Story Reader / 叙事余録 / ER15 あたたかな余光 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ER15-17 同じ轍

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エネルギー貯蔵室

エゼット

そんな……どうしてこんなことに?

ここに撤退してから、誰も侵入していないはずなのに……

――みんな、誰に殺された!?

「バンッ!バンバンッ!!」

衝突音が聞こえた。鈍い響きからして、密閉された狭い空間の中からのようだ。何かに気付いたカムイが、急いで音がした方へと走り出す

それは片隅の、外側を密閉した観察ポッドからの音だった。カムイはすぐに観察ポッドの番号を確認し、横の制御画面でスキャン結果を確認した

ポッドの中では小型機械のようなものが激しく動き回っており、何度も壁に体当たりして外へ出ようとしていた

この形は……まさか!?

大丈夫だ、[player name]。俺に任せて

中のコイツ……気をつけないとあんたを怪我させるかも

そう言ってカムイは前に立ちはだかり、こちらこちらと安全な距離を確保したあと、急いで封鎖されていたポッドの扉を開けた

クッキー……クッキー……

活発に動く小型機械が観察ポッドの中から飛び出し、声を上げてピョンピョンと飛び跳ねながら、カムイに近付いた

コイツは……俺ら3人共用の通信機だ。特にダメージはないっぽいな……わざわざ守られていたんだ

きっとアジャールとカトレフの仕業だな……そうだろ?きっと俺に何かを伝えたかったんだ!

クッキー!カムイを発見!おかえり!

カムイのために再生!!音声メッセージの内容!!

命令を受けて、クッキーは「クルッ」と空中で小さく1回転した。これは最初にクッキーを改造した時、カムイがしつこく頼み込んでアジャールが追加させた機能だった

クッキーが保存した録音や映像を再生する際、まずは探知範囲を1周し、3人の中からランダムでひとりを選んで着地すると、再生を始めるのがお決まりだった

クッキー!……クッキー?アジャール、カトレフ?

クッキーは戸惑ったように、2周回った。まるでなぜここにひとりしかいないのかを考えているようだ

クッキー……カムイ!カムイ!

見慣れた姿を確認し、クッキーは嬉しそうにカムイの肩に着地した

今回の降下ポイント!カムイ!

クッキー、スタート!メッセージ再生!

送信者:アジャ█▄▅▁▄

――識別エラー!身分情報を再確認!

容貌▇▄█▅特徴照合!!照▇▄▃▄合……

容貌特徴▆▃▇照合結果:カ█▃▆▄▃▂トレフ!情報▇▄▆▃▄修正!

送信者:カトレフ!

カムイはじりじりしながらクッキーを見つめていた……一体何が起きた?彼らがまだ生きている可能性は?これからどうすればいい?

……カ▅█▄▁▅ムイ▁▁█▄▅▁

カ……カムイ

ノイズで声が少し歪み、カムイには最初の呼びかけが聞こえなかった。相手が何度もやり直し、収録音声が正常になってからやっと、相手の声を聞き分けることができた

……カムイ。クッキーを見つけたか。このメッセージ、聞こえるか

俺は……カ█▃▆▄▃▂トレフ

皆、酷い怪我を負った。アジャールが先に逝った。だから遺言は、俺が言う

当時の真実、もし必要なら、資料を空中庭園へ持ち帰って、報告。俺が話す、カムイは録音を持ち帰り、任務を終わらせろ

あの大戦後、俺ら3人は突破した。エゼットの全員が、基地に戻り、駐留した。バーリーコーン計画、続いた。俺とアジャール、転化に成功、カムイは……変化がなかった

転化は、パニシング濃度異常を引き起こし、大量の、侵蝕体を誘き寄せ、エゼットは囲まれた。俺らはカムイを空中庭園へ送り、ここに残って耐えようとした

でもマリスはずっと、俺らを監視していた。連絡を断ち、身を隠して防戦するしかなかった

カムイは戻ってこなかった。それはいい。あの時、カムイは重傷だった。恐らく、記憶を失くした

大▅█▄▁▅丈夫――戻ってきたなら、それでいい

マリスは、黄金の太陽を壊そうとした。俺らはエネルギーをここに残し、彼女の注意を逸らした。全員からエネルギーを、抽出した。残ったエネルギーは、カムイ、受け取れ

カムイなら、できるかも。俺らの代わりに生き延びれば、もしかしたら、またひとつ、太陽ができる

もう、走れない。カムイ、忘れるな、必ず……

俺らを█▄▆▃▁▆連れて、家に▇▁▅█▃▂▁▂▂帰▃▁ろ

家▇▂▄▁▅▆▄▁▂▂▅

ピー

最新メッセージの再生完了!!クッキーは█▄▇▃自動ローテーションモードを起動!!

ローテーション基準▇▆▂参照!!時間▅▆順!再生回数▄▃▅順!混乱▇▄▆……ランダム再生!!

カムイ!!これが最後の警告だからな。次にまた遅刻したら、ひとりで追加訓練を受けろ!

カムイ、アジャール気付いた、俺ら、怪我ないふり、嘘ついた。まだ彼は、来てない、早く、逃げよう

エラー!エラー!未再生メッセージ▆▃▇▄を検出!!ローテーション▆▃▇▅モード終了!再生開始!!

カ█▅▇▃▁▁ムイ、メッセージ、聞いたら、早く逃げて

エゼット▇▃█▁は黄金の▆▂▇█▄▃▆太陽を頼って、稼働、し続けた。エネルギー、壊された今、防御装█▆▇▄▅▁置、停止する

エネルギーは、パニシング▇▂█▆▁▂濃度、異常を引き起こす。危険

危▆█▄▇▃▂▁▅険だ。俺ら▇▄█▂▆構わず、早く▆▇▂█逃げ█▅▇▄▁!!

ギギギィ――!!!

クッキーがまだぼんやりしているカムイを攻撃しようとした。幸いそれにすぐ気付き、暴走した小型機械を吹き飛ばした

クッキーは弾き飛ばされても動きを止めない。不気味な赤い光を点滅させ、再び突進しようと力を溜めているようだった

カムイ!!逃げる!!ダメ!!

誰█▅█▃▁であろうと!!エゼットから離れてはダメ!!

――ここに残れ!!!

残れ!!クッキーは皆に!!残ってほしい!!

だから言っただろ。こいつはただの俺らの連絡用機械なんだ。通常の設定をすればよかったのに

わざわざ「性格模倣システム」なんかつけて、元気、情熱的、人懐っこいとか、わけのわからん設定までして

こいつ、今日はずっと俺の足にまとわりついてたんだぞ!本当にうるさかった

マジか!親しみやすくて、可愛いじゃん?

珍しくカトレフがわざわざ頼んできたんだ。断るはずがないだろ?

うん。これ欲しかった

――わかったわかった。別にダメだとは言ってない。でもせめてこいつが話す時の音量を下げるくらいはいいだろ?

防御システム▄█▂▆▂停止――異常!!侵█▃▆▁▁入!!

クッキーは機械の口を開き、カムイの手に噛みついた。その力は弱く、傷つくことはないが、がっちり噛みついて離れようとしない

――!?ちょっ、仕方ない!!こうなったらもう……

ごめんッ――!!

バンッ!!カムイは素早くクッキーをバラバラに粉砕した。クッキーは二度と反応しなくなった

システム音声

警告……警告……エゼットの核心部が損傷、予備エネルギーが漏出。全防御装置はまもなく停止します。ただちに離脱してください!!

大量の侵蝕体の侵入を検知。第1級警戒システムをまもなく起動します……システムエネルギーが不足、起動失敗……

システムはまもなく停止します……全員ただちに離脱してください……離脱してください……

周りのパニシング濃度が異常だ。クッキーはその影響を受けて侵蝕されたんだ

ここは危険だ、[player name]。すぐここを離れよう!!

エゼットの稼働を維持していた核心が破損し、残された内部用のエネルギーが露出した。今やソルエネルギアは飢えた野獣を刺激する、荒野に置かれた生肉に等しい

大量の侵蝕体が狂った蜂のように、エゼットの建物に押し寄せた。その中には数多くの異合生物もいる。それはエゼットが経験したどの大戦よりも恐ろしい光景だった

――救援要請を送った![player name]!そっちはどうだ?

今受け取った。最速で来てくれるが……まずは俺たちでここを突破するしかない!

エゼット内部の道はめちゃくちゃ複雑だ。空中庭園も詳細を把握していない。救援が到着しても、無闇に突入すれば状況を悪化させるだけだ

[player name]!危ない!!

カムイは素早く背後に回り、こちらこちらに奇襲を仕掛けた異合生物を薙ぎ払った。人体より機体で攻撃を受け止める方がマシだと判断したのだ

クソッ!!どの道もコイツらに塞がれてやがる!!さすがに突破は無理か……ここが最後の、まだ試してない出口ッ!

――待って![player name]、まだ別の道が残ってる

エゼットには秘密の脱出通路がある。だがその入口は反対側だ。そこに行くにはエゼット全体を横断しなければならないんだ

この戦闘は長引きそうだ。しかも侵蝕体の数はまだ増えている。それに……あの通路の状況がここよりマシとは限らない

でも、あの通路がまだ陥落していなければ、俺たちは必ず無事に脱出できる

さっき俺たちが突破しようとした入口……あそこの状況はここよりマシだったけど、それでも俺たち、苦戦して開けられなかっただろ

目の前の入口を強行突破しようとしたって、いい結果にはならない

だけど秘密通路のガードは確実にここよりも高い。恐らく安全だと思う

よし。じゃあ今すぐ出発だ!

通路の入口はもう目の前だ……!

目の前の敵さえ片付ければ……

……[player name]?様子がおかしいぞ!どうした!?

意識海の彼方、その人のマインドビーコンが暗くなり始めている

!?今すぐ全速力で、あんたを連れて突破する!!

――[player name]!!

カムイはその人の体を支えた。指揮官指揮官の状態は思ったより深刻だった

ダメだ、これ以上待てない……早く外に連れ出して、治療しないと……

ギィ――!!!

……おいっ!どけ――!!

壁の配管から異合生物が這い出してきた。カムイは刃を振り下ろして敵の体を切り裂くと、指揮官を背後に庇った

――!!!

音を聞きつけ、更に多くの敵がなだれ込んできた。この狭い空間では、たとえ歴戦をくぐり抜けてきたふたりでも、脱出は困難と思われた

追い打ちに次ぐ追い打ちという状況でも、カムイは倒れたりしないと考えていた。やっと見つけた活路を前に、誰が諦めたりするものか

この機体はまだ耐えられる。俺が背中を守るから、あんたは先に通路を。せめてひとりでも逃げ切れれば、俺たちは――

グォォオ!!!

弾丸がうなりをあげて飛び出した。横からカムイに襲いかかろうとした異合生物に精確に命中する

弾を再装填しながら、決然と言い切った

でも……ううッ!?

口を開きかけた瞬間、引き裂かれるような強烈な痛みが意識海に走った。カムイは立っていられず、そのまま倒れ込んだ

意識海……振とう……なんで……こんな時に!

カムイは歯を食いしばり、機体を震わせながら無理やり立ち上がったが、巨刃の光も呼応するように力なく明滅している

そうだ、エネルギー……ここには大量のエネルギーがある……これで意識海を修復すれば……

[player name]、先にリンクを切れ、俺に巻き込まれるな……一刻も早くここを脱出しないと!

グオオォッ!

更に数を増した敵の叫びに、言葉がかき消される

……!

どんな代償を払おうとも、ここから脱出さえできればカムイはどうでもよかった――彼は二度と、自身の弱さのせいで誰かを失いたくはなかった

カムイはいつもの手順通りエネルギーを胸に注入した。しかし今回、エネルギーも彼自身にも、何の変化も起こらない

黄金の液体はまるで砂を通り抜ける水のように何とも融合することなく、痕跡すら残さない

なぜ……何も起きない?

ゴホッ……もっと足せば、きっと――

愕然とするカムイに致命的な隙ができた。ずっと潜んでいた1体の異合生物が物陰から猛然と飛び出し、鋭い爪でカムイの無防備なコアを狙った

叫びを聞いて、カムイはハッと振り返った。その声はあの人あの人が差し伸べた手と同じく、カムイの視界をかすめて、瞬く間に消えていった

その人はためらうことなく、自身自身の全力を振り絞って敵の前に立ちはだかった

噴き出す鮮血がカムイを完全に覚醒させた。彼の瞳孔がギュッと縮んだ瞬間、四方八方から荒れ狂う波のように、異合生物が叫びながら襲いかかってきた

――[player name]ッッ!!

憤怒の叫びとともに刃を振り回し、カムイは目の前の敵を全て木端微塵に切り裂いた。そしてよろめきながらもその人の体を支えた

指揮官は荒く息を喘がせている。カムイは自分の体と心が酷く殴りつけられたように感じていた。背負っていたものの重さに負け、二度と立ち上がれないようさえ思えた

オーディンリー

……ごめんね、カムイ

カムイッ!!お前ら早く行け!!逃げるんだ!!

カムイ!子供たちを連れて早く逃げろ!!

……カムイ、お前言ってたよな、俺たちは家族だって……

永遠に……太陽になれないなら、お前らが俺たちの代わりに……夜明けを見てくれ

カ……ムイ……

どうして……

カムイ……

コウヤ

カムイ……

カムイ……僕は……

嫌だ……

掴むことができなかった記憶、救うことができなかった人々。それらが一斉に彼の前に浮かび上がっていた

哀れな哀れなカムイ少年――あなたはどうも毎回、一番大切な家族を救えないのね

俺は……誰ひとり救えないのか!?

嫌だ……[player name]ッッ!!

カムイは完全に理性を失った。彼は指揮官を支えながら、滅茶苦茶に武器を振り回した。これ以上敵があの人あの人に近付くのが許せなかった

意識海の激痛は今も続いていた。カムイはなんとか体を支え、必死に秘密通路の入口に向かって走った

倒れちゃダメだ……まだ俺は[player name]を守り、この人この人の前に立つ!!

エネルギーを吸収したはずなのに……?なんで力が出ない!!なんで何の反応もないんだ!?

早く……もう間に合わない!

まったく効かない黄金エネルギーも、虎視眈々と狙ってくる侵蝕体と異合生物も、彼の叫びを聞く者は誰もいない。カムイは倒れそうな体を強引に支えながら進むしかなかった

お前らなんかに……させるか!

誰で……あろうと……

俺は[player name]を連れて帰る……邪魔するな!!

――さっさとどけッ!!怪物ども!!

――急げ、急ぐんだ。[player name]の傷口の腐敗が進み、パニシングによる苦痛に耐えている様子を見て、カムイはこれ以上一刻も待てなかった

だが足にはまるで重い鎖が巻かれ、地面から伸びる誰かの手が彼の足首を掴み、放すまいとしているようだった。この逃げ道を彼はすでに何度も走った気がしていた

かつて彼は両親の生死を、生存の希望を、廃都市の曙光を、死に瀕した人を探し求めてこの道を歩いた

しかしただの1度も、その願いが叶うことはなかった

「ガンッ!!!」

ずっと走り続けていたカムイはつまずき、地面に倒れ込んだ。埃だらけの地面に勢いよくぶつかり、黄色い砂埃が舞い上がった

幸いにも彼はとっさに[player name]の体をしっかりと庇っていた。あの人あの人をこれ以上傷つけるわけにはいかない

黄砂……砂埃……

カムイが気にしたのは、体の汚れではない。あることに気付いたからだ――冷たく硬い鋼鉄の床の上ではなく、目の前に輝く太陽の光があるということに

――俺たち、逃げ出せた!?

焼けつく日差しも、この時ばかりは雨よりも潤って見え、カムイは清々しい気分だった。更に嬉しいことに空中庭園の輸送機が発する轟音が聞こえてくる

カムイは視界に現れた降下中の黒い影へ向かって走り出した。今回、幸いにも彼はついに希望を掴んだのだ

輸送機が無事に着陸し、中から飛び出してきた人々の姿がカムイを安心させた。彼らが着ているのは、見慣れた空中庭園の制服だ

やった……助かったんだ![player name]!!見てみろ!!

……[player name]?

腕に抱いた指揮官の反応はあまりにも微かで、ほぼ無反応に等しい

すでに生理機能を持つ心臓はないカムイの胸がドクンと跳ねた。その鼓動が腕の中の人と連動し、指揮官指揮官の傷の悪化とともに弱まっていく

やがてその鼓動は、完全に止まってしまうだろう

こんなはずじゃ……[player name]、そんなの、ダメだッ!

俺がゼッタイ、連れて帰るから。きっと空中庭園が助けてくれるから

彼はひとりでは何もできなかった。今までも毎回そうだったし、今回もまた同じだ

カムイは瀕死寸前の指揮官を抱えながら、空中庭園の輸送機に向かって走り出した

[player name]を助け……助けてくれ!!

誰でもいい、この人この人を救えるのはあんたたちだけだ。<俺ではこの人この人を救えない>

――早く!!早くこの人この人を助けてくれ!!

駆け寄った空中庭園の兵士が急いで確認し、腕の中の指揮官の状態に驚いた様子だった。彼らは慌ただしくカムイに合図し、一緒に輸送機の中へと駆け込んだ

同行の医療班がすぐに緊急医療装置を用意し、準備をしながらスターオブライフ本部に連絡している

すぐにそちらでの準備を!!受け入れレベルは最高だ!!急いで!!

最短ルートでスターオブライフへ戻る!