朝の支度を終えたローラが寝室から出ると、母親が朝食を並べている姿が目に入った
起きたの?食べたら早く学校に向かいなさい
はい……
普段とあまり変わらない母親を見て、ローラはほっとしたと同時に少し落胆した
母親は食事のたっぷり入った食器を机の3辺に並べて、椅子に座った
母子ふたりはいつものように、静かに朝食を取り始める
ご馳走さまでした
食事を終えたローラは食器を置いて、立ち上がろうとした
すると、正面に座っていた母親が予想外の行動に出た。彼女は3つ目の食器に入っていた朝食を娘の食器に移し変えたのだ
おかわりも食べなさい。お父様がここにいたら、きっとそう言うわ
お……お母様?
今週、時間を見つけてあなたの教官と卒業後の進路を相談してくる。あなたが科学理事会に入って研修生になりたくても、試験に通過したというだけでは到底足りないの
科学理事会二部の同僚に聞いたわ。あなた、本当に努力していたのね……気付かなくてごめんなさい……
でも、これから準備しなきゃいけないことだって山ほどあるのよ
……
……はい、お母様!
ローラは椅子にきちんと座りなおした。その顔には、期待に満ちた笑顔がどこまでも広がっていた