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All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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トロの書-9

皆が去ったバーチャル空間にアイラだけが依然残っている

…………

頭上の空を見上げながら、アイラは口を開いた

単なるナレーションでないことは、わかっているわよ

ナレーション

……聞いている、続けて

ストーリーを進めるうちに、話し方がだんだん人間みたいに変わった。むしろあなたは私たちとの感情的な交流を抑えようとしていた

リーフが「地獄の悪魔たち」で、自分の昔の家に似ていると言った時、あなたは何か言いかけたでしょう?

ナレーション

……あの女の子の過去は、私と同じように苦しかったんだなと思った

確かにあなたの幼少時代はリーフと似ている。だからあなたは家から逃げ、当時の世界政府芸術協会の支援を受けて監督になったんでしょ

あなたはナレーションなんかじゃない。ジョージ·D·トロ本人ね

ナレーション

ジョージ·D·トロは「究極脱出2」の時に病死した。彼であるはずがない

あの頃に科学理事会の意識チップ技術は「ちょうど」臨床段階になったはずよ

確かにシークレット領域にはアクセスログがない。でも煉獄キャンプが終わったあとに、署名のない未知のアクセスがひとつ残っていた

自分の意識をこのメモリーに書き込んだんでしょ?

ナレーション

いい推理だ。だがなぜ私がそれをやる必要が?

煉獄キャンプが中止されたことが、悔しかったからよ

初めて全ての試練にパスして、そしてあなたの事業を継承する誰かを、自分の目で見たかったんでしょう?

ナレーション

……だが今の私は継承できるものなど持ちあわせない

君たちがこのメモリーにアクセスした時、私も君たちを通じてデータを調べた

……あの後に起きたことを全部知ったんだ

黄金時代が終わり、人々は世界の片隅で必死に生きている。「絢爛たる人類社会」なんてもうない、だろう?乱世に役者はいらない。映画も同じだ

でも私はこんな世界でも何かを残し続けたいと思っている

精神的支柱がなければ、人類社会は無価値になってしまう

あなただって自分をこんなメモリーに閉じ込めた理由は、いずれ誰かがあなたが作ったトラップを乗り越え、正体を見抜くのを待っていたからじゃないの?

アーティストって貪欲よね。死ぬまで世界の全てを求め続ける

あなたの作品を保存して、後世の芸術家に見せたい。それは私の務めでもあるの

ナレーション

好きにすればいいさ。君が勝ったんだ。私はただの意識にすぎない。だろう?

バトンは君たちのような後継者に託したよ

お断りよ!

アイラはきっぱりと言った

試練ではあなたは自分の映画じゃなく、自分が好きな監督の作品を使った。それはあなたがまだ自分の作品に満足していないからよ

科学理事会のオタクどもがあなたの意識をメモリーから取り出したら、あなたに空中庭園の最新意識技術を見せてあげるわ

あなたが再びカメラを手に入れたら、「バトンは後継者に託した」なんて戯れ言を言えるかしらね?

それだけ話すとアイラはバーチャル空間を後にした

ナレーション

…………期待しようじゃないか