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All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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目覚め

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お馴染みの目眩が襲ってきた

夢から覚めるようなこの感覚――もう数え切れないほど経験してきた

起きたの?

冷たい手が、ぺちぺちと顔を叩く

ねぇ、聞いてるの?

そうだ、確かケルベロスと一緒にいたんだ――

本当なら保全エリアからそのままコンステリアへ向かう予定だったが、ケルベロスは別任務があるという。ヴィラ曰く、コンステリア周辺を調査する必要があるらしい

それ以上のことは詳しく言えないようなので、あえて訊かなかった

21号がしたい

は?次は俺だろ?

21号が今、順番を変更した

そんなに必死になってどうしたの?何か企んでるんじゃないでしょうね?

目の前の3人と何度か行動をともにしたからわかる――21号を運転席に座らせたらどうなるか

たとえ経験がなくとも、彼らとの会話から推測できる。「ケルベロス」と「運転」という組み合わせは、決していい結果を生まない

ふぅん……まあいいわ。ふたりとも、首席殿は運転席を譲る気はないそうよ。諦めなさい

じゃあ、「運転順番リスト」を更新する。指揮官、21号、隊長、ノクティスの順

なんでもっと後になってんだよ!

ノクティスの運転は危ない、いつも何か起こる

お前にだけは言われたくねぇっつの

理論上、道中に問題はない。車のナビゲーションによると天気も問題ないようだ

そんな好条件の中、出発前に乗り物の運命を彼らに委ねるわけにはいかない

さぁ、出発するわよ

21号とノクティスの口論が頭の中を巡る。自分が今の状況にある理由は、きっとひとつしかない

その感触に気付くと、頭をフル回転させて思考を整理した

ノクティス

お、目ェ開いたぞ

ヴィラ

あら残念、引っぱたいてあげようと思ったのに

21号

これは「事故現場」

21号は淡々と言った。彼女の視線はずっとどこか遠くに向けられている

目眩は徐々に治まってきたが、体をコントロールできるようになるまでには、まだ時間がかかりそうだ。こんなことは、もう日常茶飯事だが……

ヴィラ

はい、恒例の検査よ。これはいくつ?

ヴィラは指で「1」を作った

ヴィラにバシッと強く叩かれた

ヴィラ

もう一度よく見なさい

口を開けて

ヴィラにバシッと強く叩かれた

ヴィラ

真面目にやりなさい

拳を握って

ヴィラ

自分の名前は言える?

ヴィラ

大丈夫そうね

そう言ってヴィラはこちらの体を引き起こしたあと、体についた土を払い落としてくれた

クラッシュした

21号が指差した先には古いタイプの乗り物があった。大きさから見るに、あのオフロード車と正面衝突していたら、ひとたまりもなかっただろう

ゆっくりと現場を見ると、ふたつの車体と泥にはまった複数の機械体の姿があった

つまり、運転していたのは人間でも構造体でもない。とはいえ、こんな道を走る車が他にもいるとは予想できるはずもなかった

タイヤの跡を目で追い、ようやく事故の原因を思い出した

この車を避けようとして横滑りし、木に衝突したのだった

そう。さっき21号と1万黒パスを賭けて、指揮官が負けた

負けて頭が真っ白になって、衝突した。でも、負けたことからは逃げられない

借用書を書くべき。そうすれば電波が戻った時、すぐに振り込める

分け前はあるよな?

あるわけない

端末で外部と連絡を取ろうとしたのを見て、ヴィラが近寄ってきた

電波はないわよ。でも、21号が地図をダウンロードしていたから場所は把握できたわ

あ?こいつらから見つけた

ノクティスは地面に倒れている機械体を指差した。意識を失っているのだろうか、それとも……

データを守るために緊急停止しただけだろ。手動で再起動させりゃいい。こいつ以外はな

かなりのダメージを負っていると思われる機械体が倒れている。確かに重傷のようだ

この機械体がどこから来たのかを確認するために、21号にデータをロードさせたわ

わかったのは、工場出荷時のモデル番号とこの記録だけ

ノクティスは「ST-100」という番号の機械体に記録された内容の要点を口にした。それを聞きながら、自分の端末で物語のコピーを読む

彼らが開発したものではないわ。コンステリアのものでもない

そして電波がまったく届かないここは、偶然にも私たちが出発前に調査依頼を受けたエリア――ねぇ、当時この開発を許可したのは誰だと思う?

ヴィラはいたずらっぽく口に人差し指を当てた。答えは明白だ

さぁ?何でもアリの集団だし、何か特殊な嗜好でもあるんじゃない?とにかくここはコンステリアに近すぎるから派手なことはできないわ。やり方を考えましょう

あなたもいくら任務のためだからといって、「誤って」殺される機械体は見たくないでしょう?まぁ、その時の反応は面白そうだけど

ぶっ壊れた機械体を調べたけどよ、どうやらモニターでお互いを識別してるっぽいぜ

一部だけ昔の機械体と条件が一致してるし、意識も関係してんのかもな

ケルベロスが覚醒機械に与えた損害は、側にいた指揮官であるあなたの責任ね。そしてあなたの「悪事」は空中庭園の責任。結論として、私たちはお咎めなしよ

当然でしょう

演技には没入感が必要

ヴィラはからかうように笑った

あなたはどう思う?

本当は識別ポイントをいくつか変えるだけでよかったのよ。でも一瞬のことで……今となっては戻る車もあの状態

側で黒煙を上げている車は、もう使えそうにない

ならさっさと「台本」を覚えなさい。読んでいないのはあなただけよ

必要なら読み合わせもするぜ

台本にあるからとはいえ、まさかあなたを[player name]「様」と呼ぶ日が来るなんてね。ねぇ、そう呼ばれて嬉しい?

21号と賭けた黒パスは、スターオブライフで使うために取っておくことね

つまらない反応ね

ヴィラは箱から笠を取り、しっかりと頭に被る。轍をたどり、山へ向かうことにした

ノクティスは箱担当

おいふざけんな!