Story Reader / 外伝シナリオ / EX03 在りし日の残照 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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EX03-16 防衛線

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あたりは静まりかえっていた。自分たちの足音とはるか遠くに響く轟音のみが響いている

機械油と鉄錆の匂いが充満している。世界はまるで止まっているようだ

ここはなんだか広くなったね……

もともとあった大型機械が全て撤去されています

あれを見て

道路の壁にロボットのシルエットが描かれている。その上を真っ赤なペンキで丸く囲み、中に「X」という恐ろしい文字が描かれている

これって……私たちのこと?

類似性は14%と低いですが、太阿のことを描いている可能性は84%あります

もう、全然かっこよくないね。ちょっと付け加えよう!

あ、私も描く!

そのような作業時間はないと思われます……

HBG3に止められる前に、HNB1と女の子は地面に落ちていたスプレー缶を拾い上げた

…………

——

数分後、壁のぶざまな太阿もどきは帽子をかぶったふたりのカウボーイに描き替えられた。真ん中のXはハートとなり、右下にはツインテールを結んでいる子供がいる

女の子は、HNB1の肩の上に乗りながら、笑顔を見せていた

ズガアァァァーーーンッッ!!!

再び、市中の方から鈍い爆発音が聞こえてきた

…………

束の間のお遊びは、雷のような轟音に中止させられた

さぁ、急ぎましょう

そうだね、ごめん……

…………

あ、見える?前にあるあの車!

お父さんの車に似てる!

待ってください

さぁ、行こう!

車は、揺れながら城下街を横切り、九龍環城の太陽の下を疾走した。太陽の光は真っ白で敵意に満ちている

あの工業空き地を抜けると、タワービルがそびえている——巨人の指が空を指しているようだ

空は徐々に暗くなる……近づくにつれ、道路で交戦した痕跡がますます多くなり、戦争の色もますます濃くなっていく

遠い街には多くの火の光や煙の柱が立ち、上空に黒色の羽を突き刺したようだ。この黒い羽は時に飛びかう火によって真っ赤に染まり、時には弧光を反射して青く光る……

突然、あの黒い点と街道、そして市中全てが暗闇に包まれた。高層建築群は戦火の中で見えたり見えなくなったりしている。街全体が停電したようだ

更に進むと、人類の軍隊によって築かれた防衛線が現れて、彼らは立ち止まった

ここで戦闘があったようですね

このまま直接、その避難場所にいくの?

彼女に真実を教える必要はありません。感情的な動物に愚直に真実だけを突き付けるのは、賢明とは言えません。かつ、一番確実な交流方法でもありません

路上から得た情報を分析すると、この時点で交戦区にいた場合の死亡率は89%であり、彼女の父親の生存率は3%。そして、私はもう避難場所の正確な座標を知っています

じゃあ、この道を行くしかないか……

この車は棄てていきましょう、車内の音楽チョイスの趣味はよいほうでしたが。所有者はセンスのある人だったのでしょう

行方の知れない車の持ち主のことを思ったのか、HNB1はしばらく沈黙した

彼女を起こそうか。もう何時間も寝てる、疲れてたんだね

私が彼女を降ろします。あなたは車を止めてください

うん……?……着いたの?

ここから先の道は車で行けません。徒歩移動が必要です

???

ギィ——!

その時、皆はやっと気づいた……そう遠くない橋の先に、真っ赤な血を光らせている怪物がいることに

ギィィィ!!

100mかそこら先に、1体の鈍重な機械体が体をくねらせながら地面を這っている。煉獄から這い上がった怪物のように、くぐもった声を出している

HNB1はその怪物を見つめた。その側の崖っぷちで、暗闇の中に影のようなものが揺れ動いている。怪物の後ろで、火がまぶしいほどに燃えあがり、怪物とこちらの顔を照らす

あれは……太阿だ。正しくはかつては太阿だったもの

その輪郭は徐々にぼやけ、2つの影が現実で重なり合ったようだった。1体は太阿、もう1体は叫ぶ怪物。それはなおも叫んでいる。だが叫び声は、突然の殺戮によって途絶えた

こちらに!

HNB1はしばしのショックから我に返った

私たちはここを通り抜けないといけません

さっきのあれは……

大人たちはあれを「侵蝕体」と呼んでる

あ…あれが、人間を襲ってるの

あれが多くないうちに早くこの防衛線を抜けなくては。私が前を歩くから、あなたは彼女を連れてしっかりついてきて

あれに見つかったら、終わりだ……

……わかった