地平線の果てに異合の森が広がっていた。ふたりが出口を探していると、荒涼とした野原にキャンプを見つけた
焚き火の横には薪が散らばっていて、テントの外にはさまざまな物資が無造作に積まれている。誰かの仮住まいであるらしい
ヤッホー、誰かいるー?
ナナミの呼びかけを聞いて、遠いところで小さな姿が恐る恐る顔を覗かせた
……?
わぁっ!こんにちは――
……
ナナミの挨拶が終わる前に、小さな姿はさっと身を引っ込めた
あっ、ちょっと待って――ナナミ、訊きたいことがあるの!
ナナミは慌てて呼びかけだが、小さなスカベンジャーは返事もせずに急いで逃げていった
もし……
突然、テントの後ろからカサカサという音がした。鋭い目つきの老人が銃を持ってこちらに向かってくる
お主らふたりは、この辺りを警備する部隊の者か?
老人はこちらの返事を聞いて、自分とナナミをまじまじと見て、表情を緩めた
よかろう、知りたいことがあれば訊くがいい
うちの連中は皆人見知りでね。お主らもさっさと行った方がいいぞ
スカベンジャーと簡単に情報交換したあと、ふたりは撤退の準備を始めた
この世界では、空中庭園はもうなくなっちゃったんだ……
ナナミは足を止め、遠くに広がる異合の森を見つめた。不気味な暗い紫色の光が、目に見えてわかるほどのスピードで膨張している
そうみたいだね……人間の生活する場所が次々と異合の森に飲み込まれたら地上に住み処は作れない。ひたすら放浪し続けるしか……
ナナミ、こんな世界はイヤだ。早くここを出よう、指揮官!