はッ、はッ、はッ、はッ!
はッ、はッ、はッ!
はッ、はッ!
…………
はあ~~~ッ!
…………
雪が降り積もる森の中。構造体の少女とクマ型のバイオニックが見つめ合っている
構造体は大きな岩の上にふんぞり返り、クマの方はおかしな物を見るような表情で……つまり、困惑しているようだ
は~~ッ!
おい!ストップ!ストーップ!
クマは大声で構造体の動きを制止する。構造体は一瞬驚いたようだが、すぐに喜色満面で岩から飛び降りた
わー、おしゃべりできるクマちゃんだー!やっと会えた!みんな何も言わず飛びついてくるんだもん、参っちゃったよ!
……まさか、俺が来るまでずっとここで「はッはッ」やってたのか?
うん。なんかわけわかんない状況だし、ナナミはボディランゲージで会話することにしたの
は~~ッ!
ナナミはおかしなポーズを取ると、威勢よく声を出した
なるほど、バイオニックとコミュニケーションをとろうとしていたのか……クマはようやく理解した
俺たちバイオニックは、ボディランゲージで会話したりしない……とりあえず奇声をあげるのはやめてくれると助かる
へへ、じゃあ別の方法を考えないとだね。というか、クマちゃん!おしゃべりできるなら教えてほしいな!ここはどこ?
クマちゃんじゃない、マーチンだ。マーチンと呼んでくれ
マーチン?……ちっとも可愛くない
そもそも可愛さを求めてませんので!
あのね、ナナミはあちこち走り回った挙げ句、うっかりここに来ちゃったの。ここは一体どこ?ナナミ、マップも持ってないんだ~
うっかりだと……?船でも持ってるのか?それとも水中を動けるのか?
まあいい。簡単にいうとここは北極航路連合のテリトリー。人間たちの一大拠点だな
よくわかんないけど、なんだか遠いところに来ちゃったみたいだね……これからどうしよっか?
目的もなくこんなところまで来たのか?
だって旅行だもん。マーちゃんは何してるの?
マーちゃん?俺か……俺は多分、航空機を攻撃する
多分?
マーチンは明らかにためらっていたが、観念したように話し出した
……対空武器で航空機を撃ち落とすんだ。これ以上もたもたしている時間はない
オーケー!わっかりました!
ナナミ、お手伝いするね!
はあ?どうしてそうなる?そもそも航空機には……
構造体と人間が乗ってる?大丈夫、マーちゃんの目標は飛行機だけでしょ?そしたら照準権限をナナミにちょうだい!
ナナミは再び岩によじ登り、思いっきり空を指差した
マーちゃん!人を傷つけないように飛行機だけ撃ち落とせばいいのだッ!