シミュレーション開始。モニター上では紫色の髪の少女が独りで歩いている。少し離れた先で、見覚えのあるピンク色の髪の構造体が筆を振っていた
ほう?1回目はアイラさんをデータサンプルに?
はい。かつてコンステリアでエコーと交流のあったアイラさんなら、今回のシミュレーションに最適でしょう
アイラさんとエコー……
あのふたりは一体どんな物語を紡ぎ出すのでしょう?
プログラムの設定だと、アイラさんはエコーの前進を阻みます。エコーはその試練をクリアしないと前へ進めません
アイラさんは朗らかな方です。彼女という変数を入れたのは、その明るさがエコーにどんな影響を与えるか観測するためです
こちら側に選択権はありますか?そうですね、例えばエコーがどんな状態でアイラさんに接触するかを選択できたり……
そういったプログラムはありません。私はただ彼女たちのデータサンプルをシミュレーションマシンに投入しただけで、その後の行動はデータサンプルのコードに任せています
私は、なるべくリアルにエコーが地上で現れる状況を再現したいのです……
……ふたりが、出会いました
シミュレーションマシンのモニター上で、エコーとアイラが出会った