Story Reader / 外伝シナリオ / EX03 在りし日の残照 / Story
梨園跡-01 青衣の少保
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時は盛世の秋——
「天王鑑」の舞台下は観劇の紳士淑女で埋め尽くされ、満員御礼の大盛況――
それもそのはず、今宵の「天王鑑」の舞台には、日頃滅多にお目にかかれない珍しい演目がかかるのでございます！
……ええ、皆々様もご承知の通り、私どもは常設公演も定期公演も打たないのでございます。幸運にもふさわしい役者が現れた時にだけ、舞台の幕は上がるのです
——拍手喝采恐れ入ります。これはこれは、芝居をよくご存知の、目の肥えたお客様とお見受けしました！今宵の芝居が最後にかかった時、私はまだおしめを履いておりましたよ！
そうです、私どもはこの度、大変な幸運に恵まれたのでございます。皆様に素晴らしい役者をお目にかけましょう！舞台経験は浅かれど、その身のこなし！その拳法！一目ご覧になれば得心されることでしょう！
それでは、私はこれにて。開幕、開幕——————
幕が上がると同時に、銅鑼や太鼓が鳴り始める。観客は期待に胸躍らせながら、刀剣や斧が飛び交う戦場に没入していった
やああああーーーーーー
兵士は五色の軍門を通り抜け、帯が巻かれた白蝋槍を振り上げる。槍の先端と刀が打ち合う。武者は頬と頬が接しそうな距離で宙返りし、弁髪が空中で揺れた
陛下——このままでは鉄城が危のうございます——天が神兵神将をお遣わしにでもならない限り——
城門は——賊に向かって開け放たれているも——同然でございます――
臣下どもよ！誰ぞ——賊の討伐を志願する者はないか？
では、私めが！
突如音楽が止まり、武者、儒学者、兵士、皇帝の視線がひらりと舞台に飛び乗った人影に集まる――
いやしき市井の徒なれど、おのが武術をもって「青衣の少保」なるふたつ名で呼ばれております。どうか、討伐にお差し向けくださいませ！
庶民なれど、良き少年なり！
亡き友の遺志を抱き、数多の苦難を経て、賊を追ってまいりました。賊と決着をつけ、友の霊を弔いたく存じます！
私めのような若輩者が出向いたとなれば、賊は大いに油断するでしょう。必ずや賊の頭目の首を打ち取り、賊軍を四散させてご覧にいれまする！
少年よ、お主が勝利凱旋した暁には、名工を雇い、その勇ましい魂にこそふさわしい鎧をあつらえて進ぜよう！
その侠気に、手厚い褒賞をもって報いよう！
はっ！必ずや使命を果たして参ります！
