Story Reader / 外伝シナリオ / EX05 迷境ノ疵 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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EX05-8 マスターキー

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21号は扉の前に立ったまま動かなかった

……え?

……人間は子どもの頃、皆こんな感じ?

私……そんなの経験したことがない

理解できない

いらないと思ってた。でもいい気分だった

手も……足も……ここも……

21号は自分の胸に手を当て、それから「ちびっこ」を触った

なんか……温かい……

体が軽くて……浮いちゃいそう

まるで……まるで日光を浴びてるみたい……

幸せ?

どうして幸せと感じる?子どもの頃は、みんな幸せ?

そうなりたい。でも、そうなりたくない

コントロールできなくなる

……21号、戦わないといけない

何か言葉をかけてあげたいが、何も言えなかった。何を言おうが無意味だとも思った

21号の意識海で見た真っ白な世界……

その白さは、何もなかった過去の白さだった

その者の苦しみを知らないのに、軽々しく批評したり判断をするべきではないだろう

???

——

しばらく休憩するうち、あの狂気の痛みが再び襲ってきた。更に家の外からは慌ただしい叫び声が聞こえてきた

しっ!

21号は耳を傾けて集中し、時空を超えて聞こえる過去からの声に感覚を集中した

???

――ルシア!

やっと何を言ったかがはっきり聞こえた。それは女性の叫び声で、緊張し、かつ怖がっているようだ

???

ルシア!!来ちゃだめ。妹を連れて上に行くのよ!

突然、全てが停止した

お……お姉ちゃん……

――ついて来て!

無数の叫び声が響き、誰かの足音が聞こえ、そして体を押されていた。その力は幼くてもしっかりしている

あれは……ルシアだ

足はなんとか動き、風が顔をなでた。そして恐れ、死への恐怖、呆然といった感情が渦巻いた

目を開くとカラフルな廊下の突きあたりで、幼いルシアの小さな手が自分の手を握ってきている

ついて来て――