Story Reader / イベントシナリオ / 異構戦線·窮地の先鋒 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.

静破の初響Ⅰ

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砂が風で吹き上げられ、顔に当たって少し痛い

広々とした大地で、視界に映るのは砂と石ばかりだ

グレイレイヴンの皆と廃墟と化した地下実験基地を調査していたはずなのに、なぜこんなところに……

必死に記憶をたどった。おぼろげな映像の中で比較的鮮明に浮かび上がったのは――

やっと少しだけ開いた金属製の扉……

廃都市 地下建造物入口

少し前

廃都市 地下建造物入口 少し前

これが今回の任務目標ですね……

巨大な分厚い金属製の扉は僅かに開いたところで奇妙な音を立て、動かなくなった。うんともすんとも言わなくなり、どれだけ力を込めてもびくともしない

幸いなことに、なんとか人が通れるほどの隙間が開いている。ルシアは体を横にして中に入り、反対側が安全であることを確認してから、こちらに手を伸ばした

ルシアの手を掴み、彼女に引っ張られるようにして隙間を抜け、扉の内側に入った

過去に残された実験基地のようですね。ここを調査して、その具体的な用途を明らかにせよとのことです

報告によると、基地内にパニシングは存在しないそうですが……リーフ、実際はどうですか?

ルシアは少し声を大きくして、扉の向こう側に呼びかけた

初期調査を行いましたが、ここに赤潮、異合生物、侵蝕体の痕跡はありません。報告通り、パニシング濃度はゼロです

すぐに返答があった。それに続いて「リーさん、先に行ってください。フロート銃の追跡モードを調整してから行きます」「わかりました」という会話が聞こえてきた

パニシングがないとしても、油断は禁物です

リーは隙間を通り、ルシアに代わって自分の隣で守備についた。ルシアは光紋刀の柄をしっかり握り、慎重に前に進んだ

出発前に、この地下実験基地に関する情報を集めました

研究プロジェクトの具体的な情報は見つかりませんでしたが、得られた内容から推測するに、ここは初期の意識海技術に関係している可能性が高いですね

このような実験基地の装置が故障すると、予想外のトラブルを引き起こす可能性があります

その後……どうしたのだろう?

わからない。覚えているのはここまでで、続きがない……

リーフは来たのだろうか……合流後に何か起きたのだろうか……皆は今どこにいるのだろう……

次から次へと疑問が浮かんだが、記憶の中から答えを見つけることはできなかった

深呼吸をして、混乱した思考を整理する。現在の状況を踏まえて、次にすべきことは――

指揮官!

遠くから聞こえてくる声に思考が遮られた――リーの声だ!

声がした方を見ると、こちらに向かって黄砂の中を走ってくる見慣れた姿があった

やっと見つけた……指揮官、ご無事ですか?

……

「見慣れた」構造体は心配そうな顔でこちらを見ている。しかし、相手を安心させる「大丈夫」というひと言が口に出せない

どうしました?まさか怪我でも?

彼は素早くこちらの体をチェックし、外傷がないことを確認した。表情に大きな変化はなかったが、彼がほっとしたのが伝わってきた

しかし、自分が相変わらず意味深な視線で彼を見つめていることに気がつくと、リーの瞳に不安の影がよぎった

まさか、脳をやられたんですか?

僕が見る限り、意識ははっきりしているようですね

そうですね。僕が見る限り、意識ははっきりしているようですから

……どうされたんですか、指揮官?

……本当に、一体どういうことなんだろう?

異火?

リーに状況を説明すると、彼は下を向いて自分の機体を確認した

視覚モジュールで見ても、体感システムで確認しても、僕が使用している機体は「超刻」です

リーは黙って頷いた。周囲の黄砂を見渡し、自分の機体を見下ろしたあと、何かを思いついたように考え込んだ

指揮官、さっき僕が言ったことを覚えていますか?この実験基地の研究プロジェクトは、初期の意識海技術に関連している可能性があると

これは僕の推測ですが……

リーは少し沈黙したあと、分析を続けた

意識海技術は多くの要素を含みますが、僕たちが体験している「今」は、外部からの干渉によって感覚や判断が現実とずれている可能性が高いのではないでしょうか

そう理解してもいいですね

結果から見ると、この干渉は僕たちに共有の幻覚を生み出すだけでなく、それぞれ異なる幻覚も作り出すようです。その原理は不明ですが……

干渉の発生源を見つけて遮断すれば、幻覚から抜け出せるはずです

残念ながら、僕もどのように干渉を受けたのか覚えていませんが……

リーと再会してから、何度も端末を使ってルシアとリーフに連絡を試みたが、まったく応答がない

更に位置確認機能を使ってふたりの居場所を特定しようとしたが、何の反応もない

もしかしたら干渉は僕たちの認知だけでなく、信号の伝達も妨害しているのかもしれません

まずは進みましょう。進みながらデータを集めて端末を改造し、干渉を突破して信号を受信できるようにしてみます

基地内にパニシングはありませんが、認知干渉の状態では侵蝕体や異合生物の映像が現れる可能性があります

結果が予測できない以上、それらと接触しない方がいいでしょう