を信じています。私と指揮官の意識リンクが繋がっている限り……私の理性を指揮官が繋ぎ止めてくれるはず……

独断ではありますが、指揮官の安全を確保することが最優先です。検討や反省はそれからでも遅くありません……どうかご許可を

システム

権限を確認しました。神経パラメーターを再設定しています……

意識海偏差係数、0.021上昇……

ルシア

ま、待ってください!!指揮官、周りの敵が――――

システム

知覚システム初期化を実行中……

構造体:ルシア。オフラインになりました

カいタい……コうチク……

……彼女の意識が再びオンラインになるまでの間、動けるのは自分だけだ

ならば、成すべきことはひとつ――

ジンルい……ハいジョ……!!

侵蝕体の体躯に数発の弾丸を叩き込む。しかし襲いくる勢いを弱めることができない

侵蝕体の手中の凶刃が目前へと迫る

隙を見て、刃を振り下ろす直前の侵蝕体の手首を掴む。そして拳に力を込めて打ち貫いた

弾丸でボロボロになっていた侵蝕体の上半身が、残骸と化して辺りに散らばる

身体を逸らし、すんでのところで攻撃を避けた

避けた勢いを利用して、侵蝕体が体勢を立て直す前に頭部へと回転蹴りを放つ。頭部パーツが根元から吹き飛び、残された肢体は地面に倒れ込んだ

なんとか眼前の脅威に対抗はできるが……窮地に変わりはない。他の侵蝕体が追い詰めるようにゆっくりと近づいてくる……

キィ――!

侵蝕体が体を揺らしながら襲撃に来た——

ルシア

近づくな……指揮官に……

キィ――!

侵蝕体

キィ……

システム

初期化完了。意識:ルシア、オンライン

ルシア

報告。構造体ルシア、戦闘に復帰――

指揮官……お疲れさまでした。あとは私に任せてください

侵蝕体

——!

痛覚がなくなったルシアは、束縛から解き放たれた狼のように戦場中を駆け回る

周囲の侵蝕体を次々と破壊していく様は、さながら粉砕機のようだ

ルシアは鬼神が如く刀を振るうが、無数の侵蝕体による包囲網が狭まりつつある。このままでは……

その時――

システム

信号受信中――

指揮官!ルシア!

リーフ

こちらの準備は完了しています!ただちに遮蔽物へと退避を!

システム

警告:極めて高密度のエネルギー源を検知――

指揮官、伏せてください!!