やがて明るくなると黄金時代に建てられたと思われるアパートの中にいるようだった。扉をノックする音が聞こえる
トリックオアトリート!
イヴァンってだれ!イヴァンじゃないよ!
いいよ、許してあげる。僕はトムっていうんだ!
僕はトム!
トリックオアトリート!
その子どもは当然と言わんばかりにその言葉を繰り返している
キャンディーをあげないと、言うのをやめないだろう
うん!
黒パスってなに?買ってくれるなら現金をちょうだいよ!
事態はやや複雑化した……今は子どもを追い返すためにもキャンディーを持ってくるほかない
あなたは部屋の中を探したが、見つからなかった
またノックの音がした。イヴァ……トムが待ちきれずにいるようだ
——あなたは部屋の隅々まで探したが、何も見つからなかった
扉を開く前に、突然後ろから声が聞こえた
「扉を開けるな」
時すでに遅し、扉は開いてしまった
外にいたのは扉を塞ぐほどの大きな影だった
…………
黒い影は聞き取れない言葉を発しながらあなたに向かってきた。あなたは無意識に後ろへと身を引いた
——その黒い影はあなたの後ろを追って部屋に入ってきた。もう逃げられない
まるで効いていないようだ。もうどうしようもない
指揮官、やっと見つけ……おわ、かっこいいコスプレじゃん!
もう、キャンディーが欲しいだけなのに、めんどくさい!
黒い影の頭部が外れ、中からイヴァ……トムが現れた
その黒い影は空気が抜けたようにしぼみ、トムが姿を現した
キャンディーは……?
——話し合いの結果、トムを近くの雑貨屋に連れていきキャンディーを買ってあげるついでに、このあたりを調べた
——幸い、リーが「旧通貨のコレクション」を持っていた
ほら、リコリスとツイスターだ
ありがとう!
おい、そっちの。そう、青服の君!
?
金は大切にしろよ。新発行の紙幣、ボロボロじゃないか
ええと……わかりました
ま、まだ使えるけどな。でないとトムにキャンディーをやれない
おい、トム坊!
なに?
そろそろ外出禁止時刻だろう?キャンディーを食べたらさっさと帰れ。母さんが心配するぞ!
次にまたこれくらいの時間にお前を見たら、保安官の父さんにチクっちまうぞ!
その声にシュテッセン似の店主はあなたたちを見た。その目は疑いに満ちている
君らは……地元のもんじゃないな?どこから来た?
私たちは、あの、隣町から来た大学生なの、こっちでハロウィンを祝おうと思って……えへ……
そいつは若いね……まあいいや。この街は22時から翌日の朝6時まで外出禁止なんだ。その時間帯は家から出ちゃだめだ
さきほど街を通りましたが、治安は良さそうに見えましたが……
年上の言葉は聞くもんだよ。去年も大学生たちがやって来て……
その瞬間、店長ははっと気づいて話すのをやめた
去年の大学生、どうなったんですか?
……いや、なんでもない。とにかく、外出禁止の時間帯は家から出るな。命は大切にしろ。わかったな?
……あの……
よくわかったわ。もう帰りましょう!
トムと別れたあなたたちは雑貨屋を後にした
近くの山の中で散り散りになってしまいました。身に着けていたGPSでやっと集合できたんです
指揮官がいなかったから、道沿いにここまで探しに来たのよ
本題に戻りましょう……
この街は妙です
私もそう思う。外出禁止時刻までに周辺を調べてみる?
外出禁止?こんなさびれた場所だし、山に隠れたらバレないっしょ!