厚い雲が僅かな月光を覆い隠し、もとより異様さを孕んでいた街路は、更に深い闇へと沈んだ
それと同時に霧が忍び寄る。遠くの濃霧の奥から、重く確かな足音が微かに響いてきた
足音は遠くから近付き、次第にふたりの側へと迫ってくる
すらりとした影が闇から踏み出し、人間の前に立った
白い霧がまとわりつき、その人物の表情ははっきりと見えない
こんな濃い霧の中で、怖くないのか?
お前たちは……
だが人間が答える前に事態が急変した
濃霧に紛れ、怪影がいつの間にか人間のすぐ側まで忍び寄っていた。鋭い触手を伸ばし、背後から襲いかかろうとしている
[player name]、後ろ!
ギィ……
その時、振り向くまでもなく、怪影が凄まじい勢いで迫ってくる圧迫感を背中に感じた
同時に、目の前の人物が握るランスが鋭く跳ね上がり、人間の背後へ襲いかかる化け物を断ち切った
チッ!
人間は拘束から解かれるや否や、即座に身をひねって距離を取り、銃を構えて霧の中の化け物へ照準を合わせる
銃弾が放たれ、怪影の触手を貫く。千切れた触手が化け物の体から剥がれ落ち、宙を舞いながら人間の脇を掠めていった
ギギッ……ギィィ……
だが同時に濃霧の中から更に多くの怪影が現れ、耳障りな叫び声を上げながら、人間の理性を喰らおうと迫る
人間は引き金を引き続けた。撃ち砕かれたそれらは地に崩れ落ち、粘り気のある液体へと変わる
しかし街には明かりもなく、夜空の月光すら消え失せた闇の中で、視界の利かぬまま群れなす影と渡り合うのは極めて困難だった
すぐに弾倉が空になり、リロードの合間にも、更に多くの怪影が迫る音が耳元まで近付いてくる
間一髪でランスが横薙ぎに振るわれ、目前に迫ったそれを一瞬で追い払った
いい加減にしろっ!
ランスの攻勢に守られ、怪影の猛攻の中でひと息つく余裕が生まれた。その隙に新しい弾倉を装填し、再び銃を構える
深い霧の中から再び化け物が迫る気配を感じ取り、銃口を彼女の背後へと向けた
銃弾が放たれた瞬間、相手も息を合わせて身を翻し、手にしたランスでエリーナを狙っていた別の化け物を斬り伏せた
いつの間にか、3人の間には言葉なき連携が成立していた。互いの間合いとタイミングを読み合いながら、霧の怪影を次々と撃退していく
あまりにも自然で息の合った連携だった。この冷徹な人物と出会ったばかりとは思えず、直前の対峙すら忘れるほどだ
ついに霧の怪影たちは3人の前に崩れ落ち、触手と粘液の残骸となって地に横たわった。周囲に響いていた化け物の叫びも、ようやく静まる
その冷徹な「仲間」の目には、感嘆と賞賛が浮かんでいた
先ほどの「連携」で、自己紹介をせずとも互いの正体を確信できた
依頼を受けてくれたこと、感謝する。[player name]
私が依頼人であり、この街の保安官であるヴェロニカだ
よろしく頼む、[player name]。それと、その「助手」もな
それは、推理だけで結論の出る事件じゃない
お前にはまず遺体の検死をしてもらう。そして、犯人を見つけ出してほしい
