恋詩チケットを抽選機に入れると、店員が「カランカラン」とベルを鳴らした
パンパカパーン!おめでとうございます!おふたりの「ドキドキチャレンジ」は、屋根越えレースです!
今回の挑戦の中で一番スリリングな内容です。きっと一生忘れられない思い出になりますよ!
マジ?指揮官、俺たち今日はツイてるみたいだな!
挑戦に参加するだけで、こんな面白そうな体験が無料でできるなんて思わなかったな。早く行こうぜ!
カムイはタイトルからしてスリル満点のレースに大満足のようで、会場へ向かう気満々だ
ご安心ください、安全対策はばっちりです!レース中に危険が及ぶことは決してありませんので、ご心配なく。絶対安全ですから!
構造体のお兄さんも、<M>指揮官のお兄さん</M><W>指揮官のお姉さん</W>も、お楽しみいただけますよ。どうぞレース会場へお進みください
気のせいだろうか?店員が何かを隠しているような気がした
興奮したカムイに連れられて、賑やかなレース会場へやってきた
建物の屋根に立った瞬間、なぜ店員がレースは安全だと力説し、自分たちに参加するよう仕向けたのかわかった
チケットを買うだけで、伝説のグレイレイヴン指揮官とストライクホークの精鋭の屋根越えレースが見られるなんて!
あの伝説の指揮官を見るの、初めてなんだよな!う~~~ワクワクする!
レース会場をぐるりと取り囲んでいる観覧エリアは、噂を聞きつけた機械体たちでぎっしりと埋め尽くされていた
わざと俺たちにあの「一番スリリングな内容」を当選させたってことか
こちらの指摘でカムイもようやく気付き、冷静さを取り戻したようだ
まぁちょうどいいよ。こんなに完璧なステージが用意されてるんだから
[player name]、一緒にここの全員を驚かせてやろう。最高のレースにしようぜ!
簡単な準備を終え、いよいよレースが始まろうとしている
このレースは単なる競走ではなかった。いくつもの屋根を飛び越えるだけでなく、最後までふたりの手を結んでおくのがルールで、ふたりの息の合い具合が試される
スタッフがこちらの左手とカムイの右手を一緒に結び、ふたり並んでスタートラインに立った
レースが始まったら俺のことは気にしないで、ただ前を向いて走って。俺が合わせるから
もし落ちそうになったら、俺がキャッチするから安心して
おう!一緒に優勝しよう、指揮官!
確かに、指揮官の実力なら全員がド肝を抜くはずだ!
各選手、位置について、よーい――
ピ――!ホイッスルの合図とともに、各コンビがスタートラインから一斉に飛び出した
ライバルの中には、指揮官と構造体のコンビも何組かいた。常識的に考えれば絶対に簡単ではない屋根レースだが、どのコンビも軽やかに走っている
1、2組くらいは屋根を飛び越えられずに脱落するかと思っていたが、振り返るとなんと全員がついてきていて、脱落したコンビはいなかった
ゴールはもう目の前だが、優勝を確実にするには「加速」が必要だ……
よしきた!
次の瞬間――こちらの意図を察したカムイは自分を抱え上げ、屋根の防護ネットに片足を乗せ、建物の外に飛び降りた
な、なんと![player name]とカムイのコンビは階段を使わず、屋根から直接飛び降りる作戦です!
ふたりの手はしっかりと結ばれています!協力体制は崩れていないので、ルール違反ではありません!
しっかり掴まってて、[player name]!風の音がちょっとうるさいかも!
じゃあ、いくぞ――
こちらの安全を確認したカムイは建物の外壁を力強く蹴り、地面に向かって加速した
激しい風の音が耳元を駆け抜けていく。しかし、カムイの腕の中で危険は微塵も感じず、ただ浮遊感と興奮だけが胸に湧き上がってきた
こんな最高の瞬間を、指揮官と一緒にいられて嬉しい
着地する数秒前、まるでゴールライン前で告白するかのように、彼はこちらの耳元で早口に囁いた
やっぱり俺は、優勝なんかより……こうやって指揮官と一緒にいるこの瞬間が一番好きだな!