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All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ノアン 奏でる恋音

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手に持ったチケットに書かれた大きな「?」を見て、ふたりで黙り込んだ

これは……どういう意味だろう?

おめでとうございます!シークレットイベントが当たりました!

「?」は「ランダムな賞品」を意味します。このイベントの醍醐味ですね

イベントのルールを詳しく説明してもらえるかな?

「幸せスクラッチチャレンジ」では、スクラッチで獲得した賞品を使って今日のデートを楽しみ、幸せな瞬間の証拠を持ってきてくれればサプライズをゲットできます

指揮官が欲しいなら試してみよう

参加されるなら、こちらでデートに使う賞品を引いてください

笑顔の店員から、スクラッチカードを2枚受け取った

すごくツイてますね!最高グレードの賞品ですよ!

僕のは……

ノアンが持っているスクラッチカードには何の文字も書かれておらず、ただ泣き顔のスタンプだけが描かれていた

ああ……お連れ様はあまりツイてないようですね

これは減点チケットで、同行者が抽選した賞品のグレードを下げてしまうんです

つまり……?

ふたりで2本の線香花火を持って、店を出た

ごめん、指揮官……僕のせいで……

最高の賞品からの転落があまりにも気の毒だったのか、店員はおまけで風船をふたつプレゼントしてくれた

「デートの幸せな瞬間の証拠」だけど、何かアイデアはある?

そうしよう

賑わう人混みの中をふたりで並んで歩いた。皆これから始まる花火大会に行こうとしているようだ

ノアンは反対方向に歩く人々を眺め、物思いに耽っているようだった

なんでもないよ。ただ……

本来なら僕たちも行けるはずだったと思うと、ちょっと残念な気持ちになるね

笑顔に溢れる人々が目の前を通りすぎていく。すると突然、ノアンは何かに興味を引かれたようだ

指揮官、ちょっと取りに行くものがあるから、この先の池で待ってくれる?

しばらくすると、ノアンは池にやってきた。彼の手にあった風船は消え、代わりに見覚えのないものがふたつ握られていた

うん。子供と僕の風船を交換して、少しの間だけカメラを貸してもらったんだ。で、こっちはシャボン玉マシン。これは予想外の収穫だったけど

どうしてカメラを貸してほしいのか訊かれたから答えたら……これも一緒に貸してあげる、って

その子がカメラで友達の写真を撮っているのを見たから、僕も大切な人の喜ぶ瞬間を記録したいって言っただけ

そしたら、その子がこのシャボン玉マシンは友達が笑顔になる「秘密兵器」だから、これも持っていった方がいいって

指揮官が風船を持って、僕がカメラとシャボン玉マシンを使う。そしたら「幸せな瞬間」を記録できるよね

僕の風船はもうないし、それに……今の状況を作ったのは僕だし。僕が参加するかどうかは重要じゃないよ

指揮官が喜んでくれることが、僕の幸せの原動力なんだ

ノアンを引っ張り、手を重ねて、一緒に風船の紐を持った

……これで解決、ってことだね?

ノアンは小さく笑いながらこちらを見た。断る様子はなかった

じゃあ……君の望み通り、僕たちの「幸せ」を記録しよう

ノアンはカメラスタンドを広げ、自動撮影モードをオンにした。カラフルなシャボン玉が夜の灯りに照らされて輝き、線香花火は空に咲く小さな花火のようだった

3、2、1――

カシャッ――フラッシュが光ったあと、カメラは撮影したばかりの写真をゆっくりと印刷した

指揮官、この写真どうかな?

よかった。じゃあ、サプライズをもらいにいこう

おめでとうございます、挑戦クリアです!では「サプライズ」をお渡ししますね

ジャジャーン!本来の賞品です!

「失ったと思ったのに戻ってきた」花火大会のVIPチケットを見て、ふたりで困ったように視線を交わし、頭を振った

この店は「商売の駆け引き」をよくわかってるね

そうだね

通りを歩く人もますます増え、明らかに皆の気分が高揚し始めている――花火大会がもうすぐ始まる

指揮官、手伝ってくれる?

一緒に見届けよう。もうひとつの「幸せな瞬間」を