Story Reader / 外伝シナリオ / EX01 グランブルー / Story
やはり実感がわかない……
あれだけのことが起きたのだ。事態は一応落ち着いたものの、まだ地に足がついていない感じがする
あれから数日が経った。空中庭園は支援部隊と工兵部隊を「晨星スタジオリゾート」付近まで派遣したが……
ウォーターパークはおろか、周辺300km範囲にすら、昇格者の痕跡はなかった
「彼らは目的を達成したのだろう」と、ハセン議長は言っていたが……
ショーメイの死、そして「晨星スタジオリゾート」で起きた事件が一体どんな事態に繋がるのか――その答えは、時がすぎるのを待たなければわからない
もっとも、その手の憂事は全て自分が引き受けるから、次の命令があるまでゆっくり休めというのが議長の言葉だ
そう言われてもな………
ルシアとリーは、人間では到底持ち上げられもしないだろう形鋼を担いで運んでいる。工兵部隊を手伝っているのだろう
アイラとカレニーナは何か言い争っているようだ……
ロランを逃してしまった、カムはずっと黙ったままだ。ここを去る素振りは見せないが、留まるよう頼むのも筋が違う気がする
他の皆は、遊びに行ったのだろうか
手伝えることもなさそうだし
ん？観覧車に誰かいる……？
…………？
あら、いては駄目なのかしら？まさかウォーターパークはあなたの私有地だった？
何よ。言いたいことははっきりおっしゃいな？
…………
……礼を言うことなんかなくてよ。たまたまアドレナリンが残っていただけですもの
……それにね、私が救命措置を施した人間が生き残ることなんて、ほとんどなかったの
すると、ヴィラはまるで挑発を受けたかのように眉をひそめた
…………
………………本当にあなた、命知らずね
せっかく一命を取り留めたっていうのに、そんなに死神に会いたいのかしら？
じゃあ、なぜ私に声をかけたの？
まさか、ただ礼を言うためだとでも？
そのまさかですよ
ですから、ヴィラ。あなたはただ「どういたしまして」と答えればいいんです
見るからに冷たそうな食べ物を持ったリーが、指揮官とヴィラの間に割り込んだ
どうぞ。工兵部隊が修理したあの自動販売機から、出てきたんです
「晨星スタジオリゾート名物元祖かき氷」、だそうです
はぁ？何よ、そのトンチキな格好は
あなた、わざわざこれを運んで来たの？ありえない
あの恐ろしいリーが、ここまで手懐けられるなんて
あなたのことは警戒してますよ
フンッ、この指揮官をケルベロスへ転任させるよう申請したら、一体どうなるのかしら？
そんなことはありえません
ふん、どうかしらね
展開についていけないが、ヴィラはお構いなしに話し続ける
それで？黒野の坊やは、本当は何をしに来たの？
指揮官のおもりをしに来たのなら、さっさと連れて行きなさいよ
……
しばらく沈黙が続いたあと、リーはかき氷をヴィラに押しつけた
指揮官と同じように、僕も礼儀として礼を言いにきたんです
何の目的でここに来たのかは知りませんが、指揮官を救ったことは事実だ
…………
ヴィラにとっては想定外の展開だったようで、少し驚いている
ただ味がついているだけで何ひとつ有用な成分を含まないものを、構造体に渡してどうしろっていうのよ
人間の食べ物なんだから、[player name]に差し上げたら？
今の指揮官に食べさせたら、僕はリーフに世界の果てまで追われて蜂の巣にされますよ
あなたが死ぬのは勝手ですが、僕はもう少し生きていたいんです
ヴィラは一瞬だけ驚いた顔をし、またすぐに挑発的な笑みを浮かべた
そう。じゃあ、あなたの感謝とやら、受け取っておくわ
……
……ありがとうございます
本当に変わったのね、リー
……用が済んだなら行きなさいよ。私は静けさを楽しんでいるの。邪魔しないで頂戴
あなたらしくない嘘ですね。静けさを楽しむような柄ではないでしょう？
私も変わったのよ
去り際の自分たちに、再度ヴィラが声をかけてきた
ニコラ司令官いわく、ケルベロスの他の隊員を別の任務にやるから、私は当面フリーだそうよ
ケルベロスに指揮官が着任する前に私のような疫病神をどうすべきか、上も頭を悩ませてるんじゃないかしら？
次はどの小隊と遊んでやるか、よくよく考えておくことにするわ
……！
…………真剣に考えるわ
