Story Reader / 外伝シナリオ / EX02 極夜再臨 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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EX02-9 コード

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設備を見る限りはなにかの保管施設みたいだ。ねえ、シーモン!

……ちょっと待ってくれ

うーん、ディアンナ。ここのシステムについて詳しいかな?

ほんの一部であればわからないこともない

私も手伝う!

シーモンは研究棟のサーバーの安全を確保すると、インブルリアに関連する資料の捜索を始める

技術的なことに関しては出番のないロゼッタは、部屋の中で考え込んでいるようだ

この場所で、一体どれほどの数の守林人が誕生したのか……

そうかもしれない……

同じように「罪人」と呼ばれていても、私はディアンナたちのような重い物を背負っているわけじゃない

私はただ成り行きで改造を受けて、それでずっと戦ってきた

戦っているうちに強くなったかもしれない。でも、自分の不幸を変えることはできなかった

あなたたちに出会う前、αに出会った時に、私はそれが私の終着点だと思った

でも私は生き延びて、再びαと対峙した。そして今、数回の支援戦闘で問題は解決するとばかり思っていたのに……

まさかあの、物語の中のインブルリアと戦うことになるなんて

……もちろん、自分が特別な存在だとかそういう風に思っているわけじゃない。ただ、こういう言い方に慣れてしまっただけ

私のことはもういい。今回のことにケリをつけられれば、守林人の問題もやっと解決する

インブルリアという悪夢を消滅させることで、過去を本当の過去として清算できるから

それは問題じゃない。大事なのは、私たちの過去を本当の過去にできるということ

実のところ、航路連合の多くの人間は「潮」は守林人の仕業だと思っている。守林人の存在意義を維持するための自作自演だと

多くの人間は、いつ何時私たちが次のインブルリアになるかもしれないと恐れている

この航路連合に次のインブルリアが現れることを常に恐れている

私たちの機体には、人間に抵抗しないようなコードが書き込まれているのに

守林人には、誰ひとりとして傷つけあうことを望むものはいない。「吹雪のあと、最後まで残るのは守林人の尊厳」

これは、守林人の間に伝わる古い言葉。とはいっても、私たちにそれほど長い歴史があるわけではないけれど

……なぜ彼らはあなたたちを亜人型構造体に改造したんだろうか?恐れているなら近くに置くような真似をすることもないだろうに

そうする必要があったというだけ。パニシングは恐ろしい災害だから

ごくまれではあったけど、航路連合も何度か侵蝕体の群れに襲撃されている

潮であれば、普通の機械でも対処できる。勝てそうになければ逃げればいいだけだ。潮はいずれ「退く」ものだからな

だが、侵蝕体はそうはいかない。まともに対処するにはやはり構造体でないと――

まるで綱渡りだな……機体が「暴走」する問題は?どうやって解決した?

聞いた話では、外観をできる限りに人型に近づけることで解決できたらしい……だが、技術的なことは上層部の人間にしかわからないだろうな

航路連合は……インブルリアという悪夢に囚われて以来、誰ひとり希望を持たなくなった

本当にインブルリアを消すことができるなら……守林人も、航路連合も、誰もが再び前に進めるようになると思う

指揮官、この期に及んでこういう言い方は卑怯かもしれないけど、この極地の悪夢を終わらせる手伝いをしてくれたら嬉しい

ありがとう

それもそうだった

皆、インブルリアの資料を見つけたぞ!

シーモンの捜索は長時間に渡ったが、とうとう成果を得られたらしい。飛び上がってこちらの会話を遮り、モニターの記録を懸命に指差している

こ、これは亜人型……って言えるのか?

モニター上に表示されているのは、一言で言うと「異形」だった。下半身と思しき部位は漆黒の特殊素材で覆われ、おどろおどろしいアームと分解機構が露出している

その部位の正面に、巨大な女性が連結されている。意識海を整合化するために残された人型構造だ

だが、機体中に不格好に備えられた構造は見る者を戦慄させずにはいられない

いくらなんでも酷すぎる。たとえ不具合で暴走してなくても……自分がこんな風にされてしまったのを見たら……

――おかしくなってしまうだろう

誰も口に出さなかったが、誰もが何が起きたかを理解した

「人型に近づける」という意味がわかったよ。インブルリアは……怪物だ

資料には、守林人の機体フレームもインブルリアの応用であると記録されていた

だが、相応の「劣化」を施されてはいるらしい

……僕らにとっては、次のページが最重要事項だ

シーモンはこういったことに免疫がないようで、顔を真っ青にし、吐き気を耐えるようにして次の項目へ進んだ

システム

秘匿項目618条――コード

そこにはインブルリアの身体に搭載された制御システムの原理が記され、そして最後に「コード」についての注記がある

旧バイオニックシリーズ改——キカイイッカク、コードはキカイイッカクの鳴き声……

あ……

コードは……ドレークの鳴き声?

皆驚いて声も出せない。事態を把握できないシーモンだけが誰かの説明を待っている

バイオニック

ガーーァーー!!!

その一瞬の静寂は、バイオニックの咆哮によって切り裂かれた。氷層にも亀裂が入ったようで、わずかな振動も伝わってくる

観測可能な範囲内で大量のバイオニックが上陸している……方向から見て、目標は人間が集っている拠点のようだ

今度は拠点……指揮官、すぐに戻らないと!

ええ、一刻も早く居住区の防衛に戻りましょう!